『ヤマザキマリの人生談義 悩みは1日にしてならず』 by  ヤマザキマリ

ヤマザキマリの人生談義
悩みは1日にしてならず
ヤマザキマリ
毎日新聞出版
2021年11月1日印刷

 

ヤマザキマリさんの本なので図書館で借りてみた。

予約していたら、順番が来るまで結構時間がかかった。


本書は、毎日新聞「人生相談」2017年4月19日から2020年6月12日、に掲載されたものからの抜粋。
すべて、Q&Aの形で、マリさんが相談者の質問に答える。 年齢層も10代から高齢者まで、内容も様々。 質問自体が笑えるものもあるし、当事者にとっては深刻な質問も。それをマリさんがしっかりと受け止め、マリさんの原理原則で答えている。ぷぷぷ、と笑っちゃうのもあれば、う~~む、そうだのぅ、、、とうなりたくなるものまで。

気晴らしになる一冊。

一応、目次がある。

 

目次
1 悩みの根っこはどこにある?
2 あの人さえ変わってくれたら…
3 こんな毎日耐えられない
4 自分の常識は、他人の非常識
5 それでも気になる
6 今日もやっぱり五里霧
7 その一歩が踏み出せない
8 揺れる想い。選ぶならどっち

質問で分類された目次なのだろう。
気になるところだけでも、ぱらぱらめくると楽しいかもしれない。

 

それぞれの項に、マリさんが描いた生き物の挿絵が。
カエル、トンボ、金魚、金網にとまる雀。。。なかなか、良いかんじ。実は、深い意味があってそれぞれの生き物を描いているのか?単に、悩んだら自然に帰れ!と言う意味で生き物の絵なのかわからないけど、マリさんっぽくていい。

 

心に響いたものを覚書。

 

Q:小学六年生の娘が不登校気味に。どうしたらよいのか?
A:子供は、自分に適した生き方を模索している
子供は頼りなさそうに見えても、実は自分の判断で自分で適応した負荷に苦しまない生き方を模索しているところがあります。 その葛藤に気づいてあげてください。嫌いなことや面倒なことを避けてばかりいると将来困るかもしれない、ということはお子さんに伝えて下さい。辛さや苦しさの経験は、後に社会で生きるために必要な強さとなって自分を守ってくれるはずです。

これは、なかなか、いいコメント!子供だって、子供なりに考えているんだよね。 悩んでいる子供を見ているのはつらいけれど、自分で道を探している時は、そっと見守るほうがいいのかもしれない。難しいけどなぁ。


アリストテレスの言葉から。
「全ての人は善人か悪人かではなく、
 正しいか正しくないかではなく、
 その中間である」
by アリストテレス形而上学

人間は、中間、、、。なんだな。


Q:上から目線圧強めの同僚にストレス。すごいストレスで精神疾患になりそう。
A:人に性格を変えてもらって自分が楽になるはムリです。であれば、自分が苦境とどう向き合うかを工夫するしかない。一度、顔を真っ赤にして相手に対して、キレてみる。同様にストレスを抱える同僚と、大愚痴大会を開く。瞑想する。大自然にでかける。
とにかく厄介な人間一人に精神力を費やすのは本当にもったいない。まず気分転換しましょう。次元の違うものを見ると、そんな奴のことなど、もうどうでもよくなっているかもしれません

いるいる、こういう人。そう、他人に振り回されるのは、やめよう!!自分の好きなことに没頭してしまうのが一番。
人は変えられない。自分が変わるしかない。


Q:態度が悪い部下にイライラ。どうしたら心穏やかに過ごせるか?
A:異星人が部下になってしまったと諦めましょう。他者はとにかく自分の思い通りにはなりません。効果を期待せずに言いたいことは告げつつ、あなたのやるべき仕事を淡々とこなしていくのが一番じゃないでしょうか。

いるいる、異星人。
自分だって、かつての上司からみたら異星人だったかもしれない。
大事なのは、仕事は仕事として、きちんと伝え、全うすることだ。


Q: バレンタインデーの義理チョコ廃止を会社で訴えたいが、変な人と思われないでしょうか?
A:中途半端な迷いがあるなら、革命家的な資質はない。発言の後の顛末が怖いようなら、 中途半端です。やめときましょう。

わかる!!
あ~~だ、こ~~だ、文句をいいながら、自分ではそれを主導しない人。
革命家気質ではないのなら、周囲に少しずつ同意を求めながら、ロビー活動でがんばろう。


Q:夫がホラー映画を観てくれない。楽しみを共有できずに辛い。
A:夫婦であっても趣味思考の全てが重なり合うのはほぼありえないのではないかと思います。自分とはいろいろ違う側面があってもそれでも一緒にいたいと思うのが心地の良い夫婦では?

質問に笑った。新聞だから、こういうネタを面白おかしく取り上げるのだろうなぁ、と思うけど、私だってホラー映画を強要されたら、そんな人とは一緒にいたくない。それを心地よい夫婦のありようを語ることで片づけるマリさんがいい。


Q:深刻な人生相談は面白くない。(78歳)
A:面白いと感じる人がいてなんぼ。それがこの「人生相談」。

これまた、笑った!
マリさんは、新聞などのメディアで公開される人生相談は、一種のエンターテイメント、と言い切っている。そりゃそうだ。

面白くないなら、読まなきゃいいのにねぇ。。78歳になると、なにか文句をつけたくなるのか?!笑った。

 

Q:大学三年生。将来が決められない。
A:たった21歳で自分の生き方を決定してしまわないで。

そうなんだよね。でも、若い時には、それがわからない。
私なんて、50歳過ぎても、まだ迷走中。。。
かといって、悩んでいない。
色々やってみると、そのうち、あぁ、これが私の好きなことなんだって、分かってくる。
色々やってみればいいのよね、ホント。

考えるだけではなく、やってみる。
Do it!


Q:親の反対で美大にいけず、虚無感。
A:絵具だけで絵を書こうとしているのなら大間違い。
 手塚治虫さんが、赤塚不二夫さんにどうしたら面白い漫画が書けるのかと聞かれた時の答え。
それならいい小説を読みなさい。いい音楽を聴きなさい。いい映画や演劇を見なさい。漫画から漫画を学ぶな

深い。
でも、そうなんだよ。

 

旅も本も、絵画も映画も、肥やしになるんだよ。 

こういう、人生相談を笑って読むのも、人生の肥やし、かな。

 

さら~~っと、楽しく読める一冊。

で、ときどき、いいこと言うねぇ!という感動。

 

悩みは一日にしてならず。

ならば、解決も一日にしてはならず。

でも、なにもしなければ、何にもならず。

 

Do it.

あれこれ悩んでいないで、行動してみよう。

 

ヤマザキマリの人生談義 悩みは1日にしてならず』