『脳を鍛える読書のしかた』 by 茂木健一郎

脳を鍛える読書のしかた
文章を読んで聴いて書けば脳は成長する
茂木健一郎
マガジンハウス
2009年11月26日第一刷発行

 

マガジンハウスの45分でわかるシリーズ。全93ページ。本当に、45分もかからずに読める一冊。雑誌感覚。


図書館で「読書のしかた」というキーワードで検索したら出てきたので借りてみた。本当は佐藤優さんの『危ない読書』にでてきた、黒田寛一(クロカン、革丸リーダー)の『読書のしかた』を探してみたのだが、図書館にはなかった。危ない本だから?!?! 

 

本書は、実にシンプルな本で、茂木さんのお話を聴いているような感じで読める。

もくじ
1 「本を読む楽しさ」は変わらない
2 世紀をまたいで読み継がれる「活字」の底力
3 読めば読むほど深遠な「漱石文学」
4 人としてあるべき姿を思い起こさせる名作
5 時を経て、回数を重ねて深まる読書の面白さ
6 「読む」力を養うためには「書く」ことも必要
7 文章や言葉は誰でも磨いていける
8 日本語の将来のためになすべきこと
9 素晴らしき日本語による素晴らしき日本文化の発信


インターネットの時代で、ネットニュースも簡単に読める時代だが、活字になっている「本」の楽しさは、変わらない、と言う話。携帯で読むネットニュースは、数日たてばすっかり記憶からは消えてしまう。でも、本で、活字で読んだものは記憶に残りやすい。本は、これからも無くなることはないだろう、と言う話。


私は、kindleも使うのだが、やはり、紙の本のほうが好きだ。紙の本は増えると置き場に困るので、Kindleを使い始めたけれど、結局、紙の本も買っている。紙の方が圧倒的に内容が頭に残る気がする。なぜだろう??紙の手ざわりとか、匂いとか、質感とか、、、その文字にまつわる周辺情報がたくさんあるから?なんて思う。

出かけた時に、本がカバンに入っていないと、しまったぁぁ!!と思うのだ。たとえ、携帯電話やタブレットkindleは常に読める状態だったとしても。

 

そして、自筆と活字の違いについて、純粋文学のようなものは活字の方がいいこともある、という。手書きの年賀状と、印刷の年賀状、、、確かに受け取る印象は違う。個人のクセがでてない活字の方が、まっさらに読めることもあるから、活字はよいのだ、という。活字の印刷技術がなければ、本はここまで普及しなかっただろう。
そう意味で、古典として今なお読み継がれているものは、もともとは人が手で書き写していたものであり、そうまでして後世に残そうとしたもの、ということだ。「論語」が例としてでてくるのだが、2000年語り継がれ、読み継がれる。2000年前の人の思想に、今触れることが出来る。本と言うのはすごい。活字は、すごい。

 

漱石」は、日本文学として子供の時から読む機会が多いと思う。でも、大人になって漱石の波乱万丈な人生、ちょっと崩壊しているような人格を知ってから読み直すと、何度読んでも新しい発見がある本の一つかもしれない。本書のなかに、『三四郎』にでてくる野々宮は寺田寅彦がモデルと言われている、という一節があった。知らなかった。寺田寅彦は、戦前の日本の物理学者で、岡潔が師と仰いでいた人だ。おもわぬところで、点と点がつながった。
久しぶりに、漱石が読みたくなった。

 

茂木さんが、人としてのあるべき姿を思い起こさせる名作としてあげているのが、『赤毛のアン』。茂木さんは、小学校5年生の時に『赤毛のアン』を読んで大感動したそうだ。そして高校生の時にはシリーズ10冊全部を英語で読んだと。それが茂木さんの英語力を飛躍的に伸ばしてくれたとのこと。かつ、プリンス・エドワード島には2回も旅行したことがあると、筋金入りの『赤毛のアン』のファン。
実は、先日、図書館で、茂木さんの『「赤毛のアン」で英語漬け』という本を見つけた。
本書を読む前だったのだけれど、ちょっと気になって借りてきてある。まさか、茂木さんがそんなに『赤毛のアン』のファンだったとは。じっくり読んでみようと思う。

 

「読む」だけではなく、「書く」ことも大切だという話には、勇気づけられる。このMegurecaを書き始めたのも、「書く」ということで頭の整理をしたかったから。
茂木さん曰く、脳の学びの形式として「感覚性の学習」と「運動性の学習」というものがあるとのこと。このバランスが取れていれば取れているほど、脳の学びとして完璧になる。自分が聞いたり味わったりするのと同じように、自分が表現できる。これが「感覚性の学習」と「運動性の学習」のバランスが取れているということらしい。

養老孟司先生も、すべてのアウトプットは運動だ、と言っている。たとえ、パソコンで書いていても、キーボードを打つ手の運動、音声入力する口の運動が必要。読んでいるだけの時は、視覚という感覚を使っているだけだ。音読すると、口を動かすので記憶されやすいという。
感覚と運動、両方使うのがいいらしい。

 

最後に、日本語は素晴らしい、でも英語にすることでもっと日本の文学を海外に輸出していいのではないか、と言う話。
たしかに、日本語には、日本語にしかない表現がある。これは、他の外国語もそうかもしれないけれど、その文化、その土地の風土にあった言葉がある。それを海外の人にも通じるように翻訳する、ということも大事なことだと。

茂木さんのもちだした例が面白い。
「ほたる」、あの、蛍だ。美しく輝く蛍。
ほたる、たしかに美しい響き。ほたる。ほたる。ほたる。。
それを、英語で言うと、「firefly」ファイアーフライ。。。。。
”ファイアーフライはないですよね。”と。
ははは、確かに。風情ゼロだ。

「木漏れ日」も、木から漏れた日差しなんて、直訳されたら、残念だ。「こもれび」は、「こもれび」。

45分もかからずによんでしまったけれど、こうして覚書にすることで、記憶に定着する。
アウトプットは大事だ。

そして、この薄い「読書のしかた」の本で、まさか書くことの大切さや英語に翻訳することの大切さが書かれているとは。

 

読むことと、英語の大切さ、実は、佐藤優さんもしばしば指摘されている。

 

日本語も英語も、たくさん読んでたくさん書こう。
英語のブログを書くまではいかないけれど、英語の勉強ももっと続けようと思う。

そうそう、本書の中にバイリンガルは老化に強い!って。
言語を鍛えると、脳が鍛えられるって事らしい。

2022年も、英語も読書も楽しもう!!

 

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『脳を鍛える読書のしかた』 茂木健一郎