「最後の授業」 by アルフォンス・ドーテ

「最後の授業」 by アルフォンス・ドーテ 桜田佐 訳

偕成社文庫 1993年7月 第一刷発行

 

ワインの勉強をしていて、フランス アルザス地方についての雑談で出てきた本。

淡々と、短文でつづられる短編集。 

 

フランスの歴史の一部を、さらーーーっと、撫でるような本だった。

 

1870年 フランスは、プロアシアとの戦いに敗れ、プロシア国境の地方、アルザス・ロレーヌ地方はその代償としてプロシア領となる。

 

「最後の授業は」、フランス語の授業ができなくなるとは知らず、遅刻して学校についた主人公が、その現実を知る。いつもなら、遅刻して大目玉、のところが、今日は先生の様子がちょっと違う。最後の授業だから。教室の外ではいつものように鳩が鳴いている。主人公は思う。
「鳩も、ドイツ語で鳴かなきゃいけなくなのかな・・・」

 

史実として、悲しい出来事。

他の短編も、淡々と戦争の影響をうける市民の暮らし、戦士の暮らしが語られている。

読んだ本は児童書だったので、とても簡潔な日本語で、わかりやすい。

淡々と出来事が書かれている分、余計に、戦争というものの現実とむなしさを主張してくる感じがする。

 

本読んでいて、思うのだが、小説のような形で目にする史実は、歴史の勉強をするより、よっぽど記憶に残る。

土地の名前も、物語と関連していると地図も名前も、なんとなく記憶に刻まれる。

 

「最後の授業」の作者 アルフォンス・ドーテは、1980年5月13日 ニーム生まれ。ニームといっても、一般の人には聞きなれない地名かもしれないけれど、ワインの勉強をしていると、フランスの南ローヌとラングドックルーションを隔てる街の名前として教科書に出てくる。

 

プロイセンも、普仏戦争も、正直言って、私はあまりよく理解していなかったけど、ワインでアルザス地方を勉強すると、必ず「ドイツと似ている」と出てくる。フルート型のボトルの形、郷土料理、町並み、ドイツとライン川を隔ててお隣であることもあるが、歴史上、ドイツの土地だった影響が大きい。

 

本を読む、読書って、勉強しなきゃいけないのに、現実逃避のようだけど、実は頭の中で点と店がつながることがあって、だから楽しい。

 

私自身、今週末、6月、と色々な試験が迫っていて、そっちの勉強をせねばないのだけど、やっぱり、読書はやめられない。