「パンデミック日記」
「新潮」編集部/編
2021年6月25日発行
新潮社
ヤマザキマリさんが薦めていたのか?、きっかけは忘れてしまったのだが、夏ごろに図書館で予約していた本の順番がまわってきた。
作家、音楽家、評論家、画家、、、様々な文化人たち、52名による2020年1月1日から12月31日まで、日記のリレー。一人、一週間。
こういう本をつくろうという編集部の意図で、それぞれの人に依頼したのだろうか??
一人、連続7日分。
7日でも、その人の生活の様子が伝わってくるのが面白い。
たんたんと、それぞれの人の日記がつづられていく。
なかなか、面白い本だった。
特に、学びがあるとか、コロナのことが分かるとか、そういう事ではないのだけれど、知っている執筆者もいれば、知らない人もいて、それぞれの人の生活は、コロナの最中であろうと、それぞれ日常が続いていく。
そんな本。
そう、何があっても、人は生きていくのだ。
1月1日は、筒井康隆さんから始まる。
まだ、日本国内では、コロナに対してたいした緊張感もなく、年賀状やら、おせち料理やら、の話題。年始のゴミ出しに併せて出張の予定を調整しているとか。
ヤマザキマリさんは、2月26日から。
イタリアでの感染者は、330名。死者11名。イタリアに帰国できない状況ではあったけれど、マリさんは、友人と美味しいカニを楽しんだり、歌舞伎を楽しんだり。3月3日には、イタリアで感染拡大し始めている状況を夫から聞き、電話越しに感じられるイタリアの緊張感と日本の緩さとのバランスをとることに苦労する、と書いている。息子のデルスも、友人と佐渡島にいったりしていて、日本のヤマザキ家には緊張感はない。
角田光代が、運動不足だ、、、とつづったり、石原慎太郎が、連日テレビで映し出されるゴーストタウンのような繁華街に不気味さを感じつつも、妙にすがすがしい、とつづったり。
東浩紀、島田正彦、桐野夏生、小川洋子、塩田千春、金原ひとみ、柳美里、柄谷行人、平野啓一郎、坂本龍一、、、、、と、色々な人の日常を覗いたような気分になる一冊だった。
こんな日常日記、ただの一般人の日記なら、何の価値もないのだろうけれど、数々の文化人の日記だから、面白い。
高尚なことがつづられているわけではないから、面白い。
意外と皆さん、不眠に悩まされていたり、お酒はコンビニで買っていたり、持病の病院通いが続いていたり。。。猫に癒されたり。
熟読するような本ではない。1時間位でさーっと読んだだけだけれど、それぞれの人の文章の特徴みたいなものも面白い。
皆さん、文章が上手なのはそれはそうなのだけれど、明るいトーンの人と暗いトーンの人、自分の事を書いている人と周りの様子を書いている人、様々だなぁ、というのが感想。
日記なんて、そんなものだ。
基本、誰かに読ませるために書くものではないし、それでいて、心の整理のために書くもの。
私は、5年日記、2冊目を書いている最中だけど、日記と言うより、行動記録。一日一行だったり、、、3週間分くらいをまとめて書いたり、、、、。
ちなみに、今書いている日記帳は、2018~2022年用。
2018年11月12日: Mさんから着物のおさがり、いただく。
2019年11月12日: ジム通い。ワインスクール。
2020年11月12日: 朝ヨガ。実家に着物を取りに行く。ロイヤルホストで晩御飯。
これしか書いていないけれど、本人には、なんとなくその前後の様子含めて、思い出すことが出来る。
先輩からいただいた着物は、結局まだ着ていない。合わせる帯揚げと帯締めが欲しいとおもったまま、、、タンスに眠っている。
去年は、12月に控えていた部下の結婚式のために、実家に着物を取りに行った。そうだ、コロナで延期に延期を重ね、、、結局12月になった結婚式。かわいかったことを思い出す。
5年日記は、同じページに5年分のマスがあるので、すぐに前の年のその日に何をしていたのかわかる。なかなか面白い。
旅行に行ったのが、2年前の今日だったんだ、って思い出せたり。
ま、過去だけ振り返っても仕方がないのだけどね。
世の中には、未来日記というものもある。
こうなりたい自分の像を、未来の日程で書いておく。
目標を、「3Kg痩せる」と書くのではなく。
「2022年10月、去年から3Kg痩せた」みたいに書いて、目に見えるところに貼っておくってやつ。
潜在意識に働きかけるとかいうけど、ほんとかね?
と、思うけど、、、、。
できる自分を信じるのも大事だ。
とりあえず、私は、2021年の目標は、ただの目標として壁に貼ってある。
まだ、未達のものが、、、、、。
まだ、2か月もある。
頑張ろう。
日記は、過去を思い出すことで、今との違いを認識し、未来に向けて設計図を修正するために道具になることもある。
ボツボツと、5年日記は続けていこうと思う。
過去を懐かしむためではなく、過去からの自分の成長を振り返るために。