「不思議の国のアリス」 by ルイス・キャロル

不思議の国のアリス」 

ルイス・キャロル

矢川澄子 訳  金子國義 挿画 

新潮文庫

平成6年2月25日 発行  平成26年6月10日 31刷

 

ご存じ、アリスの冒険物語。

隙間時間で、ちゃっと読める本を図書館で探して、

背表紙の薄さから、この本を手に取った。

175ページ。

挿画は、カラー。

文庫本としては、お手ごろ感含めて、なかなか、素敵だ。

表紙もピンクで、かわいらしい。

 

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不思議の国のアリス 新潮文庫

 

物語として読むのは、何十年ぶりだろうか?

子供のときに読んだのは、絵がたくさんかいてある児童書だったような気がする。

改めて、物語として読んでみると、翻訳のうまさなのか、軽快に進むスピード感、アリスの迷いのない決断、改めて、面白いお話だったんだ、と、気づかされる。

 

イモムシの「だれだい、あんたは?」とか、

侯爵夫人の「それでもって、こいつの首をちょんぎっておしまい」とか、

セリフの訳し方が、うまいなぁ、って思う。

ポンポン、テンポよくお話が進む感じ。

セリフは、訳し方で、だいぶ印象が変わるだろう。

こういう、児童書も英語と日本語とを見比べて読んでみても面白いかもしれない。

 

ネタバレ。

と、断るまでもなく、誰もが知っている物語だと思う。

ストーリーそのものを全部覚えていなくても、チェシャネコ、ドードー、トランプの女王様、、、アリスが、大きくなったり、小さくなったり、、、と、シーンは思い浮かべることが出来るのではないだろうか。

 

本を読んで、改めて思ったのは、アリスって、なんて勇敢なんでしょう!ということ。

チョッキを着た白兎を追いかけて大きな穴に飛び込むのも、なかなかの勇気だが、「不思議の国のアリス」のストーリーに引き込まれるのは、穴に入ってからのアリスが孤軍奮闘するからかもしれない、と思った。

 

アリスには、桃太郎のような雉や犬はいない。スタンドバイミーのような、友達もいない。アリスは、一人で冒険を始めるのだ。

アリスは、一人で「ワタシヲオノミ」と書かれたビンの中身を飲むべきか、飲まざるべきか、、、決断するのだ。

持っている知識を総動員して、「毒」とは書いていないのだから、きっとこの家から出るために飲むべきなんだ、と判断して飲んでみる。

「チェリー・タルトとカスタードとパイナップルとロースト・ターキーとタフィーと焼きたてのバター・トーストをいっしょくたにしたような香り」を一気に飲み干す。

 

みるみる小さくなるアリス、、、、。

びっくり!

でも、「これであの小さなドアからかわいいお庭に出らる」と思うと、アリスはぱっと顔を輝かせる。

 

そう、アリスは、やってみることに躊躇しなければ、その結果による変化を前向きに前向きに受け止める。普通、訳の分からないものを飲んで、自分が10インチになっちゃったら、慌てふためくだろう。アリスは、いたって前向きだ。

 

その、テンポの良さが、アリスの景気の良さが、この物語の魅力なのかもしれない。

 

と、出だしからそんな風に楽しく思いながら、あっという間に読んでしまった。

そうだった、こんな登場人物(動物)いたなぁ、と思いつつ、なかなか楽しかった。

 

著者のルイス・キャロルは1832ー1898年、本名、チャールズ・ラトウィッジ・ドジスン。ずいぶん厳めしい名前だ・・・・。イギリスの童話作家でオックスフォード大学の数学と倫理学の教授。本作は、キャロル自身が、幼い三姉妹と出かけたピクニックで、次女のアリス・リデルにせまがれて、即興的に作ったお話。幼い少女たちをこよなく愛し、生涯を独身で通した女性。

 

自分に子供がいなくても、子供を楽しませることができるんだな、って、うれしく思う。

 

時間つぶしに手にした本だけど、なんだか、元気になる気がした。

100年以上、愛される物語なわけだ。

 

子供の時に読んだ本を、読み返すのもなかなか楽しい。

夢の世界。

忘れたくないな、と思った。

 

これから、季節は秋から冬へ。

寒い冬は部屋にこもって本を読むのが好きだった。

外で遊べないかわりに、本を読んで主人公と一緒に冒険する。

そういう時間、好きだったなぁ、と思い返す。

 

大人の読書も、もっと妄想を楽しもう。

読書は、楽しい。