「これからの生き方と働き方」 by チャールズ・ハンディ

「これからの生き方と働き方」
チャールズ・ハンディ 著
大嶋祥誉 監訳、 花塚恵 訳
2021年3月1日 第一刷発行
株式会社かんき出版

原題:「THE HUNGRY SPIRIT」  1997


今年の3月の本。
何かで見かけて、気になったので図書館で予約していた。
新しい本の割にはすぐ予約が回ってきたので、そんなにすごく売れてるというわけでもないのかも。。。


読み進めながら、書いてあることは間違ってないしなるほどなぁと共感できることもあるのだけど、何か違和感を感じながら読んでいた。


そして最後になって気がついた、違和感の正体。


多分、ちょっと時代遅れな感じがしなくもない。

本のタイトルは、「これからの生き方と働き方」となっているけれども、そもそも原書が発行されたのが1997年だということだ。


翻訳版の出版日しか見なかった私が悪いのだが、生き方についての本であるというのはそうなのだが、2001年の9・11すらも経験していない時代。ましてリーマンショックも起きていない時代。
もちろん、コロナ以前。。。。


と、時代背景的にずれている感じは否めないのだが、引用される古典の言葉には、普遍的な共感があるように思う。


そういう点で、古典の言葉に触れられたという点で、読んだ時間は無駄ではなかった。

 

ジャン=ジャック・ルソーの言葉
「人の際立った特徴と呼べるものがもうひとつある。 人間特有のものであることは確かでそれについては議論の余地がない。その特徴とは、 自己を改善する機能である」


私自身、「人はいくつになっても成長できる」ということを、一つの原則としてとらえている。

そうか、ルソーのいう事とも、矛盾していないんだ、と、ちょっと、安心?!

 

著者は、「正当な利己性」という言葉をつかっている。
「結局のところ、人生の真の目的とは何なのか」、というと問いに対して、「正解はない」、としながらも、「各人が正しいと思うこと、それが各自にとっての正解だ。」と、説明する。


そして、他者とのかかわりを通じて自分の義務を見出すこと、自分を起点として自らを探求することを「正当な利己性」と言っている。


「正当に利己的になるとは、自分の能力を最大限に活用する責任を自ら受け入れ、最終的に自分だけの話にとどまらない大きな目的を生み出すことを意味する。」


能力を最大限に活用するということ、すなわち、成長しつづけるということだと、私は思う。
もしかすると、ある年齢を越えれば、成長ではなく維持、かもしれないけれども、それでも、自分がやりたいと思えて、やれることをやり続けるというのは、責任を果たすという事の一つだと思う。

 

社会の幸福の前に、まずは、身近な人の幸せ。
そして、自分自身の幸せ、が、大事。

 

もう一つ、なるほどと思った、著者の言葉。

「信念はどんな時も個人的なものだが、自分の心に秘めておく必要はない。それを共有し拡散すれば世界を変えられる」

 

そうかもしれない。
そして、現在は共有する手段はたくさんある。
ブログだってそうかもしれない。

 

信念と言えるほどのものがあるのかは、自分ではわからないけど、
「機会は平等に」
「人はいくつになっても成長できる」
を大切にしたいと思う。 

 

チャールズ・ハンディ。

多分、初めて読んだと思う。

なんでも、イギリスのピーター・ドラッカー、と言われる人だそうだ。

江副さんの本を読んで、ピーター・ドラッカーを久しぶりに読み直そうかと思っていたところで、この本に出合った。

でも、ちょっと、、、ピーター・ドラッカーとは違うな。

当たり前か。

若干、宗教的なコメントも多くて、それでいて、なぜか日本のことを事例にあげていることもあって、なにか、、、なにかが、物足りない感じ。

何だろうな、この違和感。

共感しつつも、なにか、違う感じ。。。

原書で読むと、また違うのかも。

 

まぁ、あたりもはずれもあるのが読書の楽しいところ。

 

読書なんてものは、1文でも心に残るものがあれば、、儲けもん?!

自己を改善することに役立てよう。