「縁(えん)の手紙」
チョ・ヒナ著
株式会社マガジンハウス
2021年7月15日第1刷発行
縁あって、出来たてホヤホヤの本が手元に届いたので読んでみた。
帯に書かれているのは、
「孤独な私を癒してくれたのは君からの運命の手紙だった。
心に傷を負った高校生に訪れた優しい奇跡」
著者のチョ・ヒナさんは漫画家。韓国、中国で漫画賞を次々と受賞されている方らしい。長編アニメ映画化も計画されているとのこと。
漫画の本であるが、なんと全編カラーである。なかなか作るの大変だっただろうなぁと思われる本。全体に色のトーンが緑と言うか青と言うか 。
ストーリーとあっている色合い。
思わず、タイトルを「緑の手紙」を読み間違えたくらい・・・。
以下ネタバレあり。
主人公は高校生の女の子。ある時学校でいじめられている友人を見て、友人を助けるために「やめなよ」とクラスメイトに言う。いじめの矛先は主人公に向かう。そしていじめられていた友人は転向を選択する。主人公は悩みながらも自分自身も転校することにする。
転校先ではいじめられることはないものの、 転校してきた理由を聞かれてもクラスメイトに言えない自分。なんとなく孤独が募っていく。
そんな時、自分の机の中から、誰からかわからない自分宛の手紙を見つける。
手紙は、 まるで彼女のことを知っているよう。学校のことも知っているようだけれども誰からなのかわからない。
そして手紙は次々と続いていく。最初は机の中から。そしてその手紙に記された場所を探すと2通目の手紙が。2通目の手紙に指示された場所を探すと3つ目の手紙がと。。。
そして次々に続く手紙を探しているうちに、いつもその場所で出会う男子生徒がいることに気がつく。でもどうやら彼が手紙の主ではなさそう。
彼との友情を育みながら、手紙の主を探す二人。
最終的には手紙の主に出会える、ハッピーエンドのお話。
でも出だしがいじめだったことから何となく心が締め付けられるような、痛いような、でもハッピーエンドで嬉しくなるような、一気に読んでしまう本だった。
「いじめからは逃げればいい」
というメッセージと
「あなたのことを思っている人は必ずいる」
というメッセージと。
なかなか、素敵な本だった。
いじめ、という言葉は本当に胸が締め付けられる。
私自身は、繊細ではないし、いじめられっ子だったわけでも、いじめっ子だったわけでもないとおもうのだけど、誰でも、いじめっ子になる可能性も、いじられっ子になる可能性もある。
2016年のアニメ映画、「聲の形」を観た時、映画が終わっても立ち上がれないほど号泣した。いじめがいじめをよんで、、、、でも私だってこの中の誰かになっていたかもしれない・・・・。いじめっ子もいじめなんかしたくないのに、してしまう心の弱さ、つらさ。。。
「いじめ」のない世界にしたい。
「自殺」のない世界にしたい。
本当にそう思う。
大人の世界にも「いじめ」はある。
ネットの中傷だってそうだ。
ネットでの中傷は、現代の暗殺だ、と思っている。
「あなたのことを思っている人はかならずいる」といメッセージを、多くの人にとどけられたらいいのに、と思う。
痛ましい事件は、後をたたない。
べたないいかただけど、命を大切にしてほしい。
残されたものが、どれだけ悲しく、つらい思いをするか、、、。
だからとしって、つらい思いを我慢しなくていい。
逃げよう!
理不尽なつらいことからは、逃げよう!!
それでいいのだ。
新しい世界は、いくらでもある。
今日の自分は、自分のこれからの人生の中で一番若い。
そうだ、そうだ。
がんばろう。
本は、色々なことを考えるきっかけになる。
本を読むのは楽しい。