『100万人のデータ分析でわかった! 病気になる人、ならない人』 by  鈴木誠二

100万人のデータ分析でわかった! 病気になる人、ならない人

鈴木誠二 著
沢丞 監修
現代書林
2021年9月15日 初版第一版

 

これもまた、図書館の特設「健康コーナー」で見つけた本。

なかなか挑戦的なタイトルだけど、著者は医師ではない。

 

著者の鈴木さんは、株式会社ウェルビーイング代表取締役、農学博士。1986年テルモ株式会社に入社、2001年退社後、ご自身で株式会社ウェル・ビーイングを設立し代表取締役に就任。(顧問は日野原重明さんだった)。米国から帰国後、日本の医療経済が崩壊の危機にあることに気づき、治療医学から予防医学への転換を決意。現在、健康診断の結果を分析し生活習慣病の発症リスクを点数化することにより、将来の生活習慣病を予測するシステムを確立。日本における検診分析のパイオニアとも言える存在だそうだ。

株式会社ウェル・ビーイングは、健康保険組合専門の予防医療のコンサルティング会社とのこと。そして、健康診断を受けたり、人間ドックをうけている人が、なぜ予防できる病気になってしまうのか??と考え続けてきたという。


健康診断で、「高血圧」「高LDLコレステロール」「高血糖」と★がいくつもついて「要精密/要再検/要治療」となっても、、、自分の心臓血管がつまるとは思わないので、生活習慣を変えようとしない、ということらしい。
そして、重要なのは、健康診断や人間ドックを受けることだけでなく、それと同時に、その結果から自分の未来の健康状態が明確にイメージできることなのだ、と。

人間は、正常性バイアスを持っているので、健康診断で★★★となっても、自分は大丈夫と思いがち。それは、本当そうなのだ。心筋梗塞も、脳梗塞も、まさか自分がそうなるとは思わない、、、。私だってそうだ。

 

目次
第1章 日本の予防医療の課題   健康診断はどう読むか
第2章 医学は確率。病気のパターンを知っておこう。病気の人、健康な人の分かれ道

第3章 賢い病院のかかり方を身につける   健康行動管理の知恵を教えます
第4章 こころの健康と死生観について考える   悔いのない人生をどう生きるか
第5章 医療保険者と国民皆保険制度のあり方を考え直す

 

第1章では、著者が予防医療の世界に入ったきっかけも説明される。そもそも、病気には、予防できるものと、出来ないものがある。健康保険の考え方からすれば、予防できないものはどうしようもない。。。遺伝的なものなど。医学会からすれば予防できないものはどうにもならない、、とは言えないのだけれど、彼の立場からすれば、予防できるものに集中する!という戦略をとることができる。医師でない強みだろう。
予防できる病気について、予防する事ができれば医療費を抑制することもできる。

 

ちなみに、予防可能で疾病別医療費総額が高いものは、
① 高血圧性疾患
② 糖尿病
③ 脂質異常症の三大生活習慣病(「悪性新生物=がん」「心疾患」「脳血管疾患」)
④ 三大生活習慣病が原因で進行する動脈硬化が悪化しておこる脳・心臓・腎臓関連疾患

だそうだ。
これらは、どれも加齢とともに疾患が増える。

 

で、なぜ、予防できるのに、予防しないのか。健康診断で★がついているにもかかわらず、、、。

結局、重篤な疾患に至る原因になることを「知らなかった」「気づかなかった」ということなのだと。そして、そのことを知ってもらう、気づいてもらうために、重症化を予測する「カラダ通信簿」なるものをつくっているのだそうだ。

「カラダ通信簿」では、リスクを点数化して本人に気づいてもらうようにしているという。

そして、ショッキングなことに、いわゆる「特定保健指導」をうけた人も、うけたその年は肥満などが改善されても、2,3年後には戻ってしまうのだそうだ。

 

会社の健康診断で、40歳?だかを過ぎると、メタボ検診が義務付けられて、女性ならウエスト回りのサイズで判断される。女性の基準は90cmなのだが、はっきりいって、それって、どう考えてももう手遅れでしょ!!っていうサイズじゃないか??

 

検診をうけても、予防にはならない。当たり前だけど、、、学校の試験前にノートをコピーして安心しちゃうような?!
受けて満足しちゃうのは、まったく、予防にならない。
重要なのは、生活習慣を変えること。

 

結局、健康診断や「カラダ通信簿」も、確率の問題で、本人の自覚症状がでる前に、病気になる確率を知るためのもの。発症率をさげるための方法を取り入れない限りは、意味がない。

つまり、病気になるか、ならないか、の分かれ道は、発症率を下げるための方法を取り入れるかどうか、ということ
「自分は高リスクになっている」と認知する事
それは、医療ではなく、認知心理学者や社会心理学の世界なのだ、と。


具体的に述べられている病気への予防、対処法は、次の通り。

1.がん対策
 ストレスをためずに生きる。
 自分の「いつもと違う、に敏感になる
 現検診を受ける

2.動脈硬化対策
 動脈硬化の原因は、「糖化と酸化」
 高血糖・高血圧・高脂血症、喫煙・ストレスを避ける。
 野菜から食べる
 腹八分目
 抗酸化活性の高いビタミンA・C・E、ポリフェノールアルカロイドをとる。

3.老人性うつ、認知障害
 五感からの刺激を低下させない。(刺激のない生活をさける)
 
ストレス軽減は、どんな病気にも有効なことであり、その為に重要なのことの一つは、良質な睡眠
深い睡眠を繰り返すほど、脳の老化はすすみにくいのだそうだ。


昼間、家の中でじっとしていると、肉体的疲労がおこらず、眠りが浅くなりがち。やっぱり、良質な睡眠には、適度な肉体的疲れというのが重要。


深い眠りを作る睡眠ホルモンが「メラトニン」。メラトニンは、トリプトファンというアミノ酸から作られるホルモンで、その生成過程で幸せホルモンといわれる「セロトニン」も作られるセロトニンは、日光の刺激をうけることで作られ、夜、光の刺激がなくなるとメラトニンに変わる。だから、暗いほうがメラトニンが作られやすくなる。
寝る前のスマホの明かり、明るすぎる照明はメラトニンの生成を疎外してしまう。だから、寝る前は、少し暗めの環境で過ごした方がいい。

ちなみ、私は寝室の明かりは常に半分程度の調光に落としている。ベットに入ったら、その薄暗い光のままで本を読んでいるのだが、眠くなって、寝ようとおもったら、完全に消す。真っ暗にする。
たいてい、電気を消したら、3分で寝れる。


やはり、健康第一。
身体だけでなく、こころの健康も。
ストレスなく過ごせれば幸せだけど、刺激がなさすぎる生活もボケそうだ。

 

ストレスの多くは、「自分の心」が作っているもの。
小林先生もいっていたように、他人はコントロールできないけれど、自分の心は自分でコントロールできる。

自分でコントロールできないものに、気分を振り回され続けると疲れちゃう。

自分でコントロールできることに集中しよう。

 

集中力とか体力とか、所詮、限りがあるもの。
であれば、自分にとって意味あることにそのエネルギーを使おう。

10年後の自分のために、自分の心を自分でコントロールしよう。

よし、昨日食べ過ぎたので、今日は食べ過ぎないぞ!! 

 

図書館にあった特設「健康コーナー」の本シリーズは、とりあえず、本書まで。

 

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小林先生の本が、やっぱり読みやすかったかな。

そして、健康のためには、生活習慣改善のための何かを実行すること!

残念ながら、読んだだけでは、健康にはならないのよね。

 

『100万人のデータ分析でわかった! 病気になる人、ならない人』