「『働き方』の教科書 無敵の『50代』になるための仕事と人生の基本」  by 出口治明

「働き方」の教科書 無敵の「50代」になるための仕事と人生の基本
出口治明 ライフネット生命保険会長兼 CEO
新潮社
2014年9月20日 発行

 

図書館の棚で見つけたので借りてみた。

出口さんのライフネット生命保険株式会社の会長兼 CEO をされていた時の書籍。

出口さんの若者に対する叱咤激励の書。「無敵の50代になるための」とあるが、そのために20代30代40代でそれぞれ何をするべきかということも書かれている。もちろん、50代になったら何をすべきかも。

50が目の前の40代にお薦めの本かもしれない。もちろん、50代の私にも面白かったけど。

 

構成は以下の通り。

序章 人生は「悔いなし、遺産なし」
第1章 人間と人生をどう考えるか
第2章 仕事と人間の関係
第3章 20代の人に伝えたいこと
第4章 30代40代のうちにやっておくべきこと
第5章 50代になったら何をするか
第6章 あなたが生きるこれから30年の世界
終章 世界経済計画のサブシステムを生きる

 

出口さんの「悔いなし、遺産なし」というのは、やりたいことに、十分に時間もお金もかけろ!ということ。

そう、お金は使わないと何の価値もないのだ!

50を過ぎたら、未来のために貯金するではなく、未来のために使おう!

 

第1,2章では、人間とは何なのかという事が語られる。
ヘンリー・キッシンジャーの「人間は ワイン と同じクリマの産物だ」という言葉が引用されている。クリマというのはワインに関する用語で、ワイン作りに影響を与える地理的な条件すなわちその固有の土地を指す言葉。 気候のような大きな枠ではなく、土壌、傾斜、斜面の向き、降水量や一日の気温の較差など、局所的な地理的条件と言えばいいだろうか。それは、人間も同じだ、というのだ。ワインはそのクリマを知ることで、より美味しくいただくことが出来る。同じように、誰かと付き合うときは、その人の生まれ育ったクリマ、土地のことを知るというのは大事、と言う話。

自分の生まれ故郷や生まれ育った土地について詳しい人がいると、なんとなく親しみを感じるのは、クリマを共有したことがあるような気になるから、なのかもしれない。ちょっと、分かる気がする。人間もワインもクリマの影響を受けるって。
興味を持った人の育ったところを知りたくなるのも、美味しいワインの背景を知りたくなるのと似ている。

 

そして、人間も所詮動物。動物として自然な事をすればいい。良いことも悪いことも、綺麗なことも汚いことも、正面からむきあって、嬉しいも悲しいも、いろんな感情・感覚を経験して、人は育っていく、と。

 

そして、人生は99パーセント失敗する。だから、失敗がたくさんあっていいのだと。失敗は無駄ではないのだと。


出口さんが考える、人生を無駄にする3つの行動
「済んだことに愚痴をいう」
「人を羨ましいと思う」
「人に良く思われたいと思う」

この三つを避けましょう、と。

「人から良く思われたいと思う」という思いから逃れるのが最も難しいという。
なぜなら、人は虚栄心が強く、プライド、自意識共に過剰な生き物だから。あまり人の目を気にしすぎると、チャレンジをしなくなってしまう。そうならないためにも教育が必要で、教育が生きるための武器を与えるのだと。
武器と言うのは、チャレンジできる自信という事だろう。

そして、失敗は珍しいものではないと思えば、失敗しても次の飛躍への経験になると思えば、どんどんチャレンジできるのではないか、と。

 

そして、
20代は、自分一人でやる仕事のやり方を覚え、
30代は、人を使いながらチームで仕事をすることを覚え、
40代は、組織を率いることを覚える。
そのために必要なことが、第3,4章で語られる。

20代は、集中力をもって仕事に取組み、勉強。英語も勉強。
30代は、部下も上司も変な人はいっぱいいるけれど、人間なんてそんなもの。褒めることを忘れない。
40代は、精神論に走らず、100点も目指すな。自分の得意とか過去の成功はいったん捨てて、人の話を聴く。捨てる心が大事。2-6-2の原則を忘れず、組織のパフォーマンス全体を揚げることを目指す。

そして、50代は?
いったん、これまでの仕事を後進にすべて託すつもりでまとめてみる。出口さんはそれを遺書を書く、と言っている。これまでの仕事とバイバイするために。
そして、これから先のことを考えれば、起業するのに最高の時期だと。

 

第6章以降は、これから先の世界を生きていくにあたってのスタートである現在の世界を正確に把握することは重要。だから、世界に目を向けてみよう、ということ。
日本はどんな社会をめざすのか、それを考えることは起業のヒントにもなるだろう、と。多くの人が共感すること。時代の変化にそって、まっとうなこと。

 

出口さんは、若い人が安心して赤ちゃんを産み、育てられる社会にしたいと思って、より安価な保険の提供を会社の価値とした。日本もフランスのシラク三原則」にならった政策を実行すればいいという。
フランスは、少子化対策に成功した国と言われている。
その、シラク三原則とは、
① 子供が多いほど、多くの補助金を出す。
② 保育園を充実させ、待機児童ゼロとする。
③ 3年の保育休暇の後でも、元居た職場の元のポストでの仕事を保証する。

そして、フランスでは、法律婚事実婚も関係なく、子供は社会の宝として大切にされる。社会が子供を育てるという意識だ。

それに比べて、日本は、婚外子が法律的に差別されている。おかしな国だ。なんで、そんなことで子供の権利がかわるのか?戸籍によって権利が変わるというのは、婚姻もそうだ。日本が婚姻制度を成立させたのは1898年、明治31年。たった120年前だ。古来からの伝統でもなんでもない。

以前、フランスに出張している最中、職場のフランス人と雑談をしていて、「あなたは子供はいないのか?」ときかれた。私は、”No、No!I am single.” と言ったら、フランス人たちが全員キョトン?とした。
フランスでは、独身であるということと、子供がいるかと言うのは、関係ないのだ。
まさに、「えーーー!なんの関係があるの?????」の皆の反応。
あ、そうか、そうか、、、と、思ったことがあった。もう、10年以上前の話だ。
日本だと、シングルマザーと聞くと、なぜシングルなのか聞いちゃいけないような空気がある。。。

日本ももっと自由に子供が産めるようになればいいのに、と、本当に思う。

 

本題に戻ろう。

さて、「無敵の50代」になるために、これから自分ができることは何だろう。
失敗してもいいから起業してみる。
そこに尽きるかもしれない。
そのために、サラリーマンをやめたのだし。

そのための武器は、やはり学び続けることだと思っている。
「人に良く思われたいと思う」を忘れよう。
失敗したらみっともない、とか、、、、忘れよう。
しょせん、人間は動物だ。失敗もする。
えーーい!失敗してもいいから、とりあえずやってみよう!

2021年12月にして、ちょっと奮起している今日この頃。 

チャンスの神様は前髪をつかめ!

 

ちょっと、頑張ってみようと思う。

仕事も勉強も。

 

読書は楽しい。

 

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『働き方の教科書』 出口治明