「恋する日本語」 by 小山薫堂

とあるところで、目にして、図書館で借りてみた。

表紙も、ちょっと、かわいらしい文庫本。

 

いくつかの日本語が、見開きページの短い恋の物語で表現されている。

 

小山さん曰く、

「日本語とは、恋をするために生まれた言語なのだ」、と、ある時ひらめいたとのこと。

 

私にとっては、恋はなくとも日本語はあるのだけど、

恋する日本語」は、恋を表現するための日本語が登場してくる。

 

僥倖:ぎょうこう

2021年4月2日のブログで、「僥倖」が出てくる一文をちらりと書いたのだけど、

悲惨な歴史の中で使われた「僥倖」と、この本の中で出てくる僥倖は、見える景色が全く違う。

 

megureca.hatenablog.com

 

「僥倖」

新しいハイヒールを履いて

買い物に出かけたら、

突然、雨が降り出した。

 

ひとりで、雨宿り。

最悪の日曜日。

 

しょんぼりしていると、

目の前で車が止まり、

私を呼ぶ声がした。

 

それは、前からちょっと気になっていた

会社の先輩だった。

「どこかまで、乗っけてってあげようか」

 

 

僥倖:ぎょうこう:思いがけない幸福。こぼれさいわい。

 

なるほど、こういう使い方もあるのね。

 

3日間の間に、二回も「僥倖」という文字に出合うとは。

思いがけない幸福があるということかしら?

と、ちょっと、期待してみたりして。

 

 

本の中には、他に、読めない漢字もいくつかでてきた。

那由他」:なゆた。古代インドの数の単位。極めて大きい数。10の72乗。

広辞苑で、なゆた、とひくと、那由他と那由多がでてくる。音を当てた字だからなのね。また、広辞苑によると、10の60乗。一説に、10の72乗。

どっちにしても、とってもたくさん、という事らしい。

那由多の愛で、いっぱい、だといいね。