『脳を活かす勉強法 奇跡の「強化学習」』 by  茂木健一郎 

『脳を活かす勉強法 奇跡の「強化学習」』
茂木健一郎 
PHP
 2007年12月18日 第1版第1刷発行 


茂木さんの『脳を鍛える読書のしかたで出てきた本。面白そうだったので図書館で借りてみた。 PHP の単行本、全188ページ、さらっと読める一冊。

 

megureca.hatenablog.com

 

なかなか面白い。
勉強のコツがわかる本。
勉強が楽しくなる本。

 

目次 
はじめに 入学当初の僕は「できない子」だった
第1講 脳は「ドーパミン」と「強化学習」が好き
第2講 「タイムプレッシャー」が脳の持続力を鍛える
第3講 「瞬間集中法」で勉強を習慣化させる
第4講 茂木健一郎流「記憶術」
第5講 茂木健一郎の「読書のススメ」
第6講 脳のコンディションを把握しよう
第7講 自分を変える「1回性」に巡り会うには
第8講 偶有性がさらなる脳の発達を促す
おわりに 知の「オープンエンド」時代がやってきた

 

茂木さんは、最初からお勉強のできる秀才だったわけではなく、「入学当初の僕はできない子だった」と語っている。ある時から学校で学年一位の成績をとるようになった。それは勉強の仕方が分かったからに尽きる 、という。

その勉強法のポイントが、
1.強化学習
2.タイムプレッシャー
3.集中力

強化学習」は、ある行動で脳から快感物質であるドーパミンが結びつくようになると、その回路をどんどん爆走させることで、強化されていく学習。
本には、図解されているのだが、模式でかくと、

ある行動をとる
→ 試行錯誤の末うまくいく
→ 褒められる達成感を得るなど報酬を受け取る
→ ドーパミンが放出され快感を得る
→ ある行動と快感が結びつく
→  再び同じ行動を取りたくなる

という事。

楽しくなければ、快感物質ドーパミンはでない。やらされ感があるとドーパミンはでない。自分が楽しいと思える勉強の工夫が必要なのだろう。
「勉強しなさい」と言われて、勉強が好きになったという話はあまり聞かない。
これができるようになったら、これがわかったら、もっと楽しい世界が広がっている!と自分が思うこと、好きこそものの上手なれ、と同じだろう。

強化学習って、AI用語で使うけど、人間の脳も、ドーパミンをご褒美に同じことを繰り返すことで学習するっていうことなんだろう。

 

「タイムプレッシャー」というのは、自分の作業に時間制限をもうけること。他人と比較するのではなく、自分の中での目標。そして、自分の頭の回転が速くなっていることがわかると、これまた快感になっていく。「やらねばならない」、ではなく、時間内でこれだけのことをこなせた!、頑張った!という達成感がドーパミンを出すのかもしれない。
プレッシャーを楽しむってことかな。

 

「瞬間集中法」では、「鶴の恩返し勉強法 」が紹介されている。「鶴の恩返し」?!?!みんな知っている、あの、鶴の恩返しだ。

茂木さんによると、集中力は次の3つの要素から生まれる。

① 速さ:作業のスピードを極限まで早くすること
② 分量:とにかく圧倒的な作業量をこなすこと
③ 没入感:周囲の雑音が入らないほど夢中になること  「ストゥディオス状態」 

この三つを鶴の立場で言うと、、、
① 「明日の朝までに反物を仕上げないと・・・」
② 「売り物になるように、たくさん織らなければ・・・」
③ 「恩返しのため、何としても完成させよう・・・」
人の目を気にせず、なりふりかまわずやる!!

なるほど。
自分は、鶴だと思って、なりふり構わずやってみる。ちょっと、笑っちゃうけど、なかなか旨い比喩だと思う。

 

そして、集中だけでなく、瞬間に集中する力をつけることがキーポイント。
机の前に座って落ち着いて、周りの環境を整えてから、、、なんてやっていると、勉強に入るまでの時間がかかってしまう。思い立った時に、ぱっと勉強に入ってしまえばいい。そして、勉強始めたら瞬間的に集中する。これが忙しい現代に生きる人たちにとっての効果的な勉強の仕方、瞬間集中法。これは勉強だけじゃなくて仕事にも使えること。
ちなみに茂木さんの場合、集中力を高めたり、モードを切り替えるためには音楽を活用しているそうだ。改まった文章書くときは格調高い曲、J.S.バッハの「平均律クラヴィア曲集」、気分を高揚させたい時はワーグナーの「ニュルンベルグマイスタージンガー」、リラックスしたい時は「涙そうそう」「島唄」といった沖縄サウンド、だそうだ。今もそうなのかはしらないけれど、、、。

 

コマ切れ時間活用法は、思い立ったらすぐ取りかかる。 時計が8:48だから9:00になったら始めよう、ではなく、おもいたったらすぐ取り掛かる。中途半端な時間でも、脳がその気になった瞬間こそが大きなチャンス。すぐ始める!!1分、2分と言う時間でも集中してやる。
電車の待ち時間、エレベーターの中、トイレの中、タクシーの中、歩いている時、お風呂の中など 、、、。
なるほど、なるほど、これは、英語の勉強につかえそう。

 

勉強ということでいうと、やはり、記憶する、ということもが大事になる。英語も語彙力に影響するのは、やっぱり記憶だ。日本語を記憶しているとはおもっていないけれど、赤ちゃんから大人になるまでの間の記憶の蓄積で、流暢に日本語が話せるわけだから。
茂木さんは、記憶を定着させるために「モダリティ」を活用するとよいという。
記憶は、脳の大脳皮質にある側頭葉の側頭連合野という所に蓄えられる。そして側頭連合野は、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚といった五感や、自分が行動する動機や心的態度などの様々な機能、いわゆる「モダリティ」を統合するところでもある。「モダリティ」を統合的に使って覚えることで、より記憶を定着しやすくなる、という。

書けば、目と手の運動。
声をだせば、耳と口の運動。
書きながら、音読しながら覚えるというのは、モダリティを複数使う分、覚えやすくなる。


茂木さんは、「勉強とは、自分という存在を輝かせ、人生の次のステージに上るためのもの」、と言っている。

本当に、強く同意。
だからこそ、大人の勉強は楽しいのだ。
文系とか理系とか、そんなことはどうでもいい。
自分の好きなことを勉強すると、自分の好きな世界がもっと広がる。

また、偶有性というのは、脳科学の専門用語で、安全確実なものと挑戦的なもののバランスが取れている状態のことをいう。茂木さんは、人生は、偶有性、安全で予想できることと、予想できないことの両方があって楽しめる、という。
これも、同意!
簡単なことばかりだとつまらないから、難しいことに挑戦したくなる。
簡単なことばかりだと、ドーパミンがでなくなるからなのだろう。
でも、安全地帯があるっていうのも、大事だ。安全地帯を確保しつつ、チャレンジもする
今更ながら、私が人生50年以上、なんだかんだいっても色々チャレンジしてこれたのは、家族と言う安全地帯があったからだ。

図書館というのも、ある意味、安全地帯だ。自分の資本を投入する前に、気になる本を読んでみる機会を作ってくれる。そして、実は返却期限というタイムプレッシャーがあるから、積読になりにくい。

 

2007年、ちょっと古い本だけど、面白かった。

 

瞬間集中とか、鶴の恩返しとか、色々と活用できる場面がありそうだ。

読書を、勉強を、もっと楽しもう。

 

読書は楽しい。

 

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『脳を活かす勉強法』