「地球の法則と選ぶべき未来」 by ドネラ・ H・ メドウズ

「地球の法則と選ぶべき未来」 ドネラ・メドウズ博士からのメッセージ
ドネラ・ H・ メドウズ 著
枝廣淳子
ランダムハウス講談社
2009年7月29日第一刷発行

 

ドネラさんの本であり、枝廣さんの訳なので、図書館で借りてみた。


ドネラ・ H・ メドウズさんは、アメリカの環境科学者。ダートマス大学環境研究プログラム助教授として、コンピュータモデルを使って社会、環境、エネルギー、農業などのシステムを研究した方。枝廣さんの訳本に、「世界はシステムで動く」がある。2002年に亡く亡くなられているのだが、枝廣さんが、彼女のメッセージを伝えたいという思いで、2009年に出版されたのが本書。


いくつかの彼女のエッセイ集のような感じ。


ドネラ さんの言葉には、ハッとさせるものがたくさんある。
本書の中に出てきたきたものも、いくつか覚書として残しておきたい。

 

「危機に瀕しているのは地球ではなく、私達の考え方である」


「私たちは自分たちをコントロールできるのか?」


「境界線は心の中にある」


「足るを知る」


「科学ははっきりさせるのに役立つ。何をすべきかを決めるのには役立たない。」


「科学者の仕事とはすべての選択肢をできるだけ完全に明確にそして客観的に説明するということです。選ぶのは科学者の役割ではなく私たち全ての仕事です。」


「良いことも悪いことも全てのものはつながっている。それがシステム。」

 

つまり、選ぶのは私たちなのだ。

 

科学、 科学者に関するくだりは強く共感する。
原子爆弾を作った アインシュタインもきっと共感すると思う。


科学は科学であり、技術は技術であり、それをどう使うか、選ぶのは私たちなのだ。

専門家でもない。

専門家はただしい情報を提供する責任がある。

選ぶのは私たちなのだ。


そして、選ぶためには、科学だけでなく、感情も大切。

自分自身の感情に蓋をしないということも必要。

「自分の心に蓋をしない勇気を」とも言っている、
(でてきたぞ!「勇気」)

megureca.hatenablog.com


「何をすべきか」決めるためには、少しばかりの「感情」「価値観」あるいは「常識」のようなものが必要、と、彼女は言う。


感情も知識も直接何かを変えることではないけれども、どんなに不快な感情があったとしても(環境保全のために便利な電化製品の使用を控えるのはいやだとか)、それを受け入れ、分かち合い、何が間違っていて、どうすれば修正できるかという「知識」と合わせて、「感情」と「知識」が一体となって変化を起こしていかなければいけない。

環境問題論争は、科学と感情を総動員して行く必要があると、彼女は言う。

 

 

冒頭で、枝廣さんがドネラさんが伝えたかった「私たちに必要な5つのこと」をまとめてくれている。


「ビジョンを描くこと」
「ネットワークを作ること」
「真実を語ること」
「学ぶこと」
「愛すること」

 

 これは、環境問題に限ったことではないだろう。

 

そして、「フィードバック」が大事であるという。
真実を語るには、真実を知らなければいけない。
人々は、自分の行動が生み出した結果について、正確で説得力のあるフィードバックが必要なのだ。
結果を自覚することでそれに伴う責任を自覚できる。
真実を知るためにはフィードバックが必要。

 

枝廣さんの著書「好循環のまちづくり!」で、「先行指標」と「遅行指標」の両方の必要性が語られていたが、正しい指標をフィードバックするというのは、本当に大切、だけど難しい。

megureca.hatenablog.com

 

今日、家のクーラーの温度を1℃上げたことで、どれだけ温暖化ガスの発生をおさえられたのか?そして、それが5年後の地球の温度に、どうつながるか?

今日、スーパーのレジ袋を使わないことが、どれだけ環境負荷をさげたのか?

買ったお弁当のプラスチックごみのほうがよっぽど大きいけど?

今日、車に乗ったことで、どれだけ環境負荷をかけたのか?

徒歩と電車で行けば、ガソリンは使わずに済んだのでは?

 

スーパーのレジ袋をエコバックに変えるより、はるかに効果的な行動はあるとおもうけど、それが正しくフィードバックされない。

チリも積もれば、、、とはいうものの、環境負荷インパクトの大きい行動を一つ感が直した方が、よほど効果はあるはず。

そのフィードバックがあればいいのに、と思う。

 

家庭の電気使用量を、金額でいつでも目に入るようにすると、自然と電気料金は下がる傾向にあるという。

 

行動結果のフィードバックは本当に大切だと思う。

いいことも、悪いことも。

毎日体重を測っていれば、ある日突然5キロ太ったりはしない。

 

世の中、もっとフィードバックの仕組みを作れないだろうか。

「完全に、明確に、そして客観的に説明」できるフィードバックの仕組みを考えるのが科学者の責任ではないだろうか。

エコな製品の開発と共に、それを選ぶことの結果がみえるといい。

見える化の重要性。

ハイブリットカーで、燃費が常に見える化されているように。

 

 

ただ、フィードバックは、与えられるのを待つのではなく、自分で取りに行く方がよい気がする。

 

人から言われても他人事だけど、自分で調べると自分ごとになる。

そんな気もする。

 

2021年7月、日本の熱海では土石流が、ドイツのラインライントでは洪水が、アメリカ米西海岸カリフォルニア州北東部では山火事が、、、、。

いずれも、地球温暖化とは無関係ではないだろう。

 

他人事ではない。

私も地球人だ。

未来の話ではない。

今の地球で起きていることだ。

 

今、私は何ができるか、考えなくてはいけない。

少しばかりの勇気をもって、自分の感情にふたをせず、考えてみよう。

 

私は、環境活動家ではないし、必ずしも環境活動家のいう事に100%同意するわけでもないけど、

「危機にあるのは私たちの考え方である」

という、ドネラさんの言葉を胸に刻んでおこう。

ちょっとくらいいいか、、、と思わない勇気。

でも、ストイックにやりすぎない、、、勇気。

人に強要するのも最悪。

自分で自分の行動を律する勇気を持とう。

 

やはり、勇気は大切だ。