「Jeep way letter」: Your way と Their way : 白洲次郎

白洲正子さんの著書を読んで、ふと思い出した。

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白洲次郎さん、直筆の「Jeep Way Letter」をみて、すごく感動したことを。

 

この写真の下にあるのは、白洲次郎の直筆の図解だ。

 

「START」から「OBJECT」に至るに、2つのWayが示されている。ひとっ飛びで行こうとしているのが、GHQが示した「Your way」。いくつもの山の谷を縫うようにいくのが、「Their way」、日本政府のやり方。その違いをGHQへ訴えたLetterだ。

 

コロナよりも数年前、2017年の秋、外務省の知人が、外務省外交史料館に案内してくれた。その時、撮った写真。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/shiryo/annai.html

本館閲覧室 利用案内|外務省


外務省外交史料館は、日本の外交に関する資料が保管されており、誰でも訪れることができる。 私が訪れたのは、グループでの勉強会の一環だったので、係りの方の説明つきで中をみることができた。様々な外交文書調印の現物であったり、伊藤博文の直筆サイン、吉田茂首相の「鳩杖」などが展示されている。
そして、その中にあって、まさにカメラのシャッターを切るように、私の脳裏に焼き付いたもの。。。それが、白洲次郎の「Jeep Way Letter」の現物。彼の手書きの図解だった。

 

「Jeep Way Letter」とは、白洲次郎が、GHQ統治下の日本で憲法憲法草案の段階で、GHQの進め方と日本の進め方は異なるのだ、ということをホイットニー民政局に伝えた手紙。彼は、終戦連絡事務局参与」という役職にあって、GHQと日本政府の間をつないだ。

 

国会図書館のHP掲載の文章を引用すると、

”1946(昭和21)年2月15日、白洲次郎終戦連絡事務局参与は、松本烝治国務大臣の意を受けて、ホイットニー民政局長に宛て、GHQ草案が、松本等に大きな衝撃を与えたことを伝え、遠まわしに、「松本案」の再考を希望する旨の書簡を送った。白洲は、「松本案」とGHQ草案は、目的を同じくし、ただ、その目的に到達する道すじを異にするだけだとして、「松本案」は、日本の国状に即した道すじ(ジープ・ウェイ)であるのに対して、GHQ草案は、一挙にその目的を達しようとするものだとした。

この書簡に対して、ホイットニー局長から、翌16日、返書が寄せられ、同局長は、日本側が、白洲の書簡によってGHQの意向を打診し、「松本案」を固守しようとする態度に出ているとして厳しく反論し、国際世論の動向からも、GHQ草案を採ることの必要性を力説している。”
とある。

「ジープ・ウェイ・レター」往復書簡 | 日本国憲法の誕生

 

思想の違い、言葉の壁もあって、相当な混乱の中で作られた「日本国憲法」だったのだ。でも、目的を達成するためには、必要な争議もある。


ゴールは同じでも、やり方が違う。
やり方が違うだけなのだから、お互いに尊重しよう。
同じゴールにむかっているのだから、いいではないか、、、。

 

結果的に、すんなりと白洲次郎の主張が受け入れられたわけではなかったけれど、必要な交渉だったのだと思う。

 

これは、外交に限らない。

家庭でも、会社でも、どんな組織でも当てはまる。

 

組織と言うのは、基本的には同じ目的を持った人たちの集まりだ
地域社会だって、そこで快適に暮らしたいという人々の集まりだろう。
会社員なら、だれだって会社がきちんと稼げて、社会からも愛される会社であってほしいと思うだろう。

 

人間が社会的動物である以上、組織における目的の共有は、何より大事なんだと思う。

「快適な暮らし」といっても、人によって快適の定義がちがう。でも、本当は、「快適な暮らし」は、手段であって最終目的ではないのではないだろうか?
快適な暮らしで手に入れたいのは、充実していて、幸せな人生、ということなのではないだろうか。

 

目先の目的ではなく、その先にある、時間的にも空間的にもその先にあるものに眼を向ければ、人は、必ず共通の目的があるのではないだろうか・・・

と、そんな風に思ったのだ。

 

その思いは、今も変わらない。

 

短期的目標を掲げるのは大事だ。その方が、がんばれる。
受験だって、就職だって、それは、ステップとして目標をもつのは大事。
そして、目標に達成すれば、達成感という幸せがある。
でも、それだって、ただの人生の通過点でしかない。

 

重要なのは、もっと先にある目標のように思う。

今日、明日だけでなく、もっと先を考える。

そういう、余裕がある人間でありたいと思う。

 

目先のことに振り回されず、長い目で考えよう。

 

地球的視野で、宇宙的規模で。

大きく考えれば、目の前の小さなトラブルなんて、ちょっとした擦り傷でしかない。

 

共通の目的。

長期視点。

それを忘れなければ、きっと組織もうまくいく。

そして、時に必要な争議は、逃げちゃいけない。

将来のために、言葉を以て話し合う。

それが、大事なんじゃないのかな。。。