「 暴走する脳 生贄探し」
講談社アルファ新書
2021年4月20日第1刷発行
COVID-19によるパンデミックの中、中野さんとヤマザキさんの「次世代には教訓を残さなければ」という共通認識から、出版となった本。
中野さん曰く
「危機的な状況が起これば、少しでもはみ出したものから生贄に捧げられてしまうのだ。
人は放っておけばそういうことをしてしまう生き物なのだ。
だからこそ知性でそれを押す止める必要がある。」
ということ。
中野さん、ヤマザキさん、それぞれの担当された章と、二人の対談の章とからなる204ページの新書。人間の本能的な行動、承認欲求による行動、日本に強くみられる傾向、などなど。
内容は、現代の事例と、歴史的事例と、それぞれでてくるので、想像力をはたらかせて読むと理解が進むという気がする。
過去の歴史でも、現代でも、人は、危機においては個人より集団でいることで人は安堵し、かつ、集団の外のものを排除する傾向が凶暴化しやすい。
怖い怖い。
あぁ、人間って怖い、とおもいつつ、ぼんやりと思うのではなく、言葉で説明されると、そうか、だから、人は妬んだり、攻撃的になったりするんだ、、、と、冷静に見ることができる気がする。
人って、そういう、悲しいところのある生き物だから、だからこそ知性でそれを押しとどめよう、というのが、この本の伝えたいところなんだと思う。
だれもが、「シャーデン フロイデ」 他人の損害を喜ぶ心がゼロではない。
「あの人だけがいい思いをするなんて許せない」
誰かと比べないと幸せを感じにくい。
誰にでもある感情。
それを、ありません、と包み隠す必要はない。
そういう感情に振り回さないようにすればいい。
そういう事を伝えている。
「本当の知性は、自分の正義や知性が、独り善がりのものになっていないかどうかを、まず疑うところにある。」
やっぱり、「自分のほうが間違っているかもしれない」と、思う習慣は大事だと思う。
自分にとっての正論が、相手にとっての正論であるこという事は、いがいと少なかったりする。
正論を押し付けてくる人からは、逃げるに限る!
本書のなかで、興味深かったこと、覚書。
「出る杭は打たれる」という意味に相当する諺は、海外ではない。
世界でも、いじわる行動が突出しているのは日本人ということ。
スパイト行動(相手の得を許さない)が、多い日本。
Win-Winより、痛み分け、Lose-Loseを好む。。。。
俺は我慢しているんだから、お前も我慢しろ、って、とてもよくある構図。
島国として、集団の協調性を重んじてきたことが悪いほうにでているのか。。。
残念。
本書の中でも、スパイト行動が蔓延している環境からは、逃げ出せ!と言っている。
生贄にされる前に、逃げよう!
そして、間違っても自分が誰かを生贄にすることがないように、
「間違っているのは、自分かもしれない」と、思い起こそう。
想像力を働かせて。