『超、思考法』 by ウィリアム・ダガン

『超、思考法』
コロンビア大学ビジネススクール最重要講義 天才の閃きを科学的に起こす
 The Seventh Sense:  How flashes of insight change your life (2015)
ウィリアム・ダガン 著
 児島修 訳
ダイヤモンド社
2017年11月15日 第1刷発行

 

先日参加した、渥美育子さんの『地球村への10のステップ』で、渥美さんが紹介していた本。

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グローバルマインドには「ひらめき」が重要だとお話をされていて、「ひらめき」は人工的に閃きやすい状況は作れるんだということを説明してるのがこの本、ということで紹介された。第6感は過去のことだけれども、第7感は新しいこと。「直感」は過去の経験によってもたらされるものだけれど、「ひらめき」は、新しい発見!なので、第7感を動かすための思考法、という話らしい。ちょっと面白そうだと思ったので図書館で借りてみた 。

 

著者のウィリアム・ダガンは、コロンビア大学ビジネススクール上級講師。フォード財団での戦略コンサルタントを経て、コロンビア大学ビジネススクールで「第7感」について大学院課程とエグゼクティブコースで教えている。また世界の企業の何千人ものエグゼクティブに第7感についての講義を行っているとのこと。

 

なかなか、面白い本だった。

「超」とついているから、なんちゃってハウツー本かと思ったら、なんちゃって、なことはなかった。
「直感」と「ひらめき」を違うものとして扱っている。
原書で、英語でなんとなっていたのかが気になるところだ。

 

目次は以下の通り

チャプター1 もっとも「深い答え」を生み出す -究極の能力「第7感」で考える方法
チャプター2 それは「忘れた」ころにやってくる ー「ただ考える」を超える
チャプター3 「思考の燃料」を蓄積する ー使える「先例」を頭の中に収集する
チャプター4 「脳のプラグ」をすべて抜く ー脳が本当の力を出せる状況を作る
チャプター5 脳が一瞬で「スパーク」する ーこうして爆発的な「発想」をつかむ
チャプター6 「考えるだけで終わらせない」 ー「決意」で思考が深化する
チャプター7 すべての「ムダな思考」をやめる ー「考えるべきこと」だけを考える技術
チャプター8 全部を「マップ」にする ー霧のような思考を「見えるもの」にする
チャプター9 「良い質問」がすべてを変える ー「問う」ことの驚くべき効果
チャプター10 「1パーセント」の時間を使う ー「第7感」を習慣化する

 

アインシュタインアルキメデスジャンヌ・ダルク、etc. 偉業を成し遂げた人々は「突然のひらめき」「ユリイカ・モーメント」「アハ!体験」「天啓」、頭の中で新しいアイディアが生まれた瞬間を経験している。
それまではわからなかった、人生の価値ある目標を達成するための方法が突然見つかる、そんな瞬間。
そして、この本は、そんな「ひらめき」をもたらすように脳のパワーを最大限に活かすためのハウツー本、といったところだ。


その「ひらめき」のパワーを、本書では、「第7感」と呼んでいる

 

五感と言えば、嗅覚・味覚・触覚・視覚・聴覚。五感とは、脳の力のことだ。鼻・舌・肌・目・耳を通じて得られた情報が神経細胞によって脳に伝達されることで、人は初めてそれを感覚として認識する。

五感で知覚したものは、記憶によって認識につながる。
私たちが、バラのにおいを認識できるのは、以前に嗅いだことがあるから。


第6感は、「直感」と呼ばれることが多い。消防士や救急看護師などはとっさに強力な第六感をはたらかせて、人々を危機から救う。過去の経験から得られる直感

 

第7感は、「わかった!」という確信をうむもの。ひらめき、だ。

 

第7感を説明するのに、スターバックスの成功につなげたハワード・シュルツの話が出てくる。当時、スターバックスは、シアトルでコーヒー豆を売る店だった。シュルツは、家庭用品の展示会に参加するためにミラノに出張する。そして、初めて、町中にあふれる「コーヒーバー」を目にする。展示会にいても、心がなにかざわつく。そして、気がついた。イタリアのコーヒーバー文化をスターバックスに取り入れる!。ただ、什器を探しに来ただけだったはずの出張から、思わず「ひらめき」を得た瞬間。そして、彼はその夢の実現のために、スターバックス(コーヒー豆屋さん)を辞めて、コーヒーバーを自ら経営するという行動をとることを決断する。後に、スターバックスを買収するまでに成長する、という話だ。

 

何かと何かが結びついて、これが自分がやるべきこと!と思える瞬間、第7感!

 

こういった、第7感を得られるように、自分の思考の準備をしておくためのティップスが本書のメイントピックス。

 

第7感というのは、経験も必要だ。だから、自らの経験だけでなく、歴史の先例をたくさん知っていることも大事。それが、思考の燃料になると言うわけだ。
また、心をオープンにしておく、オープンマインドがなければ新しい情報が重要な情報として飛び込んでこない。そのためには、脳のプラグを抜いておく、つまり、集中から離れる時間も必要ということ。
新しい情報は、アイディアが良ければよいのであって、誰かのアイディアの借り物でもいい。コーヒーバー文化なんて、まさにイタリアから借りものだ。でも、その時に、機器をみにきていたという目標から「コーヒー文化をつくる」という目標に変える柔軟なマインドがなければ、「ひらめき」につながらない。

 

脳がスパークするような感覚は、集中して分析している脳には起こらず、リラックスして深い洞察にあるときに起こるという。

 

そして、ひらめいたことは、考えだけで終わらせない。考えから行動に移せないのは、実は勇気が足りないのではなく、アイディアが不完全だから。とことん考える。人に意見を聞く。批判的意見はさておき、改善案を聞くのだ。

 

オープンマインドで話を聴く。そのためには、執着しすぎずに聞く注意散漫(マルチタスク)を避ける。人の脳は、マルチタスクはできないことが判明している。しているつもりでも、高速でタスクの切り替えをしているだけで、各タスクのパフォーマンスは落ちてしまう。携帯の電源を切って、人の話を聴こう。

 

戦略的にアイディアをねる。
悲観的でも楽観的でもなく、戦略的に考える。
戦略論がでてきて、クラウゼヴィッツの話が引用されていた。佐藤さんの『危ない読書』とつながった。(アハっ!)

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批判的意見があれば、感情はネガティブになる。プレッシャーやネガティブ感情が起きても、コルチゾールを分泌させずに、アドレナリンの分泌をさせる。

そのための思考の解放方法が 「フリー・ユア・マインド」

STEP1:すべての問題を書きだす
STEP2:過去と未来に分ける
STEP3:カルマ(自分でコントロール不可)or ダルマ(自分でコントロール可能)に分ける

STEP4:行動を決める (To Do List)

自分で解決できることに集中するというのは、大事だ。

 

そして、思考の全体図を把握するために、思考を全部マップ化、思考の見える化をする。
これが、マインドマップのようなものかと思ったらそうではない。
私にとっての、「アハ!体験」だった。Megureca!

本書では、人生戦略マップとよんでいるが、実際には、表だ。
A4用紙横向きに使ったとして、8行。列は、やりたいことの数だけ。
一番上の行に、左から順に書くのは、
・やりたいこと
・行動
・障害
・行動
・未知のステップ
・行動
・障害
・目標

未知のステップが、空欄。
それが、「ひらめき」につながる空欄。
「やりたいこと」と「目標」へのを埋めるなにかが、未知のステップ。

なるほど、そういう事ね、って感じ。
なるほど。
普通は、やりたいこと→行動→行動→行動→目標、となるところをあえて、空欄の「未知のステップ」と言う枠をつくっておくことで、普段からそこへアンテナをたてておく、という事の様だ。

 

なかなか、面白い本だった。
ちょうど、新年を迎えるところだし、あらたに、人生戦略マップも書いてみようかな、と言う気になった。

 

アインシュタインが、若い学生へ宛てた手紙の言葉。
「最大の努力をすれば何とか達成できることに取り組め!」

ムリをするのではなく、自分でできる最大限の努力をする。そうしているうちに、誰かのアイディアとつながるひらめきがある、ということ。 

 

なかなか、深い。

 

自分一人で成し遂げなくてもいいんだよね、と言う気になってくる。

ひとは、社会的動物だからね。

 

色々なチャンスもひらめきも、誰かからもらうことが多い。

結局、そのチャンスやひらめきに対して、準備ができているかどうかが重要なのだと思う。

 

今の自分にできる最大限の努力をする。

それでいいんだ。

そう、それでいい。

 

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『超、思考法』 ウィリアム・ダガン