『自分の意見で生きていこう』 by ちきりん

自分の意見で生きていこう
「正解のない問題」に答えを出せる四つのステップ
ちきりん
ダイヤモンド社
2022年1月11日第1刷発行

 

ちきりんの本なので読んでみた。やっぱり面白い 。

 

ダイヤモンド社から出している、「これからの世の中を生き抜くために必要とされる根幹の力について説明するシリーズ」の4冊目。
1冊目は、2011年出版『自分の頭で考えよう』ロジカルシンキングの本。
2冊目は、2015年出版『マーケット感覚を身につけよう』市場から発想する方法を取り上げた本。マーケットで評価されて、自分の価値を確認してみよう、といった内容。
3冊目は、2016年出版『自分の時間を取り戻そう』。やらなければならない事においまくられる人生を脱却し、自分らしく生きるための時間を取り戻す、生産性の話。

 

この中で、私が初めて読んだのは、多分、『自分の頭で考えよう』。部下にも良く薦めた良書。他も全部読んでいる。ちきりんの話は、うんうん、それそれ!!と共感することが多い。

 

本書は、「意見」の大切さについて書かれた本。これもまた、まさに、それそれ!! よくぞ、言語化してくれました!っていう本。

 

なんとなく、この人はよくしゃべるけど何をいいたいのかわからないなぁ、、、というタイプの人は、意見をいっているのではなく、ただ反応していただけだという事がわかって、モヤっとしたものが払しょくできた。

 

目次
1.「意見」とはなにか、なぜ必要なのか
2.「反応」だけではダメな理由
3. SNS 時代に「自分」を創る
4.生きづらさから脱却しよう
5.リーダーシップの最初の一歩
6.オリジナルの人生へ
練.意見を持てるようになる四つのステップ


1.2.で説明されるのは、「意見」と「反応」の違いと、なぜ「意見」には価値があるけれど、「反応」には、価値がないのか。
多分、この1.2.を読むだけでも充分にこの本の主旨が伝わると思う。


なるほどそうか、と膝を打ったのは、
「意見」は、ポジションの開示があるが、「反応」には、ポジションの開示がないということ。

賛成なのか、反対なのか、わからないのは、ただの「反応」。

 

ちきりんが発信したコメントへの、返答の例で説明されている。
一つの例を覚書。

 

コロナ対策として厚労省が作った、接触確認用のスマホアプリ(COCOA)に重大なバグがあって、アンドロイド端末では通知が行われないという事がわかったことに関して。

 

ちきりん:「アプリが納品された時に動作確認もしないなんて厚生労働省はアホすぎる!」

返答1:「ちきりんは、なにもわかっていない!」
返答2:「いや反対だ。ひどいのはアプリの開発会社だ。厚労省の問題じゃない」
返答3:「厚労省のどういう点がひどいと思うのですか?」
返答4:「厚労省は確かにひどい。でも開発会社は同じぐらいひどいでしょ」
返答5:「開発会社側に問題がないというなんてありえない」
返答6:「厚労省もヒドいけど受注側の開発会社の方はヒドイでしょ」

これらのうち、「意見」と言えるのは、返答2、6のみ。


返答1は、厚労省、開発会社、どちらが悪いかという事に対してのポジションをとっていないから、ただの反応。
返答3も、ポジションがわからない、ただの質問なので、質問という反応
返答4も、どっちがひどいのか、というポジションをとっていないので、ただの反応。
返答5も、ポジションがわからないのでただの反応。
反応6は、開発会社の責任の方が重いというポジションがわかるので、意見。

 

と、最初にでてきたこの例を読むだけで、なるほど!!と、思える。

 

そして、一見して、意見のように見えるけれどただの「反応」であるものの特徴として、
・他者の意見の否定
・他者の意見への質問
があるという。

質問の場合、時には、その背景にある意見が見えることは無くもないが、はっきりと意見を表明せずに質問をするのは、たしかに、ただの反応だ。
これは、会議でもよくあることの気がする。

 

発言はしているんだけど、意見を言わない。
リスクを取りたくないから、ポジションを表明しない。

あるある、だ。

どっちなんだよ!!と、突っ込みたくなるコメント。

 

世の中には、正解のある問題と正解のない問題がある
そして、人生において重要なことは、正解のないことが多い

この人と結婚するべきか。
この会社に就職するべきか。
脱サラして起業するべきか。
延命治療をするべきか。
などなど・・・・・・

正解などなく、様々な意見があるだけだ。

 

正解のない問題に、正解を求めると、いつまでも周辺情報の収集、調べるという行為ををつづけて、なかなか行動に移せない。

 

癌の治療をどうするべきか、事例をたくさん集めることはできる。でも、どの治療を選択するのかは自分の問題であり、医者がこうしましょう、と言ったからと言って、それが本人にとっての正解かどうかなんて、わからない。

医者が見放した末期がんでも、本人が色々工夫して体質改善して、宣告された余命より何年も長生きしたという話は、結構よくきく。医者が常に正しいなんて、、、言えるか??なのに、意外と「先生にお任せします」と言ってしまう人が多いそうだ。

 

正解のない問題には、多種多様な意見があり、だからこそ考えることが重要。

正解があって、勉強ができる子が良い子、というような学校的価値観は、捨ててしまえ!と。

そうだそうだ!!

御意!!

 

正解を教える学校的価値観は、高度成長期、オペレーションを言われたとおりに正確にできる人材を育てるために必要だった。でも、時代は変わった。求められているのはオペレーションではなく、イノベーション

イノベーションは、考えることからしか生まれない

 

100の情報をあつめても、1000の情報を集めても、そこからどうするのか、どう人の生活に役立てるのかを具現化しない限り、イノベーションとは言えないだろう。

本当の賢さは、正しいことを知っているということではなく、どのような問題にも自分の意見をもって考えを表明できるということだ


反応しているだけは、価値を生まない。
自分の意見を表明して、ポジションを示そう。
リーダーは、必ずそうしているはずだ。
自分のポジション、意見を表明できないリーダーは、リーダーにはなれない。

そして、リーダーは、こころの理解が必須。

うん、そうだ。


意見を具体的に発信するには、言語化能力を鍛えることは大切。
だから、自分の意見を言語化するトレーニングということで、Tweetするもよし、ブログで発信するもよし、と言っている。
ただし、誰かの発信にリツイート、リプライ、するのではなく、自分のHomeで発信すべし、とちきりんは言う。

なるほど。なるほど。

 

Megurecaも、私の人格発信になっているのかもしれない、と思う。
まぁ、もともと、自分の頭の中のモヤモヤを言語化するために始めたブログだから、そうなんだ。

 

本書で、一番面白かったのは、
「反応」には、たいした価値はない、ということ。

大事なのは、「意見」。
これは、前に、アドバイスと意見の違い、に思ったことと近い。

megureca.hatenablog.com

それぞれの人が、それぞれの意見を持っている。
だから、多様でいい。

 

家族の延命治療など、その多様な意見の中から一つの選択をしなくてはいけないという場面もあるかもしれないけれど、意見をぶつけ合ったうえで、建設的な会話が、後のしこりを残さないために必要だろう。
本当は、こう思っていたのだけど、、、と後から言うのは、後出しじゃんけんだ。

            
世の中、意見は多様である、という大前提を理解していれば、自分と違う意見の人がいたり、自分の意見を否定する人がいても、そういうもの、とおもえばいい

そういう、図太さ?!って、やっぱり年の功なのかな?とおもうけど、年もそうだけど、どれだけ多様な世界の人とまじわってきたか、という事のような気もする。
今、生きている自分の世界で他人の意見にイライラしないためにも、自分の世界を広げるためにも、たくさんの人と知り合うというのはよいことだ。

 

もっともっと、広げていこう。

読書だって、バーチャルに世界を広げられる。

 

読書は楽しい。

そして、意見を持とう。

 

そういえば、今日は1月17日。

1995年、阪神大震災から、27年。

2011年もそうだが、震災を機に、色々な変化があった。

生き延びている自分ができるのは、意見をもって生きていくこと。

 

自分の人生は、自分で考えて、自分で決める。

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『自分の意見で生きていこう』 ちきりん