『図解 一度は訪ねておきたい! 日本の七宗と総本山・大本山』  永田美穂・監修

図解 一度は訪ねておきたい! 日本の七宗と総本山・大本山
永田美穂 監修
青春出版社
2018年1月15日第一刷

 

図書館の歴史の棚にあったのか、地理の棚にあったのか、はたまた宗教の棚にあったのか忘れてしまったのだが、最近、歴史を勉強していて、やっぱり日本の宗教も全然わかってないなーと思ったので借りてみた。

 

世界史を勉強していると、宗教の歴史への理解が必要なように、日本の歴史を学ぶにも、日本の宗教のことがわかると、理解が深くなるような気がする。私の頭の中では、各宗派のみならず、何時の時代に始まった宗教なのかも、さっぱり。。。恥ずかしながら、祖母の家にあった仏壇だって、何教の仏壇だったのか、さっぱりわかっていない。

そもそも、宗教は何もないところには発生しない。人々が救いを求めるようになるから始まるのだし、西洋でも東洋でも、宗教が組織化して権力を持ち始めることから争乱に繋がり、また、新たな社会の形になっていく。
そう考えれば、日本の宗教を知っておくというのは、日本の歴史を理解することにつながるのだろう。

 

表紙には、
延暦寺金剛峯寺知恩院本願寺永平寺妙心寺久遠寺・・・
日本仏教の原点に触れる心あらわれる旅!”
とある。

著者の永田美穂さんは、中国・上海生まれ。日本経済新聞社勤務後、仏教誌の編集主幹等を歴任しつつ 、NHK や民放各局のテレビでも活躍。日蓮宗新聞社・編集委員NHK学園「仏典講座」などの講師を経て、現在は執筆講演に専心。

188ページの新書。今更ながら、ほほぉ!!!そうだったのか!!!という話が沢山。

表紙の裏には、「総本山・大本山」についての解説が。


”寺院の伝統的な「本末制度」では、「総本山」「大本山」その下に「本山」が置かれる。「本山」の下には、「本寺」「中本寺」「直末寺」「孫末寺」と並列化され、「末寺」と総称される。これらを統べる(すべる)「総本山」は、宗派の起源となる寺院であり、宗全体を統括する。一方の「大本山」は宗派の「祖師」「開祖」に縁のある寺。後にたくさんの宗派に分かれた寺院は、「祖師」「開祖」との縁が大切にされる。「大本山」は「総本山」の下にあるが、自派に属する「末寺」全体を統括する。ほかに「格別寺院」があり、これはその宗派で特別な意義・性格を持つ寺院で、一般に「大本山」と「本山」の間に続けられることが多い” 

へぇぇ。。。。
そうだったんだ。
総本山と大本山って、言葉としては聞くけど、その違いは初めて知った。


「総本山」が、ど~~んとしている社長だとすると、「大本山」は取締役執行委員、みたいな感じか。でもって、その下の「本寺」「中本寺」「直末寺」「孫末寺」は、本部長、部長、課長、係長、、、みたいな? ま、ちょっとちがうかもしれないけど、お寺にヒエラルキーがあるということらしい。
総本山は、一般用語的にも、比喩的に組織の大もとのことをさしてつかわれるから、なんとなく、そんな感じなんだろう。


目次

序章 日本の仏教と総本山・大本山
第一章 天台宗の総本山
第二章 真言宗の総本山
第三章 浄土宗の総本山・大本山
第四章 浄土真宗の本山
第五章 曹洞宗大本山
第六章 臨済宗大本山
第七章 日蓮宗の総本山・大本山
付録 その他の総本山・大本山

 

各宗毎に、
○○宗の教え
総本山
修行としきたり
 ○○宗の一年
参拝の方法
○○宗の文化財
と、まとめられていて、分かりやすい。

参拝の方法については、数珠の持ち方も図解されている。
しらなかった、それぞれ、数珠の持ち方も、こんなに違うのね!!
人差し指と中指の間にかけたり、親指と人差し指の間にかけたり、、、ほんと色々・・・。
社会人になったころは、会社の人の家族が亡くなると、よくお手伝いに駆り出されたり、年に数回は御通やお葬式に参列することもあったけれど、ここ10年くらいだろうか、ぱたりと減った気がする。
一つには、昔のようなお葬式より、家族葬が増えたということもあるのだろう。
となると、私にとっては、わざわざ数珠をもって行く機会はすっかり減った。
40を過ぎてから、数珠の一つくらい持ってないと、、、といって、室生寺でかった数珠は、もしかすると、かれこれ十数年、、一度も使っていないかもしれない。。。

それぞれの宗、基本事項だけ、覚書

 

天台宗
・すべての人が仏になれる。
・総本山:比叡山延暦寺(京都の北東、「鬼門」にあたる)
・宗祖:最澄(778~822)
・数珠の持ち方:両手の人差し指と中指の間に数珠をかける。
文化財比叡山 根本中堂 など

 

真言宗
密教の行による成仏
・総本山:高野山金剛峯寺、他に、東寺根来寺(ねごろじ)@和歌山
・開祖:空海(774~835)
・即身成仏、『大日経
・数珠の持ち方:両手の中指にかけ、房は外に垂らす。

 

浄土宗
・「南無阿弥陀仏」と称えれば、誰でも極楽に行ける
・総本山:知恩院
大本山金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)@京都、増上寺@東京
・宗祖:法然(1133~1212)
・数珠の持ち方:合掌した料亭の親指にかける


浄土真宗
・「絶対他力」「悪人こそ救われる」
・本山:西本願寺東本願寺専修寺など
・宗祖:親鸞(1173~1262)
・数珠の持ち方:真宗大谷派本願寺派で異なる。数珠を二重に巻いて、合掌した両手に輪をかけ、房を上にするか、下にするか。


曹洞宗
只管打坐(しかんたざ)ひたすら坐禅をする
大本山永平寺@福井県総持寺@神奈川県
・宗祖:道元(1200~1253)
・数珠の持ち方:左手にかける。右手はそえる。


臨済宗
・「坐禅」と「公案によって悟りを開く
大本山妙心寺南禅寺東福寺大徳寺天龍寺相国寺建仁寺建長寺円覚寺など
・宗祖:栄西(えいさい/ようさい)(1141~1215)
・数珠の持ち方:左手にかける。右手はそえる。
・多くの寺が、枯山水の庭園を持つ。


日蓮宗
・「法華経
・総本山:久遠寺@山梨県
・宗祖:日蓮(1222~1282)
・数珠の持ち方:数珠を8の字にねじり、中指にかける


華厳宗
・総本山:東大寺
・開基:聖武天皇

 

律宗
・総本山:唐招提寺
・開基:鑑真


法相宗
大本山興福寺
・開基:藤原不比等

 

黄檗宗(おうばくしゅう)
大本山萬福寺
・開基:隠元隆琦(いんげんりゅうき)

 

なんて、たくさんあるんだ、、、、。

って、本当は、もっともっとたくさんある。

だいぶ、頭の整理になった。

 

日本の宗教の全体像をつかんでみたいという人にお薦め。

それぞれの宗教の総本山、大本山を分かったうえで実際に行ってみると、その違いとか、もっと楽しめるのかもしれない。

これから寺院に行くときは、ちょっとは違いを調べてから行くことにしよう。。。

 

うん、なかなか、勉強になる一冊だった。

読んでよかった。

 


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