対話によるパラダイムシフト (「医薬につける薬」岩田健太郎)

パラダイムシフトを起こすには、読書よりも対話が有効だな、とおもったので覚書。

 

「医療につける薬」 

岩田健太郎 筑摩書房2014年6月15日 初版第1刷発行

内田樹鷲田清一に聞く

を読んだ。

 

岩田さんが考える医療現場におけるさまざまな倫理問題について、内田さんや鷲田さんとの対話で紐解いていこうという、本。

対話型の本。

岩田健太郎さんは、 感染症を専門とするお医者さん。ダイヤモンドクルーズ号での船内コロナ感染対策について YouTube で発信したことで、多くの人も印象に残っていることだろう。

たくさんの書籍もある。

私にとっては、医師というよりも、思想家、哲学者だな、と感じることの多い方。

思想家の定義はよくわからないけど、自分の考えについて、発信する人。かつ、その自分の考えや判断について迷いが生じたときは、自分の正当性を誇示するのではなく、自分の中でも堂々巡りをするときは、”対話をすればいい!”という発想の持ち主。だから、この対談としての本ができた。

本の内容、岩田さんの発言、内田さんの発言、鷲田さんの発言、共感することがたくさんあった。でも一つ一つの医療の倫理に関する話よりも、実は私の中で一番強く心に残ったのは、鷲田さんの言う対話への解釈。

 

「対話とは相手を打ち負かすのが目的のディベートとは違い、相手の言葉を受けて自分が変わる覚悟ができているようなコミュニケーションである。 」

 

自分が変わるための対話。

 

コロナで、人と直接会う機会が減ってしまい、たまに、オンサイトで人にあって話した時の新鮮な気持ちは、自分の信念はさておき、そういう見解があったか!と気が付ける楽しみ。

 

信念は、あったほうがいい。

でも、信念は変わる事もある。

 

パラダイム、根っこを変えないことには、自分が見る世界は変わらない。

対話の機会があるって、大切だ。

 

たまたま、知り合いが、「7つの習慣」の読書会をするというので、久しぶりに本棚から引っ張り出してきた「7つの習慣」。

私の手元にあるのは、1997年出版の日本語版だけど、2021年の今でもバイブルになりえる。第一章は、まさに、パラダイムと原則。自分の見方の癖を知る、色眼鏡をかけているかもしれないことを理解する、パラダイムは、変わる、変えられることを理解する。

 

パラダイムシフトを楽しめると、人生が楽しめるように思う。

対話を楽しみ、変化をたのしもう。

 

本の内容から一つ。

「医薬につける薬」のなかで、喫煙に関する倫理についての語りがあった。

喫煙は、確かに百害あって一利なし、という言い方をされてしまう今日この頃だが、人によっては、たばこの一服で、緊張がとれたり、ホッと安堵できたり、その人にとっては癒しになることもあるのだから、いいじゃないか。と。

肯定も、否定もしない。

「世間一般で認識されるエビデンスに基づいた意見」と、「自分にとっての意味合い」は違う事はよくあるし、「自分にとって大切」なら、それはそれでいいじゃない。

という、内田さんの意見。

やった!その通り!!

と、膝を打った。

 

私自身は、喫煙者ではないのだが、最近、「アルコールは毒だから一切とるな」みたいなことを声高に言われることにすごく違和感を感じていたから、話は喫煙だけど、そうだそうだ!!と思った。

 

「自分にとっての意味合い」が、それなりに自分のパラダイムの中で存在していて、他社に著しい損害をあたえることがなければ、それでいいじゃない。

万人にとって同じ「意味合い」のことなんて、そうそうない。

 

「人それぞれ、独自の意味合いでそれぞれの人生を生きている」

ただ、それだけ。

私にとっては、

No  Wine No Life!

ワインのない食事なんて、、、、。

 

対話は、相手を負かすためにするのではない。

自分に変化の成長をもたらしてくれるもの。

そういう気持ちのコミュニケーション。

 

対話を楽しむ場が増えて、人生を楽しめる人が増えたらいいな、と思う。

それも、私の価値観の押し付けかな?

ま、いっか。

 

対話を楽しみつつ、相手の人生に土足で踏み込まない。

 

自分の人生は、自分で考えて、自分で決める。