『ヤマザキマリのリスボン日記 テルマエは一日にして成らず』by ヤマザキマリ

ヤマザキマリリスボン日記 テルマエは一日にして成らず
ヤマザキマリ

株式会社フリースタイル
2012年4月30日 初版発行

 

本書は2004年8月31日から2008年1月4日までにMixi に書かれた日記と、2006年9月19日より2007年12月13日に書かれたブログ「リスボンで漫画描き」後に「シカゴで漫画描き」から構成されたものと言うこと。
ずいぶん昔のものだけれど、マリさんの徒然日記?奮闘日記?!

 

Mixiというのが、懐かしい。
もう、20年近く昔ということだ。
たしかに、i-modeがあって、Mixiがあった。
Facebookの日本版公開が2008年というから、それより前のSNS。いま、Mixi って、存在してるのだろうか???

たしか、私もIDを持っていた気がする。そのうちFacebookに移行してほとんど使わなくなった。SNSの変化は激しい。去年はやったClubhouseだって、いまでは特定の一部ユーザーではないだろうか。そもそも、i-phoneだけでAndroideが使えなかったから、私はiPadで使っていたけれど、すぐ飽きた・・・・。

 

情報交換のツールの変化は激しい。

 

そんななかにあって、ブログにつづる日記をまとめた単行本。
有名人のブログだから、日常生活が面白いのよね。
地味に、文字の日記。時々、写真アリ。でも、ちっこい写真。

349ページの単行本。
すべてのブログにタイトルがあるから、すごいタイトル数の目次になっている。
さらーーと、読み流す感じ。
なんというか、おやつみたいな本というか、お気楽モードの一冊。

気晴らしにどうぞ、って感じ。

 

2002年に、イタリア人のベッピと結婚してしばらくしてから、ベッピの暮らす国へ息子のデルスと一緒に移住して、日本を離れることになったマリさん。日本語での交信は、貴重だったのではないだろうか。どれだけ、外国語が堪能でも、やはり、母国語でしゃべりまくりたくなる時がある。喋れないなら、書きまくる。分かる気がする。

日記は、家族のこと。ベッピの家族、、、おもにハチャメチャな姑の話が多いけど、、、。ポルトガルでの暮らし、遊び・イタリア人を引率しての観光旅行、逆に日本からの観光客のヨーロッパ国々への引率、日本への想い。食べ物。映画。音楽。。。多岐にわたる。

 

時々、昭和を懐かしんでいる場面が、私にも懐かしくて笑える。
マリさんは、1967年生まれ。私より1歳年上。
だから、子供時代の思い出話が私にもリアルによくわかる。
駄菓子屋のこと、ヨーヨーのこと、喫茶店、自分の日記、訳のわからない作文。。。。


ヨーヨーって、コーラの景品だかペプシの景品だかわすれたけど、なんだか一時すごい流行った。犬の散歩、といかいう、ヨーヨー本体だけを床でコロコロ回転させる技とか、、、いやぁ、分からない人には全く分からないだろう。。。

 

海外で、日本食日本製品を入手するための執念みたいなのも、わかる、わかる!
ポルトガルなんて、今でも日本からの直行便がないところ。
日本からなにかを送ってもらっても、なかなか届かないし、届いたところで税関で差し止めになって、税金を払わないと受け取れなかったり、、、。
やっと届いた荷物の中の食べ物は、見るも無残な姿になっていたり、、、。

 

現地で手に入るもので、なんとか和食もどきを作りたくなる気持ちもわかる。マリさんは、「糊質米」と直訳できる物を現地で発見し、大福手作りに挑戦した、と。インターネットで餅のつき方を調べると、電子レンジでできると書いてあった。一晩水につけた糊質米をミキサーにかけて、、、、、あっという間にミキサーは内部から煙が上がって焼きついて故障。それでも、ざらざらの残る糊質米を器に移して電子レンジに。なんと、餅ができた!!と。
日本からの荷物で残っていたアンコをいれて大福完成!!
その達成感、わかるわぁ・・・。たとえ、まだ買って3回しか使っていないミキサーが壊れても、、、。

 

海外に住んでいると、日本からの手紙や小包は、それはそれは宝箱のように嬉しい。私は、バンコクだったから日本食は結構手に入れやすかったけれど、日本から送ってもらえる海苔、お茶は、格別だった。祖母が送ってくれるエアメール用の手紙もうれしかった。ポストにDM以外物もがとどいているって、日本にいたってちょっとワクワクする。


海外では、DHLだって高額の税金を要求してくる、って、ありがち。輸送した品物より高額な税金を請求されて、支払い拒否をしてでも荷物の受け取り拒否をするふんばり?とか。
で、交渉したら税金といわれていたものが半分以下になったり。どうなってんの!!と憤りたくなる気持ち、よくわかる。

本とかCDとか、新品だと転売するんではないかと疑われたり。

マリさんなんて、自分の作品を日本から複数冊送ってもらった時、転売目的として課税され、電話で「自分の作品だ」といったら、「証拠をみせろ」といわれたと。税関にいって、漫画かけばいいんかい!!って。笑った。結局どうしたのかの結末は書かれていなかった・・・。

自分が描いた作品だって、どうやったら証明になるんだろう??

 

リスボンの自宅からの車の旅。アレンテージョはお気に入りの場所だったみたい。スペインもポルトガルもローマ時代の遺跡がたくさん。羨ましい。
一番羨ましいと思ったのは、アドリア海周辺の船旅。
ベネチア南イタリアのバーリ、ギリシャサントリーニ島、ミコノス島、アテネ、コルフ島、クロアチアドブロブニクベネチア、そしてドロミテ山塊。。。。
どこも、行ってみたいところ。

 

サントリーニ島は、ワインも有名。カルデラの一部が海面上の島。本当に360度海のような絶景、、と聞いている。アシルティコという白ブドウが有名。。。あぁ、行ってみたい。アシルティコは、酸が強い。ブリとか、イワシとか、青魚ともあうワイン。あぁ、、、ワインが飲みたい。


リスボンでの生活は、ボロのお家で、なかなか大変そうではあるけれど、たくましいマリさん。さすが、、と思う。床が平らでなくても何のその。下水工事で水が使えなくてもなんのその。。。

 

マリさんのエッセイに、時々昔の話が出てくるけれど、こうして日記にしていたから思い起こすこともできるのだなぁ、、、と思う。
やっぱり、日記をつけるっていうのも、楽しい。

私も、バンコクへ出向していた5年間、出向日記をもっと書いておけばよかった、と思う。ネタ、満載だったと思う。って、素人の日記なんて、誰に見せるものでもないけれど。

 

和む一冊。

日記の良さを見直す一冊。
のんびりの一冊だった。

 

読書は楽しい。

 

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ヤマザキマリリスボン日記』