『未来の予測の技法』 by  佐藤航陽

未来の予測の技法
時代を先読みし、チャンスを生み出す
佐藤航陽
株式会社ディスカバー・トゥエンティワン
2018年1月30日


佐藤さんの本、『お金2.0』、『世界2.0』に引き続き、2018年の本を図書館でかりてみた。

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Discoverの本。

 

感想。
うん、シンプルに自論が展開されていて、 『お金2.0』、『世界2.0』同様に、分かりやすい。そして、彼自身のビジネスの経験に裏打ちされた自論なので、論理展開にムリがない。
すー-っと読める感じ。

 

182ページの単行本。なぜか、上下のマージンが広い。なので、おそらく文字数にすると一般的単行本の4/3程度、って感じか。
そして、広いマージンには、時々図がはいったり、注釈がのっていたりする。
読みやすい本。


目次
はじめに
 国家の未来
 政治の未来

第1章 未来に先回りしたものだけが勝ち残る。
 未来予測はなぜ難しいのか?
 予測が難しいからこそ、強力な武器になる
 未来予測の鍵は「パターン」
 予測の次は、タイミングの見極め

第2章 未来予測の技法
 常に原理から考える
 すべては「必要性」から始まる
 イノベーションの正体
 テクノロジーの進歩と社会の変化に潜むパターン
 パターンはビジネスの世界から見えてくる
 自らパターンを見出すには行動あるのみ
 すべての企業の目的地はひとつ

おわりに

 

未来を予測するのは、難しい。飛行機だって、電話だって、インターネットだって、テクノロジーの進歩のスピードは、どんどん、人々が使いこなすスピードを上回るようにすすんでいく。
予測できないからこそ、やってみるしかない!
というのが、彼の主張。
どうなるか、わからないけれど、適切なときに、適切な場所にいることが大事

でも、どうなるかはわからないけれど、パターンはある、という。
そのパターンが第2章で、紹介されている。
基本的に、未来は、いきなり点であらわれるのではなくて、線の上にある。
過去の焼き直しの上に、現在がある。
だから、どのタイミングでその焼き直しを新しい市場に導入するか、そのタイミングの見極めも大事。早すぎれは市場がついてこない。遅すぎればすでにレッドオーシャン
タイミングには、ある程度「バッファ」があるので、その範囲内におさめること、それが大事だと。


長期的な変化を「線」としてとらえるためには、歴史を踏まえて考えてみる。どのようなイノベーションも、すべては「必要性」から生まれた。

 

イスラエルの例がでてくる。イスラエルは、実はすごくテクノロジーがすすんでいる国だ。コロナワクチンの接種が早かったのは、そのテクノロジーがあったからだともいえる。ナスダック上場企業数は、アメリカの次に多い。そういう国なのだ。

彼はイスラエルベンチャーキャピタリストに「どうして人口800万人の国が、こんなにうまく、継続的にイノベーションを生み出せるのか?」ときいてみたそうだ。
答えは、「Necessity(必要性)」とシンプルに言われた。


中東は政治的な緊張関係があり、周辺国との争いが絶えない。そのため政府・民間・大学・軍など全員が協力して収入を確保し、アメリカをはじめとする諸外国への影響力を保ち続けなければ国として危機に陥ってしまう。だからイノベーションを起こすための必要性がどこよりも切実に存在している、と。

平和ボケしている国ではイノベーションは生まれにくいのかも?!?!

 

第2章で紹介されていた未来への変化パターンを覚書。

パターン1: あらゆるものの エントロピーは増大する
シンプル→複雑 へと進化する。
(例)電話→携帯電話→スマートフォン

 

パターン2: あらゆるものに知性がやどる
(例)スマート家電など、センサーという知性
Siriの「聴覚」
人工知能(知性ではないかもしれないけれど、人間の意思決定や判断のプロセスを助けてくれる)

 

パターン3: ネットワークのタイプが、ピラミッド型からハブ型、分散型へ
(例) 封建社会(ピラミッド型)→ 民主主義、資本主義(ハブ型)
ハブ型には、中心となる代理人がいる。議員代表制も議員によるハブ。
分散型は、より現代社会に適する。ブロックチェーンによるビットコインは分散型。

 

パターン4: テクノロジーは人間を拡張する
手の拡張:石器、刀
脳の拡張:本、インターネット

 

パターン5: テクノロジーが人間を教育し始める
(例) コンピューターは、勉強しないと使えない。。。

 

パターン6: テクノロジーは宇宙へ広がる
拡張していくテクノロジーは、ついには人間をはなれ、空間的にも拡張していく。
宇宙産業は、インターネット産業と融合する。

人は、土地をもとめて大陸を渡った。
もう、新地がなくなったので、宇宙へと向かっている。
そして、そこには、インターネットが必須だと。

 

個人的には、宇宙に行く前に海上に新地をもとめるってならないのかな、、と思っている。
宇宙でも海上でも、水が生命線。衛星の受信基地を海上に設けて、海水の真水への変換技術がリーズナブルになって、海上発電ができれば、海の上での暮らしがもっと快適になるようなきがするのだけど、、、、。
海上なら、酸素にもこまらない。巨大な船上国家みたいなの、できないのだろうか、、、。

 

パターン7:テクノロジーは境界線をなくす
(例)Facebookは、国境を越えた繋がり。
国家事業(インフラ開発、宇宙開発など)も、いまや民間企業が実行可能。
テクノロジーによって、国家と企業、社内と社外、自分と他人の境界性が曖昧になっていく

 

パターン8: テクノロジーはすべてを無料に近づける
限界費用ゼロってことだ。


パターン9: テクノロジーが出した答えを理解できなくなる
テクノロジーの発達で、様々なことのパーソナライズがすすむ。彼自身のビジネスの実験的試行から、パーソナライズされすぎると「不確実性」がなくなり、それ以上の成長が止まるということを見いだしている。
これは、なかなか、面白い。
たしかに、Amazonが提案してくるものしか買わなかったら、自分の世界はこれまでの購買経験に基づく物だけになり、拡張性が失われていく。

「不確実性」というのは、成長にはなくてはならないものなのかもしれない。
まぁ、だいたい、何かの成功というのは失敗から生まれていたり、意図せずにおきたことが発見、イノベーションに繋がる。ということは、やっぱり、合理的すぎるのはつまらない、ってことだ。


本書の最後に、著者も「行動あるのみ」と言っている。
リスクを取らずに行動しなければ、何も始まらない。

やっぱり、「やってみる」に限る。
やってみないと、永遠に成功か失敗か分からない。

 

結局、未来を予測することはできない。

でも、パターンはある。

だから、そのパターンにあいそうな未来の方向性にむかって、準備しておくってことかな。

 

チャンスの神様は前髪しかない

タイミングが来た時に、行動できるかどうかは、準備ができているかどうか。

どうなるかわからない未来を楽しむには、準備をしておくこと。

 

そう、やってみる、に限るね。

やってみよう。

それでだめなら、次だ次!!

 

『未来の予測の技法』