孤独の愉しみ方
森の生活者ソローの叡智
ヘンリー・ディヴィッド・ソロー
服部千佳子 訳
イースト・プレス
2010年10月5日 第一刷発行
友人がFacebookにあげていた写真のなかにあり、気になった。
孤独?愉しむ?
いまさら?
もう、充分たのしんでいるけど、、、気になる。
図書館で借りて読んでみた。
孤独の規模感が、私のおもう「孤独」とは違った。
サブタイトルに「森の生活者ソローの叡智」とあるように、ほんとに隠居して森にはいってしまったソローの言葉集だった。孤独の愉しみ方というより、人生の愉しみ方、かなぁ。
著者の、ヘンリー・ディヴィッド・ソローは、作家、思想家。アメリカ合衆国マサチューセッツ州コンコードに生まれ、16歳の時に奨学金をへてハーバード大学へ入学。大学卒業後小学校の教師などを経て、ウェーデン湖の畔で自給自足の生活を始める。
そう、自給自足にまで到達した人の孤独の愉しみ方。
しかも、16歳でハーバード大学に入学って、どれだけの人なのか。
頭がよすぎて、人間の愚かさに耐えきれず、一般社会を離れて、自給自足生活をはじめたのかな、、、、。
本書は、ソローの『森の生活』や『市民の反抗』といった著書のなかから、現代に生きる人にも役立つように、155の名言集として、編集・再構成されたもの、だそうだ。まさに、名言集。
見開き右ページには、ソローの名言が。左ページには、その補足が、という構成。あっという間に読める。1時間のコーヒーブレイクにでも、どうぞ、って感じ。
右ページの言葉を見ただけで、そりゃそうだ、と共感するものから、え??どういう意味?というものまで色々。そうね、それでいいんだよね、って思いながら読むと、心が軽くなるかも。
目次
Ⅰ 孤独が一番の贅沢
Ⅱ 簡素に生きる大切さ
Ⅲ 心を豊かにする働き方
Ⅳ 持たない喜び
Ⅴ 自然の教え
目次には、さらに1~155、名言すべてが記されている。本文なしで、目次をみるだけでも155の名言に触れることができる。
メッセージは、
Simple is the best.
その一言につきるかな。
そうだな、、、と強く共感する一方で、自分が行動としてそうできるかは難しいな、、というもの思うものもある。すでにちょっとはそうしているかな、と思うえるものもチラホラ。
別に、そうすべきだ!ということがかかれているのではなく、こういう生き方もある、とい受け止めればよいのだと思う。だれもが、森で自給自足生活できるわけではないからね。
ability(実力)としても、capability(能力)としても。
とくに心に響いた言葉をちょっと、覚書。
1 とびきり上等な孤独になれる時間を一日一回持つ。
どんなに忙しくても、周りが騒がしくても、瞑想で孤独にもなれる。
私は、一人暮らしで、家にいれば四六時中一人だけど、上等な孤独の時間って、いつかなぁ、、、と、ふと思う。寝る前かな。起きた瞬間かな。。。どっちかの気がする。
4 誰にも出し抜かれない生き方がある。それはゆっくり歩くことだ。
目標さえ見失わなければ、ゆっくりでもいい。ゆっくりがいい。
21 理解できない相手を常識はずれと思うのは、自分が愚かだからだ。
相手を理解しようと思わない限り、自分のことも理解されない。理解されたいのなら、相手を理解しようとしないといけないのだろう。逆に、本来の自分じゃないように理解されるのも、困ったりする。けど、本来の自分じゃないとおもっているのは、自分のことを自分でわかっていない、、、愚かだからかもしれない。
32 時間を味方につけたいなら、時間のことを忘れるほど何かに没頭することだ。
心が焦るときこそ、あれもこれもと欲張るより、一つのことに集中しよう、
40 いくつかの失敗で悩むな。人間の可能性はひらかれている。
失敗も成功も、自分でそうだと思えば、失敗にもなるし、成功にもなる。そもそも、成功の定義も、失敗の定義も自分で決めればいいことだ。
56 富がなければ精神的に高いレベルで生きていられる。
必要以上に持つことは、失う怖れを持つことになる。
74 頂点を目指すうちに、自分が自分を奴隷にする奴隷監督になっていく。
自分をこき使いすぎてはいけない。自分をいたわろう。
123 朝を大切にしなさい。朝は活力をくれる。
そうか、やっぱり、上等の孤独の時間は、目覚めた時の朝かもしれない。
148 歩け、森の中を。歩かない足は、やがて身を滅ぼす。
歩こう。心の中のモヤモヤがある時こそ、歩こう。
孤独には、力がある。
人と比べるな。
人は自然にはかなわない。
だからこそ、自分のできることを、丁寧にして生きる。
そういうメッセージの本。
さて、今日は歩きに行こうかな。
五月もあっという間に過ぎていった。
焦るな、焦るな。
目標を見失わなければ、ゆっくりでもいい。