ノブレス・オブリージュ

この数日間で、「ノブレス・オブリージュ」という言葉に何度もであった。

 

*身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという欧米社会における基本的な道徳観。もとはフランスのことわざで貴族たるもの自分にふさわしい振る舞いをしなければならぬの意味。

 

この注釈は、佐藤優さんの「人生、何を成したかよりどう生きるか」で引用されていたもの。

 

佐藤さんは、著書の中で「鬼滅の刃」も引用している。キョウゴクさんだったかな?が、母親に「なぜ自分が人よりも強く生まれたのか分かりますか」と問いかけ、「弱き人を助けるためです。」という場面。「生まれついて人よりも多くの才能に恵まれた者は、その力を世のため人のために使わなければなりません。天から賜りし力で人を傷つけること私服を増やすことは許されません。」

 

たぶん、日本でも「ノブレス・オブリージュ」と同じような考え方はあると思うけれども、それをさす一言で言える日本語はないのかもしれない。

 

日本の古くからの教えは、身分にかかわらず、清く正しく、ということが基本にあり、あえて身分の高い人向けの教えのようなものは、一般には浸透してこなかったということなのかもしれない。

 

日本人にとって、「徳を積む」というのは、身分の高い低いには関係なく、なんとなく良いことであることが当たり前で、あえて、言葉にして責務をしめすような物言いはなじまなかったのかな、とも思う。


私は、ノブレスではないけれど、私なりの社会的責任をはたしていけばいいのだな、と思う。

 

「人生、何を成したかよりどう生きるか」 by 佐藤優

内村鑑三の名著「後世への最大遺物」のメッセージをわかりやすく解説している。「後世への最大遺物」は、ただ、それだけでも、心に響く。若いころから、何度も読み返した。内村鑑三が、若者に向けて多少砕けた感じで語りかける感じが、心地よいのだと思う。「残すべきものはまずお金、次に事業である」「誰もが残せる唯一のものがある」。読んだときに、自分の置かれている立場で、響いてくる言葉はかわるけれど、いつも、この本には勇気づけられる。1894年7月の二日間にわたる講義の内容だというのに。100年以上前である。でも、人の本質は変わっていないっていう事なのだろう。

 

「まずお金」というのは、ストレートに、そりゃそうだ、と納得できるし、人には何も物を残せなくても、文学は一人でもできるし、文は残せる、という言葉が今の私にはとてもありがたい言葉。

 

それに加えて今回は、佐藤さんの解説がついている。

佐藤さんは、コロナで先行き不透明な時代のなか、「読者が少しでも励まされ、生きていくためのささやかな光を見つけ出してくださることを願って」書いたとのこと。

 

Life:生きること。生活

Live:生きる

Live:生き生きしている

 

私なりに、私のできることをして、生き生きと生きることができたら幸せだ。

将来のために、今の時間を使おう。それも、社会的責任を全うすることに重要なことだと思う。近視眼的にならず、5年、10年先に生き生きと生きることができるように。

 

ノブレス・オブリージュ

 

この言葉に、何度も出合ったのは、自分のやるべきことを今こそ見直せ、といわれたきがした。

4月、新年度だし、また、心新たに楽しもう。