「NETFLIX コンテンツ帝国の野望」 by ジーナ・キーティング

NETFLIX コンテンツ帝国の野望 GAFAを超える最強 IT 企業
ジーナ・キーティング 著
上牧洋 訳
新潮社
2019年6月25日発行 (原書: 2012年発行)

 

先日読んだ、「この一冊、ここまで読むか」に出てきていて、楠木建さんが面白いと言っていたので読んでみた。

megureca.hatenablog.com


率直な感想。
私には、そんなにワクワクする話ではなかった。。。


1998年、NETFLIXが創業して2002年にIPOするまでの話が主なので、ちょっと、古い、、感じ。
加えて、私は、NETFLIXユーザーではなく、TVを含む映像コンテンツ業界そのものへの興味が低いというのも、そんなにワクワクしなかった要因なのかも。


NETFLIXを使っている人には、かなりエキサイティングかもしれない。
会社の成長の裏にあった、競合との競争だけでなく、社内のドロドロ劇場などが書かれているから。

 

著者はジーナ・キーティング。
フリーランスの経済ジャーナリスト。アメリカ UPI通信、英ロイター通信に記者として在籍し、10年以上にわたってメディア業界、法曹界、正解を担当。独立後は娯楽誌バラエティ、富裕層向けライフスタイル誌、米国南部向けライフスタイル誌などへ寄稿している。
本書は処女作にあたるとのこと。


1998年、NETFLIXが創業した時から 2012年頃つまりこの本(原書)が出版された頃までの成長の軌跡が書かれている。

最初は、VHS、DVDの郵便レンタルから始まる。
日本で言えばTSUTAYAのような、アメリカの店舗型レンタルビデオ店大手「ブロックバスター」との熾烈な?競争をどう打ち勝ってきたか、というストーリー。


インターネットそのものがまだまだ、今のような速度ではなかった時代。

ビデオもVHSで、DVDが普及する以前からの話。

Facebookの創業が2004年だから、SNSによるユーザーによる投稿コメントも、そんなに一般的でなかった時代。


人海戦術のような仕事の仕方。
職場で寝泊りしつつ、猛烈社員として創業を引っ張ってきたメンバー。
そして、CEOが変わる中で、解雇されていく仲間。
おとり捜査のような競合の偵察。
まぁ、泥臭く、人間臭い、会社のサクセスストーリー。

ふ~~~ん。

 

会社にかかわった、たくさんのメンバーの実名が出てくるし、そういうメンバーへのインタビューからなるストーリーなので、NETFLIXを身近に感じる人には面白いのかもしれない。

出てくるメンバーも、そうそうたる実績のメンバーだったりするのだけど、アメリカのビジネス界を身近に感じるほど知っているわけではないので、超有名人の名前が出てきても、私にとっては、ふ~~ん、という感じは否めない。

単に、私が無知だということ。

 

特に、今、これからの時代に参考にしたいサクセスストーリーはなかった。。。

バブル期に読んだら、面白かったかも。

一つ参考にするべきかもと思ったことをあげるとすれば、NETFLIXの成功の裏に、

「ベテランプロデューサーの直感や過去の常識にとらわれず、ビッグデータを信じて、、、」というくだり。

人は、過去にとらわれると大きなステップは踏めないものかもしれない。

 

一つ、面白いフレーズがあった。
覚書。

 

シリコンバレーの合言葉。
「競走馬ではなく、騎手に賭けろ」

 

つまり、投資先を決めるのに、会社をみるのではなく、経営者を見ろ、っていうこと。

 

人生の基本ですな。
組織で選ぶのではなく、人で選ぶ。
結局は、人。

 

会社の中の仕事も、どこの部署で何をするかより、誰と働くかのほうが人生を大きく動かすことがある。

 

尊敬する組織なんてなくていい。
尊敬する人がいる。
そうすると、人生の幸せが増える。

 

NETFLIX創業者の一人、リード・ヘイスティングは、どちらかと言えば堅物。好き嫌いが別れるタイプではないのだろうか。
IPOのために、ある日突然、創業メンバーを含めた社員を集めて、「本日で、皆さんのうちの半分の人が職を失います」といって、解雇。

 

まぁ、アメリカは、キャリアチェンジが当たり前だから、日本ほどは衝撃的ではないかもしれないけど、でもやっぱり、、、、。
誰かの犠牲のもとにしか、誰かの成功はないのかと思うと、ちょっと残念。

 

きれいごとかもしれないけど、やはり、誰かと一緒に成功する方が、人生楽しいと思う。

 

誰と一緒にやっていくか。

大人になるというのは、それを自分で決めるという事かもしれない。

 

という事に気づかせてくれたという点で、この本を読んでよかった。