世界に誇る 大北斎展 @ 川崎浮世絵ギャラリー

世界に誇る 大北斎展 @ 川崎浮世絵ギャラリー

2021.7.10~ 9.12

 

暑い暑いと言いながら出かけていたなか、ふと目に入った、葛飾北斎の「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の作品。

今(2021.7.22~9.17)、六本木 東京ミッドタウン・ホールでは、北斎の生誕260年記念企画 特別展「北斎づくし」が開催されているが、それとは違う。

 

目に飛び込んできたのは、美しい「ベロ藍」。

美しい藍の色の大きな波と、波の翻弄される三艘の舟。その向こうに小さな雪をかぶった富士山。
だれもが、一度ならずとも目にしたことがある絵ではないだろうか。

舟には、必死に波に流されまいとしている船乗りたちの姿。

恐ろしい大波の構図にもかかわらず、なんだか、楽し気に見えてしまうのは私だけか?

美しい、ベロ藍のせいかもしれない。明るい色彩。

海の悲壮感はない。

明るく、海と共生していこうぜ!富士山も見守ってくれているし、という絵に見えるのは私だけか?

ちなみに、ベロ藍とは、正式にはプルシアンブルーといって、ベルリンで発明された。 極微粒子の顔料で、まるで染料の藍のようだったことから「ベルリンの藍」が訛って「ベロ藍」と呼ばれている。

 

それは、”世界に誇る大北斎展”と銘打った、北斎の作品の展示会の案内だった。
入場料 大人500円。
川崎浮世絵ギャラリー。

JR川崎駅から、歩いてすぐ。

 

ちなみに、六本木で開催されているのは、大人1800円。規模が全然違うけど。


入り口まで行ってみると、受付のおじさんが、夕方ならもっと空いてますよと教えてくれたので、少し時間を潰して17時過ぎにもう一度足を運んだ。
初めて入ってみた。


へぇ! こんなところに浮世絵ギャラリーなんてあったんだ。
しかも、今回は展示会の前期で、作品を入れ替えて8月14日から9月12日まで後期も開催されるらしい。
500円ならまた来てもいいな。


葛飾北斎、江戸時代後期の浮世絵師。
浮世絵史上最もその名を知られ絵師であり、浮世絵といえばまず北斎の名前が浮かぶと言うところだろう。

 

以下、パンフレットから抜粋。
北斎はその90年に及ぶ長い生涯の中で、画風を多様に変化させながら常に挑戦を続け、錦絵や読本の挿絵、絵手本、肉筆画などにおいて多彩に活躍し傑作富嶽三十六景を始め膨大な作品を残しました。」

 

今回は、赤富士が描かれている「富嶽三十六景の凱風快晴」をはじめ、知ってる!という作品も多数展示されていたが、はじめて!という作品もたくさん。


6歳のころには、描くことを楽しんでいたというから、90歳までの生涯で、いったいどれだけの作品を残したことか。


メンコのような、コースターサイズ、と言ったらいだろうか、そんな作品が東海道の各町が描かれて、ずらーーーっと並んでいた。川崎、保土ヶ谷、戸塚、大船、、、、。

日本橋から京都までの東海道を一枚の地図仕立てにしたようなものも、なかなかの見ごたえ。
まぁ、細かくもたくさん、良く描きこんだわ!という感じ。

 

今回の展示の中で、え?これも北斎なの?と思ったのが、
「芋と桔梗」という作品。


普通の日本絵具だろうか?海老芋か里芋か?と桔梗の花が描かれている。
風景でもない、人でもない、北斎静物画って、なかなか珍しくないか??
私は、結構、気に入った。

 

小さい絵がたくさん並んでいた。

一つ一つが小さいだけに、一つ一つをゆっくり観察できる。

大きい作品は、視線があちこちに飛びがちだけど、作品が小さい分、細部と全体が一度に視界に入り、脳裏に焼き付けられていく感じで見ることができる。

子供が魚を釣り上げて喜んでいる絵があった。

北斎の作品に、子供もめずらしいかも。

 

絵の楽しみ方もいろいろ。
好きになるところも、色々。

 

北斎の描く人物は、生き生きしている。

なぜかというと、脚をよく見てほしい。

たいてい、片方の脚で地面をまさに蹴ろうとしている感じで、足裏が上がっている感じ。そして、モリっとした筋肉のふくらはぎ。しっかりとした土踏まずのアーチ。

筋肉を描くのがうまいのかもしれない。解剖学もやったのかな??

そして、例えばカゴを担ぐ二人が並んで描かれているとすると、その二人の脚は、ユニゾンしているのだ。同じような蹴り出しが並ぶ。

そこに、リズムを感じるのではないだろうか。

単なる私感である。

 

絵を見るのは大好きだけど、すいている中で独り占めのように作品と向き合えるのはさらなる至極の時間である。

 

地方の小さなギャラリーは、侮れない。

ゆっくりと作品と向き合える。

 

いつか、赤富士を「粒彩画」で書いてみたい、なんて思っている。

まだ、ちゃんと作品らしいものを完成させたことはないのだけど、、、。

 

「粒彩画」とは、椿AKOさんの色褪せないサンドアート。

色の砂をつかった、サンドアート。

浮世絵とは関係ないけど、これも、とても素敵。

1000年たっても色あせない、AKOさんが開発に携わった砂。

 

やはり、アートは心を癒してくれる。

普段の頭と違うとことが刺激される感じ?

よくわからないけど、好きで、気持ちいいのだから、なにか脳がしげきされているのだろう。

 

コロナで美術館や博物館の経営も大変だと思うけど、どうか、地方の小さなギャラリーも存続してくれますように。

”なにより、アートこそ、守るべし!”

メルケルさんのような指導者、素敵だと思う。