「10% Happier」 by  ダン・ハリス

10% Happier
ダン・ハリス
桜田直美訳
大和書房
2015年5月31日 第1刷発行


デイブ・アスプリーの著書「シリコンバレー式超ライフハック」の中で紹介されていたハックの一つに、
「心を鍛えて、頭の中に『正しい声』を響かせる」
というものがあった。

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そのハックのなかで紹介されていたのが、ダン・ハリスだった。
心を鍛えるには、瞑想がいい。そして瞑想を知りたいなら、ダン・ハリスに習え、と。

瞑想をすると、創造的になり、集中力が増し、「いい人」になれる、と。


ダン・ハリスの「10% HAPPIER」という瞑想アプリがお気に入りだと書いてあったので、10% HAPPIERで検索してみたら、そのままのタイトル本があった。
図書館で借りてみた。

著者のダン・ハリスは、ABCニュースのニュースキャスター。表紙にも背表紙にも「10% HAPPIER 人気ニュースキャスターが『頭の中のおしゃべり』を黙らせる方法を求めて精神世界を探求する物語」とある。

確かに瞑想のやり方も書いてはあるのだが、どちらかというと、彼がなぜ瞑想にのめりこんでいったのか、失敗、失望、野望、夢、どうやって折り合いをつけていったのかのストーリー。まさに、彼の人生ストーリーなのでとても読みやすい。

人気キャスターでありながら、ドラッグにはまって仕事上で大失敗した話から、さまざまな精神科医との出会い、スピリチュアルな世界への希望と懐疑、その道の権威との出会い、そんな話だ。極めつけは、10日間の瞑想合宿。

で、彼がたどり着いた一つの気づきは、瞑想したからと言ってすべてが解決するわけではないけれど、少なくとも今より「10%は幸せになれる」ということだった。
で、「10% HAPPIER」というわけだ。

 

なかなか、楽しい本だった。
宗教への信仰の本を読んでいてもいつも思うのだが、「野望」と「信仰心」のようなものは共存していいのだろうか?という疑問がいつもあった。「いい人」でいるためには「野望」は持つべき出ないような気がしてならない。
でも、彼は、はっきりと言っている。「野望」は、あっていい、と。彼自身が野望の塊のような人間であり、かつ瞑想にのめりこんでいる。キリスト教福音派のカリスマ、ヨガの達人、仏教の悟りに開いた人、さまざまな人との出会いの中でも、それぞれの人にただ傾倒するのではなく、どこかで「いい人と野望」のはざまの矛盾がすっきりしないでいるダン・ハリス。テレビ局の同僚や上司、社長、そして身の回りの妻、友人、様々な人とかかわりあいながら、10% HAPPIERにたどりつくまでのストーリー。

その、普通の人っぽさが、読みやすい本の要因だと思う。

怪しいスピリチュアルな本ではない。

と、少なくとも私にはそう感じた。

 

瞑想、毎日するのがよいそうだ。
やってみようかな、、、、。

 

途中、仏教の世界へ彼の興味はとぶのだが、日本でも坐禅と瞑想とが混在しているようなきがするけれど、彼の理解も、ちょっと坐禅と瞑想と、コンタミしているような気がしなくもない。仏教への理解も、あれ?という点がないわけではない。

ま、坐禅でも瞑想でも、正しい姿勢で「呼吸に集中」することは共通だ。
坐禅は、目をつぶらない。瞑想はつぶってもいい。
私が理解している違いもそんなものだけど・・・・。


本書の付録になっていた、「瞑想のやり方」以下、覚書。


基本的なマインドフルネス瞑想

1 楽な姿勢で座る。
足を組んだ座禅の姿勢にこだわる必要は無い。もちろん本格的にやりたいならそれでも構わない。椅子に座ってもいいし、立ったままでもいいし、横になっても良い。ただし横になると気づかないうちに眠ってしまうことがあるので注意。どんな姿勢でも背筋をまっすぐ伸ばすこと。ただし力を入れすぎてはいけない。

 

2 呼吸を意識する。
鼻、お腹、胸など意識する場所を決める。「吸って」に全神経を集中し、そして次に「吐いて」に集中する。

 

3 これがカギだ。
余計なことを考えてしまったら、(あなたは必ず余計なことを考える。何千回と考える) 優しく意識を呼吸に戻す。そこで自分を許し、また1から始めるのが、瞑想の全てと言っていい。これは何回強調しても足りない位だ。友達で瞑想の先生でもあるシャロン・サルツバーガーはこう書いている。
何度も何度も1からやり直すのが瞑想なのです。いつかその問題を乗り越えて、ついに『本物の瞑想』が始められると思っている人がいますが、そういうことではありません。」


と、以上が瞑想のやり方。

 

本書の中で彼が出会った人の中で、特におもしろそうだったのが、エックハルト・トール氏。
野望と瞑想による穏やかなこころは共存するのか?というハリスの疑問に、
「するべきことをする。真に力強い行動は、穏やかな心から生まれるのです」と答えるトール氏。

トール氏の書籍は、アメリカではかなりのベストセラーだったらしい。
「さとりを開くと人生はシンプルで楽になる」 (徳間書店
が、面白そうだった。

瞑想して穏やかな人間になることと、物事への執着を無くしてどうでもいいと思うのはまったく違う、という。

大事なのは、
自分の力ではどうにもならない出来事に、いちいちエネルギーを費やすのはやめてコントロールできることだけに集中する。賢い野心家なら成功のために自分にできる事は全てやり、そして結果には執着しない。」

悟りを開いた利己主義、っていうのはあっていいそうだ。

 

「執着しない」、ということは断捨離の世界でもよく言われる。

でも、世捨て人になるという事ではなく、「結果」や「モノ」に執着しないという事であって、目標へのプロセスには執着するのが「賢い野心家」ということだろうか。

 

やるべきことをやる。

目標のレベルを上げる。

リーダーになる。

 

瞑想は、そんな目標にも効果がありそうだ。

毎日、短い時間でも続けることが大事だそうだ。

10%も幸せが向上するなら、やってみる価値はあるかも。

 

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10% HAPPIER ダン・ハリス