映画『500ページの夢の束』

500ページの夢の束(字幕版)

監督:ベン・リューイン
外国語映画
2018
1時間33分

 

英語のリスニングの勉強のつもりで 、Amazon プライムで見始めた映画。しかし見始めたら面白くて、結局夜更かしして、全部見てしまった。
日本の映画館で上映されていたのかも、良く知らない。

 

Amazonの紹介文には、
「『スター・トレック』が大好きで、その知識では誰にも負けないウェンディの趣味は、自分なりの『スター・トレック』の脚本を書くこと。自閉症を抱える彼女は訳あって唯一の肉親である姉と離れて暮らしている。ある日『スター・トレック』脚本コンテストが開催されることを知った彼女は、渾身の作を書きあげるが、もう郵送では間に合わないと気付き愛犬ピートと一緒にハリウッドまで数百キロの旅に出ることを決意する。500ページの脚本と胸に秘めたある願いを抱えて」

 

と、まぁ、冒険物語といえばそうで、アメリカ英語の勉強には複雑すぎない内容がいいと思って、見始めた。

見始めたら、、、はまってしまった。

ハートウォーミングストーリーと言っていいと思う。

 

以下、ネタバレあり。

ウェンディは、自閉症の人が暮らす施設で暮らしている女の子。女の子とはいっても、年齢は成人しているくらいの設定か。母親は亡くなっており、姉オードリーは結婚して子供が生まれたので、自閉症の妹の面倒まで見ることが出来なくなってしまった。だから、ウェンディは一人、施設の人にお世話になりながら暮らしている。一日の日課をメモに書いておかないと忘れてしまうウェンディは、いつもメモ帳を首からぶら下げている。

オードリーは夫の仕事の都合で、引っ越しをすることになる。ウェンディに会ってそのことを伝えようとする。引っ越しのために、子供のころからウェンディと二人でひいていたピアノを「For Sales」と張り紙して、家の外へ運び出すオードリー。そして、娘、ルビーの写真を持って、ウェンディの暮らす施設へ会いに行く。会いたいけれど、ウェンディが一緒に帰りたいと言い出すことが怖いオードリー。施設の人に、ウェンディは成長したわよ、と言われて戸惑いながらも妹にあうオードリー。ウェンディは初めて姪っ子の写真を見る。そして、ルビーに会いたい、と。一緒にお家に帰りたいといいだす。オードリーが最も恐れていた言葉。大好きなウェンディだけど、連れて帰ることはできない。一緒に帰りたいといって癇癪を起して鳴きだすウェンディ・・・。

ここで、わたしは、号泣・・・。オードリーだって、出来ることなら連れて帰りたい。でもできない、、、、。。。泣きたいのはオードリーだって一緒なのだ。。。。でも、妹を置いて、逃げるように帰るオードリー。。。

 

本当は、その日、姉にあった後に郵便局に『スタートレック』の脚本を出しに行くつもりだった。ようやく書き上げた力作。絶対に自信がある。
でも、泣きつかれて晩御飯もボイコットしたウエンディが目覚めたのはもう、夜中だった・・・。
〆切に間に合わない・・・。

コンテストへの応募は、印刷した原稿を2月16日、日曜日必着、という決まり。

明日は、祝日。郵便局はやっていない。。。

「too late! too late!!」どうしたって間に合わない・・。

ウェンディは、一生懸命考える。
どう計算しても、ポストに投函していたのでは間に合わない、だったら、、、。
そして、一人、ハリウッドの会社まで届けに行くことを決心する。
迷子になるから、決して決まった道以外を歩くことのなかったウェンディが、一人で!
長距離バスの乗り方も知らないウェンディ。

でも、原稿を届けなきゃ。原稿を抱えて、明け方こっそりと施設を抜け出し、バス乗り場へ向かう。愛犬ピートが、ついてきちゃう。「go home!」と言ってもついてきてしまうピートをカバンにいれて、バス停へ。

何台もの路線バスに、ロサンゼルスへ行くかとたずねるが、どの運転手も、首を横に振るだけ。。でも、一人の運転手が長距離バスの乗り場を教えてくれる。ようやくロサンゼルス行きのバスに乗る。ペット禁止のバスだけど、ピートをこっそりカバンに入れて、、、。
しかし、長距離バス。トイレが我慢できなくなったピートがバスの中でオシッコをしてしまう。。。そして、規約違反が見つかってしまい、何もない道端でバスからおろされてしまうウェンディ。

近くのドライブインで出会った優しそうな人が、ロサンゼルスまで乗せて言ってくれるという。しかし、その若い子連れ夫婦は、ウェンディから現金だけ奪うと、走り去ってしまう。
と、前途多難なロサンゼルスへの道。

 

いじわるな店員にだまされそうになったり、優しいおばあさんに助けられたり、交通事故に巻き込まれて病院へ救急搬送されたり、、、。たいしたケガではなかったウェンディは、500枚の原稿を届けるために、病院から脱走。

一方で、施設ではウェンディが失踪したことで大騒ぎ。施設の人は、オードリーと一緒にウェンディ捜索に。。。

交通事故のおかげで、ウェンディが病院にいることが分かったオードリーたちは病院に向かうが、到着前にウェンディは脱走。途方に暮れるオードリーたち。そして、ウェンディも、途方に暮れていた。とぼとぼ街中をあるく『スター・トレック』マーク付きのカバンを持ったウェンディは、警察にとって「捜索依頼人」。

様々な行き違いがあったなかで、最後は『スター・トレック』好きな警官に保護され、ウェンディは、オードリーたちと出あうことが出来る。そして、車でハリウッドへ。
映画製作会社の目の前まで連れてきて貰ったウェンディは、一人で施設内へ。無事に原稿を届ける。

結局、脚本コンテストでの入賞は逃すのだが、ウェンディは書き上げた原稿を届けたことが、一つの自信になる。姉のオードリーも、妹の成長を確信する。
最後は、ウェンディがルビーに会いに姉の家へ。。。。


実際に自閉症というのは、そんなハッピーストーリーだけではないだろうけれど、映画としては思いがけず素敵だった。

姉妹の愛の物語。
家族物語に弱い私。

掘り出し物だった。

 

また、映画の中で興味深いのは、主人公たちを取り巻く家族の描かれ方。オードリーの夫は、オードリーを愛しているものの、オードリーが大切に思う妹ウェンディと一緒に住むことは考えられない。子供も生まれたばかりで、障害をもった義妹とどう向き合へばいいのかわからずにいる感じで、積極的には関わろうとしない。でも、妹を思うオードリーを応援してもいる。

施設の世話人は、一人息子を育てている母親の設定なのだが、息子は学校をさぼったりしている。自分のことより、施設の障害者の世話に夢中になってしまっている母親に対する、反抗心か。10代にありがちな、ちょっと拗ねている男の子みたいな設定。でも、脱走したウェンディを探しに行くからと言って、息子をたたき起こして一緒に車に乗せる。息子は、母親がウェンディの書いた『スター・トレック』脚本原稿を読んでいる最中だったことをしっている。母親に「全部読んだの?」と聞く。「No」の返事。そこから、『スター・トレック』の解説をしながら、ウェンディの原稿を読んで、最高だ!と評価する。決して、母親に対して反抗しているだけではない、10代の少年。

 

家族って、それぞれだけど、心のどこかで、家族が大切に思っているひとのことを一緒に大切に思える存在、、そんなメッセージを感じる作品だった。

 

英語の勉強になったかというと、、、、ま、それはそれ、、ということで。

1時間33分。そんなに長い映画ではないので、姉妹愛、冒険ものが好きならば、お薦め。

 

本もいいけど、やっぱり、映画もいいね。

 

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500ページの夢の束