橋頭堡 きょうとうほ
最近、本を読んでいて、何回か出会った言葉。
聞きなれない言葉だった。
広辞苑によると
【橋頭堡 きょうとうほ】
①橋梁を直接掩護(えんご)するために、その前方などに築く陣地
②渡河・上陸作戦の際、その地点を確保し、後続部隊の作戦の足場とするための拠点。また比喩的に、拠点・足場。「橋頭堡を築く」
普段の生活ではなかなか使わない言葉ではなかろうか?
新聞でも見かけない。
私の「バカの壁」かもしれないけど。
最初に、この言葉が目についたのは、
「石の花」(坂口尚)の中。
バルカン半島を舞台にしたユーゴスラビア、チトー率いるバルチザンが、まさに、橋を渡れるか渡れないかの時に出てきた。
本の中での脚注には、「上陸点を確保し、相手を攻撃するためのよりどころ」となっていた。
他にも、歴史の本の中で、領土拡大の中で出てきたりしていたので、戦争とか、土地の奪い合いの時に出てくるのかなぁ、くらいに思っていた。
そして、最近、もう一つ目にしたのが、とある本の中。
商売の上での「橋頭堡」といった意味での使い方。
なんにしても、「大事な拠点」、という事なのだろう。
実際の土地や橋のことではなく、比喩として使うと文学的になるから新聞などでは見かけない言葉なのかもしれない。
と、思って、日経新聞電子版で検索してみたら、出てきた。
2021年6月25日 朝刊 (以下、抜粋)
「自由追求する橋頭堡だった」(台湾、蔡総統が投稿)
台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は、24日、香港紙・蘋果日報(ひんかにっぽう、アップルデイリー)の廃刊を受け、フェイスブックに「残念でならない」とコメントを発表した。「香港人にとって蘋果日報は単なる新聞ではない。権力にあらがい、民主化を目指し、自由を追求する橋頭堡(きょうとうほ)であった。
重要な拠点であり、最初の一歩、っていう感じだろうか。
一つ、おりこうになった。
気になる言葉は、都度調べていると前に進めなくなるけど、何度か出会ったときに調べてみると、理解しやすい。
カタカナ言葉も、よくわからない言葉はあるけれど、日本語も知らない言葉、使い慣れない言葉は山ほどある。
それでも、日本語で、且つ漢字だと読み方がわからなくても、なんとなく想像がついたり、類推できるから、漢字というのはすごい文化だ。
一つ一つの言葉の意味が分からなくても、文章全体として、なんとなくニュアンスが想像つくこともある。
それは、日本語も、英語も同じ。知らない言葉出てきても、全体の流れからなんとなく、ぼやっと理解する感じ。
本をたくさん読んでいると、知らない言葉や、読めない漢字もよく出てくる。でもそれを気にせずに読み進めると、そのうち、ああぁ、そういうこと?と、ふとつながるときがある。
そして、知らなかった言葉に何度か出会うと、アンテナが立つ。
わからないことをすぐに調べることも大事だけど、都度調べるより、頭の中で想像しつつ、複数回出会ったときに調べてみると、モヤモヤが一気に解消される感じが、それはまた楽しい。
今度、橋頭堡という言葉に出合ったら、どんな使われ方をされているのかメモしておこう。
本を読んでいると、新しい発見がある。
読書は楽しい。