「イーロン・マスク  世界をつくり変える男」 by 竹内一正

イーロン・マスク  世界をつくり変える男」
竹内一正
ダイヤモンド社
2018年1月24日 第一刷発行

 

図書館で、目に入ったので借りてみた。
まっ黄色の背表紙に、黒のゴシックボールドの書体で、
イーロン・マスクと書かれていて、かなり目立つ。
単行本222ページ。

面白い!
やっぱり、世界を変えるのは技術だ!!
と、ワクワクする本だった。


著者の竹内さんは、ビジネスコンサルタント。1957年生まれ。松下電器産業(現・パナソニック)に入社。その後 Apple コンピューターに転職。2002年にビジネスコンサルティング事務所を作られた方。

本書は、イーロン・マスクの魅力を皆にもっと知ってもらいたい!という想いにあふれているような感じ。
そして、これからの未来に向けた、ビジネスのありようについて、語っている。

 

イーロン・マスクと言えば、

宇宙開発:「スペースX」
電気自動車:「テスラ・モーターズ
再生可能エネルギー:「ソーラーシティ」

 

私は、彼に対して、新しい技術を使って、新しい物を作り、新しいビジネスモデルを作る人。超人、というイメージを持っていた。
確かに、この本に出てくる彼のイメージも、その通りだ。
ただ、成功の裏には、たくさんの失敗もあって、それでも、目指すべき理想の世界のために、何度でも立ち上がったから、成功がある、ということがよくわかる本だった。


圧倒的な想像力で、新しい世界を作る人と言えば、やっぱり、スティーブ・ジョブズだ。
イーロン・マスクも、スティーブ・ジョブズも、サイコパス的なところがあるのは否めない。
自分の理想とする世界のために、ひたすら突き進む。壁にぶち当たっても、次の瞬間には立ち上がり、また走り始める。

本書の中では、イーロン・マスクが、如何に失敗を繰り返しても、最初に目指した理想を捨てずに、自分を信じて突き進んだこと。技術についても、資金集めについても、正しく判断し、自分の理想を貫き通したこと、が語られている。

 

宮崎駿さんのことばが、引用されていた。
理想を失わない現実主義者になれ! 理想のない現実主義者なら、いくらでもいる

まさに、イーロン・マスクは、理想を現実にしていった男。

 

そして、著者、竹内さんが考える企業のフェーズが示される。
①  ゼロからイチを生み出す段階「ゼロイチ」
② 1を100にする段階
③ 会社の危機を乗り越え、再生する段階
④ 会社をたたむ段階


イーロン・マスクがやっているのは、ほとんど、①「ゼロイチ」の段階。
②が得意だったのは、松下幸之助さん。
③が得意だったのは、カルロス・ゴーン。ま、、、その後の顛末を考えると微妙だけれど、瀕死の日産を一時救ったのは確かだ。
④は、だれということは無いけれど、時代の流れにそってソフトランディングさせることも大切、という話。

 

個人的には、やはり、①「ゼロイチ」に惹かれる。
テクノロジーは、世界を救う、と思っていた。今も、ちょっと思っている。
だから、本書、イーロン・マスクの話は、面白かった。

 

イーロン・マスクのすごいところは、ただ、プロダクトを作り出すだけでなく、それで世界をかえる仕組みそのものも作っているところ。

電気自動車を作るだけではなく、バッテリー、充電の仕組み、までをもビジネスモデルに組み込んでいる。
対象として例にあげられていたのが、トヨタの「ミライ」燃料電池車。トヨタは、水素ステーションの開発は、他社に任せた。インフラもセットで整わないと、新しい世界は作れない。

 

イーロン・マスクの技術開発のすごいところは、誰かのモノ真似ではなく、原理原則にのっとって、一から考えて作っていくところ。

宇宙へのロケットを再利用するという考え。着陸には、スペースシャトルのような滑走路を使った着陸ではなく、シンプルな円柱にちかい形のロケットを、「超音速逆噴射」によって、お尻から着陸させるという発想。
発射のときのビデオを、逆再生するような感じだ。

そりゃ、そうだ。
でも、そんなこと、ホントにできるのか?!?!
と、思う事を、実現させるための技術を開発、実証することのすごさ。
さすが、物理学と経済学をまなんだイーロン・マスクだ。

 

改めて、イーロン・マスクの経歴を見てみると、
1971年 南アフリカ生まれ
17歳で、カナダへ移住。クイーンズ大学へ。
その後、1995年アメリカ ペンシルベニア大学経営学と物理学を学ぶ。
そして、スタンフォード大学
そして、スタンフォード大学は、2日でやめた・・・!!
弟のキンバル・マスクとインターネット版イエローページ「Zip2」を立ち上げる。
そして、Xドットコムなどなど。
2002年 「スペースX社」設立
2004年 「テスラモーターズ社」へ出資、会長就任
2015年 ファルコン9の一段目ロケット陸上着陸成功、史上初

と、、、、

最初のインターネット関連事業で、巨額の富を手に入れられたから、挑戦し続けることが出来たという側面もあるだろう。
でも、イーロン・マスクには、彼に投資したい、といって応援してくれる人もたくさんいる。
未来を作ってくれる人に投資する。それは、一つの社会価値創造への貢献だ。

そして、本書の最後の方に、たしかに、イーロン・マスクはすごいけれど、彼を支える仲間もまた、すごい、ということが書かれている。

 

そうなのだ。
一人の天才だけでは、世界は変えられない。
でも、それを支えるたくさんの人がいて、一緒に未来を作っていくたくさんの仲間がいて、初めて、世界は変わっていく。

 

「無茶」を「飛躍」にする人。
そういう人、応援したい!
と思う。

やっぱり、技術は平和目的で、使われねばならない。
そして、新しい世界を作る。
なんて、ワクワクする話だ。

 

あー、面白かった。
読書は楽しい。

 

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イーロン・マスク 世界をつくり変える男