「エレジーは流れない」
三浦しをん 著
2021年4月25日 第一刷発行
株式会社双葉社
三浦しをんさんの、青春物語。
星5つ!
面白かった。
爽やかだ。
高校生、野生の本能で楽しめ!
と、言いたくなる感じ。
高校生、家族、ごくごく普通の日常が、愛おしい。
三浦しをんさん、1976年生まれ。女性。
男子高校生について、よくここまでうまく描写できるなぁ、と思う。
以下、ネタバレあり。
ストーリーは、主人公が高校2年生の場面から始まる。
新幹線こだまの停車する駅近く、餅湯温泉でお土産を営む母と二人暮らし。
温泉街の幼馴染、高校の同級生との日々。
高校2年生といえば、進路指導の始まる次期。
自分は、大学に行って勉強したいような気もするけど、家計を思うとそんな余裕はない気もするし、でも、彼には「おふくろ」とは別に、「お母さん」と呼ぶもう一人の母親がいて、彼女ならば経済的に支援してくれるはず、、、。
そんな、日常の流れの中、自分の人生には、影も形もなかった父親の、突然の出現。
物語の後半に、なぜ、二人の母親がいるのかが明らかになるのだが、「外には7人の敵がいる」なんて思わない二人の母親像が、爽やか。
そして、なんだかんだありながらも、高校3年生に。
彼は彼なりに将来の道を、友人たちも友人たちなりに将来の道を、それぞれが歩んでいくんだろうな、と思わせるストーリー。
爽やかだ。
みんな、がんばれぇ!と、エールを送りたくなる感じ。
三浦しをん、いいなぁ。
タイトルのエレジーって、なんのことだか知らなかったのだけど、小説のラストのページに出てきた。
「哀しい歌」に「エレジー」とフリガナがしてあった。
そうなんだ、エレジーって、哀しい歌なんだ。
小説の中でテーマ曲のように流れているのは、エレジーではなく、愉快な餅湯沿線コマーシャルソング。
そう、エレジーは、流れないのだ。
読んでいて、一つの学びが、、、、。
Megureca、覚書。
餅湯温泉の博物館に飾られている縄文土器がストーリーの一つのキーなのだが、そのほとんどお客の来ないさびれた博物館の展示物説明書きパネルに残る、誤字の訂正のあと。。。活字で書かれたパネルに、誤字があったらしい部分にはシールが貼られ、上から手書きで正しい文字が記されていた。
手書きだったのは、「完璧なる調和の・・・・・」
主人公は、「どうせ、『完璧』を『完壁』と間違えていたんだろうな、、、」と、推測する。
え?
完璧?
完壁?
かんぺき、って完全な壁だと思っていた・・・・。
50歳を過ぎて知る、この事実。。。
十把一絡げと同じくらい衝撃だ。。。
だって、漢字を手で書くことが減っているから、変換されたものをそのまま、、、使っていたとは思うけど、
完璧、って、完壁、、、だと思っていた・・・。
広辞苑で引いてみた。
「璧」: 中央に孔のある円板状に作った玉(ぎょく)やガラスの製品。殷代から漢代にかけて祭器・装飾品・副葬品、身分を示す標識とした。
だって!
いやぁ、本を読むと発見あるねぇ。
三浦しをんさん、
面白い本、そして新たな発見をありがとう!
勉強になりました!!
読書って、楽しい。