『The Modern モダン』 by  原田マハ

The Modern
モダン
原田マハ
文藝春秋
2015年4月15日 第一刷発行

 

図書館で原田マハさんのコーナーで見つけた本。借りてみた。
表紙は、パブロ・ピカソの「鏡の前の少女」
美術館やその絵画にまつわる5つの短編集。
さぁー-っと、軽く読める感じの単行本。
素敵な物語。
午後のお茶をしながら、さらっと読める。
原田さんらしい、美しい短編集だった。

フィクションだけど、実在する芸術作品が話の軸になるので、本当に起きたことのような気がするお話。

 

目次
中断された展示会の記憶 Christina’s Will

ロックフェラーギャラリーの幽霊  Ghost in the Blanchette Hooker Rockfeller gallary

私の好きなマシン   My favorite machine art

新しい出口   Exit between Matisse and Picasso

会えてよかった   Happy to see you

 


以下、ちょっとだけ、ネタバレあり。

 

「中断された展示会の記憶」の舞台は、2011年3月で被災した、ふくしま近代美術館。その時にMoMAニューヨーク近代美術館からアンドリュー・ワイエ作『クリスティーナの世界が貸し出されていた。放射能をおそれたMoMAの役員に指示され、期間満了をまたずに、MoMAの職員として日本に『クリスティーナの世界』を引き取りにいった日本人女性と、ふくしまの学芸員との交流の物語。
フィクションなのだけれど、心温まる感じのお話。
さすが、原田マハさん、美術品の搬送のことや、他国の展覧会へ貸し出すための様々な手続きなど、ちょっと、学芸員ちっくな知識を持ったような気になる。

いつか、現物のクリスティーナの世界MoMAに観に行ってみたい。

 

 

「ロックフェラーギャラリーの幽霊」は、ピカソの『アヴィニヨンの娘たち』や『鏡の前の少女』を巡る物語。ギャラリーの警備員が主人公。美術館などで展示場内の警備員がどんなことをかんがえて、毎日仕事をしているのかが、垣間見える。
主人公の警備員が、閉館時間ギリギリにおとずれる『鏡の前の少女』にみいったままの客と、思わず言葉を交わしてしまう。でも、その客は実は、、、、。

 

 

「私の好きなマシン」は、機能的デザインをこよなく愛する一人の女性ジュリアが主人公。子供の時に両親につれられていったMoMAの「マシン・アート」でみたベアリングがきっかけだった。アートというには風変わりな展覧会だったそれは、MoMA初代館長アルフレッド・バーの企画だった。「生活に役立つものは美しい」ということへの気づきと驚き。大人になったジュリアは、工業デザイナーとして活躍していた。作品の一つは、MoMAのパーマネントコレクションになっていた。
そして、ある時、MoMAのキュレーターを務める友人から、思いがけない連絡を受ける。ある人から、ジュリアの連絡先を教えてほしいといわれた、と。
「世界をひっくり返すような、斬新な発想のパーソナル・コンピュータの開発をするから、あなたにそのデザインを担当してほしい」と、メモを渡された。
そのメモをそっと開くと、名前が走り書きしてあった。
スティーブ・ジョブズと。

 


 「新しい出口」は、2001.9.11のトラウマを抱えながら、MoMAに務める一人の女性ローラの物語。9.11の時、同僚のセシルがローラに代わってWTCの顧客のところへ行ったばかりに、テロの犠牲になってしまったのだ。二人はそれぞれが好きな、「マティス」と「ピカソ」の展覧会を企画するのが夢だった。二人で夢をかなえることはできなかった。
セシルを失って、パニック障害となり、普通に通勤することすらも出来なくなっていたローラは、親戚のいる田舎に帰ることを決意する。そんな時、MoMAマティスピカソの展覧会を開催することを知る。自分にはできなかった展覧会。
セシルは、その展覧会をまえに退職届をだした。そして、一般客として展覧会に行ってみる。言葉にできないほど素晴らしかった。マティスがいて、ピカソがいて、20世紀の美術の奇跡が会場に集まっていた。アンリ・マティスの『窓辺のヴァイオリニスト』パブロ・ピカソ『影』。どちらもこちらに背を向けている作品。生前、セシルがこれを指して、「二人はどこを向いているのかしらね」と言っていたことを思い出す。きっと、未来だ。。。
ローラは、展示会場の出口へと向かう。新しい出口。少しだけ明るい、明日への出口へ。

 


「会えてよかった」も、MoMAで働く女性の物語。日本からの1年間派遣されていた麻美が、同僚にささえられつつ、彼女らしく生きていく。そして、一年たった、同僚との別れの日。いつも麻美をサポートしてくれたパティは、子供が熱を出したため今日は欠勤だという。麻美は、毎朝通っていたスターバックスでコーヒーを2つ買う。一つは空っぽで。
カップには、「Happy To Serve You」の文字。
麻美は、「rv」をサインペンで塗りつぶして、パティのデスクの真ん中に置いた。
「Happy to See You」


どれも、ほんわり、優しい気持ちになれる短編。
いいわぁ。

 

ちなみに、スタバのカップって、そんなことかいてあったっけ??

 

MoMAは、行ってみたいと思いつつ、行けていない美術館の一つ。コロナで海外もいけない日々が続いていて、いつになることやら、、、だけど、いつか行ってみよう。

 

絵画の鑑賞は、人それぞれ。

それぞれの作品への想いも、人それぞれ。

そう、自由でいいところが、良いところ。

 

美術館に行きたい。

行きたければ行けばいい。

だって、日本は平和に美術館に行けるもの。。。。

 

そうだ、美術館に行こう!

 

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『The Modern モダン』