『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』by 大木毅

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍
大木毅
岩波新書
2019年7月19日

 

ウクライナへのロシアの侵攻、その背景にあるロシア歴史の参考にと薦められていた本。図書館で借りてみた。

 

著者の大木さんは、1961年生まれ。 立教大学大学院博士後期課程単位取得退学。専攻はドイツ現代史、国際政治史。千葉大学ほかの非常勤講師。防衛省防衛研究所講師。陸上自衛隊幹部学校講師などを経て、現在著述業。 

 

日本では、独ソ戦の通史がかかれた一般的な書籍はこれまでになかったことから、岩波新書からの誘いをうけて、書かれた本ということだ。

 

感想。
悲惨・・・・。
ひたすら、殺戮の応戦・・・・・。

読むに絶えず、結構、さーーーっと読み。

 

でも、たしかに、こういう戦争が起きたのだ。人間が起こしたのだ。。。

内容を語る気力もないくらい、、悲惨。

覚書として、目次を。。。なんとなく、戦争の流れがイメージできる。

 

第一章

第一章 偽りの握手から激突へ
 第一節 スターリンの逃避
 第二節 対ソ戦決定
 第三節 作戦計画

第二章 敗北に向かう勝利
 第一節 大敗したソ連
 第二節 スモレンスクの転回点
 第三説 最初の敗走

第三章 絶滅戦争
 第一節 対ソ戦のイデオロギー
 第二節 帝国主義的収奪
 第三節 絶滅政策の実行
 第四節 「大祖国戦争」の内実

第四章 潮流の逆転
 第一節 スターリングラードへの道
 第二節 機能し始めた「作戦術」
 第三節 「城塞」の挫折とソ連軍連続攻撃の開始

第五章 理性なき絶対戦争
 第一節 軍事的合理性の消失
 第二節 「バグラチオン」作戦
 第三節 ベルリンの壁

終章 「絶滅戦争」の長い影 

 

独ソ戦は、ひたすら敵を滅ぼすことを目的とした戦争だったということ。理性亡き絶対戦争。戦争が終わったとき、ヒトラーひとりが悪人のような歴史が語られがちだけれど、みんな、、、、加担したのだ・・・・。ゆがんでいたのだ。

本書を読むと、『同志少女よ、銃をとれ』の意味もより深くわかる気がする。スターリングラードの戦いまで、どれほど悲惨続きのなか、戦争が終わったのか。

megureca.hatenablog.com

 

本書のなかでは、詳しい双方の作戦が地図と共に語られている。もちろん、ウクライナなんていう国はなくて、地図にあるのはかつてのソ連だ。
人的被害、兵士だけでなく民間人も併せて、その死者数はいまだにはっきりとはわからないという。。。終戦間際は、占領をおそれる市民の自殺も多かったという。。。

ソ連軍の人的被害だけで、死者1128万5057人。負傷・罹患者1825万3267人。これに加えて、一般市民の被害。
ドイツは、戦闘員444~531万人、一般市民150~300万人という死者数。

独ソ戦は、戦地となった地域の広さだけでなく、人的被害も異常なスケールということだ。戦闘だけでなく、寒さと飢えで亡くなった人も多い。
ナチス・ドイツソ連のあいだでは、ジェノサイド、捕虜虐殺など、近代以降の軍事的合理性からは、説明できない、無意味な蛮行も繰り返された・・・。

 

私には、今、プーチンウクライナに対して行っているのも、これと何も変わっていない、、、としか思えない。

日本が大戦中に失った命は、兵士と民間人合わせて300万人程度といわれている。それに対して、独ソ戦は、あまりにも、、、スケールが大きい。

 

2011年、東日本大震災での死者数が、1万5900人。

2004年、インドネシアスマトラ島沖地震での死者数が、21万人。

 

戦争は、自然災害の比較にならないほどの惨事ということだ。

 

そして、スターリンが行った粛清のために、ソ連軍の主な将校が銃殺され、ソ連軍としてはボロボロのなかで戦争が始まっている。仲間を殺すスターリン

スターリンにしても、ヒトラーにしても、一時は国民からの絶対的支持を受けているという恐ろしさ

昨今のウクライナのニュースの中で、捕虜になったロシア兵が、「ウクライナの住民が逃げるのを手伝おうとしたら、上官に撃たれた」と語っていた。

ロシアは、今もソ連時代と同じことを繰り返しているのか。。。

 

人間というのは、何とか下等な動物なのか。

なんとも、情けなくなる。

 

と言って、暗くなってもなにも解決しない。

やはり、自分ができることを自分で取り組むしかない。

たとえ、あした富士山が噴火したって、、、、。

 

自分にできることを、粛々と頑張る。

それしかないよな、と思う。

 

コロナ、戦争、株価全面安、、、。

どれだけ先行き不透明でも、頼りになるのは自分の健康

 

よく動いて、よく食べて、よく寝よう!

 

共感はしても、振り回されない

それも、大事。

 

 

 

 

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独ソ戦