『自然法則がカラダを変える! 三軸修正法』 by  池上六朗

自然法則がカラダを変える! 三軸修正法
池上六朗
BABジャパン
2003年11月10日 初版第1刷発行 
2006年5月20日 第6刷発行

 

とある知り合いが、「三軸修正法」と言われる治療をうけたら、長年の膝痛がたった2回の通院で治った、と言っていてホントか?!と思ったけれど、ウソをつくような人でもないし、、、。
知り合いによれば、治療は特別なことをするというより、ちょちょっと言われたとおりに身体を動かして、とくに歪み強制のような手技をするわけでもないということで、まさに、マジックハンドのようだった、と。
関連する本もあるということだったので、図書館で借りてみた。

2003年の本だから、ほぼ20年前。20年前位に流行ったのだろうか?まったく記憶にないけれど。

 

本を開くと、最初に「池上先生のこと」という解説がついている。
池上さんとの出会いを、
”去年、私は『寝ながら学べる構造主義(文春新書)というフランス現代思想の入門的な解説書を書いた。その本がたまたま池上先生のお目にとまった。そしてその中で池上先生は三軸修正法の原理に通じるものを看取せられたのである。”
と。
ん?『寝ながら学べる構造主義』?読んだことあるぞ?だれだっけ?

なんと、いきなり内田樹さんの解説から始まった。『寝ながら学べる構造主義』は、私が『悲しき熱帯』(レヴィ=ストロース)に手をのばしたきっかけになった本。

megureca.hatenablog.com

 

構造主義、あらゆることは相互に影響し合うという思想といえばいいだろうか。。。


内田さんは、思想家であるとともに、武道家でもある。 内田さんの本を読んだ池上さんが、三宅さんという「三軸修正法」の宣教師を通じて連絡をしてきた、といういきさつだった。

そして、内田さん自身が稽古でいため、他の医師から「再起不能」といわれた膝を、三宅さんの治療に3回かよっただけで、なおったのだと。三宅さんは、多くのプロスポーツ選手の主治医としても有名な方だそうだ。

 

本書は、痛いところの治し方がかいてあるのではない。人間の身体が「構造主義的」にかたられているというのか、身体の構造をどのようにとらえるか、いかに全体としてとらえるかというようなことが書いてある。
物理の本を読んでいるような感じだった。

一言で感想を言うと、身体は一つの宇宙である、、って感じか??
治療法が書いてあると思って読むと、ちょっと失望する。そうではなく、人間のからだの動きの仕組みを知って、動きやすさをとりもどすためのヒントが書いてある、って感じ。

 

目次
池上先生のこと内田樹
はしがき
1 万有引力を体に活かす
2 プレセッションで三軸修正
3 コリオリの力と柔軟性
4 体の中の浮力
5 アライメントを直すと治る

と、目次をみただけでも、なんだ?万有引力?という感じだ。

つまり、からだには常に重力がかかっているということ。そんなこと、知ってるよ、と思うし、日常生活で重力を意識することはないから忘れている。でも、身体は、常に重力を受けている。

だから、顔を鉛直に保った動作は身体にむりがかかりにくく、柔軟性が増すのだそうだ。
鉛直というのは、垂直とは違う。垂直とは、一つの面に対して、90度の関係。鉛直というのは、重力の方向のこと。傾斜のある坂でも重力の方向に立つのが鉛直。坂と90度の角度になるように立つと、坂に対して垂直。

坂に立つとき、垂直と鉛直とどっちが安定するか。とうぜん、鉛直だ。つまり、重力に逆らわずに立つのが、楽なはず。普段の生活でも、重力に差からなわない方が楽に動ける、という様な話だった。

池上さんの説明によれば、身体を微粒子が集まったモノと考えれば、その微粒子を鉛直にそろえていた方が安定する、ということ。まぁ、確かに。身体だって、個体・液体・気体の集まりだと思えば、そんな気がする。

重力の方向=鉛直

身体の粒子は、つねに重力の方向に引っ張られているので、身体を動かすことによって、身体を構成している粒子が受ける方向が相対的に変化する。その結果、身体の形とその機能に常に変化が生じる。そして、或る範囲を超えた変化がおこると、機能低下や感覚の異常などで「もうムリ!」と身体がうったえる。
なるほど。
そうかもしれない。

一方で、身体は多少の変化を織り込むように進化を重ねている。だから、その許容範囲のなかでの変化であれば、機能低下は起きない。
身体の進化にさからった使い方をすると、機能低下、関節の痛みなどにつながるのだ、と。

身体が柔軟性を高める様々な実験が書かれているのだが、どれも、ホント??と言いたくなるような話。

 

次のような話。

”直立して、カラダを前後にまげて柔軟性を確かめます。
次に、手じかにあるモノをちょっとぶら下げて(おもりに紐をつけて、紐の先を右手で持つような)、それから再び柔軟性を確かめる。”

身体がやわらかくなるのに気が付くはず、と。

私もやってみた。わざわざ、荷物紐を補足して、スナップフックをぶら下げて、やっていた。うん??もともと、身体がやわらかい私には、よくわからなかった。。。。けど、言われるとそんな気もする。

そして、
”次に、直立し、膝を伸ばして腰に手を当て、ラジオ体操の要領で頭をくるくる回す。
そして、柔軟性を確かめる。
身体がこわばってしまうことに気が付くはずです”
と。

むむむ??やってみたけど、むむむ?そんな気もしなくもない・・・。

この実験で確認してほしいのは、頭で無理に考えた身体の使い方(=体操)によって、人が本来持っていた身体の調節機能が低下させてしまうことがある、、、ということだった。

他には、自分で持たなくても、重りの釣り下げは、自分でも持っていなくても、近くにあるだけで効果があるとか、、、。
ちょっと、、、スピリチュアルか?!?!と言う気もしてくる。

周囲のものが乱れているより、整っている方が身体が整う、ということ。
おいおい、断捨離か?!?!

これらのことは、万有引力の法則を考えると、あながち無視できない、ということ。
ものとものは、引っ張り合う。だから、影響し合う。
そういわれればそうかも。。。
整った机の上の方が、散らかった机の上よりも勉強や仕事が捗るのは、気のせいだけではないのかも?

とまぁ、不思議ちゃんなことから、物理の法則的に説明してあることとか、ちょっと難解といえば難解な本かもしれない。

でも、鉛直のはなしだけでなく、プレセッション、コリオリの話などは、興味深い。プレセッションというのは、自転している物体の回転軸が円を描くように振れること。地球が自転していることによって、人は北半球にいると北向きのほうが前屈がしやすい、、とういこと。はて?という感じだけれど、お風呂の栓を抜くと水は、北半球では半時計周りに回転する(コリオリ)のも自転の影響。

つまり、身体を自転している地球上の素粒子ととらえると、アライメントのとりかた、整え方は、自然に反しないようにするべきだ、ということ。
さらにムムム??

本書にある三軸とは、鉛直軸・前後軸・横軸のことで、これらの軸に対するうごきがそれぞれ自由になっていれば、身体はもっともスムーズに動くことができる、ということ。

鉛直軸・前後軸・横軸の回転運動を、それぞれ、ヨーイング(Yawing)、ローリング(Rolling)ピッチング(Pitching)として、それぞれの動きが影響しあう三軸修正チャートとしてプレセッションの方向が表にまとめられている。

文章で表現すると、ちょっとわかりにくいのだけれど、簡単に言えば、地球上で回転しているものは、3軸の方向に影響し合う、ということだろう。そして、それに逆らった動きは、身体にムリを強いることになるので、不調が生じる、と。

他にも、高気圧から低気圧に風が吹くしくみを、体の中の圧力変化の理解のために説明していたり、ほとんど、ほんと物理の教科書みたい。。。

最後の”5 アライメントを直すと治る”では、これまで常識とされてきた健康法と比較すると三軸修正法を受け入れにくくなってしまうので、まったく新しいものと思って丸ごとうけいれてくれ、ということが述べられている。

三軸修正法では、肩こり、腰痛、膝痛などそれぞれの部分の苦痛を取り除くのではなく、身体のどの部分も身体の全体の一部であるという認識をして、身体全体のアライメントを修正することを心がける。

肩こりから腰痛になったり、足の痛みからおしりの痛み、腰痛になったり、人の身体は、どこか一か所だけの問題で不調があらわれるのではなく、全体のアライメントの崩れが、弱いところに痛みとなってでてくる、ってことなのだろう。

アライメントが整うと、呼吸も楽になり、身体全体が軽くなったような爽快感が出てくるのだと。
また、世の中で正しい姿勢、と言われているモノより、「機能姿勢」を心がける。「機能姿勢」とは、その人にとってアライメントが整っている姿勢。それが、一般にいわれる「良い姿勢」と一致するのが理想なのだ、と。

 

最後に、三軸修正チャートの応用例がでている。興味がある人は、本書のイラストを見ながら身体を動かしてみることをお勧めする。とてもではないが、文字では説明しきれない・・・。

なんだか、わかるような、わからないような。。

でも、どこか一か所を治そうと考えるより、身体全体のアライメントを整えることが大事、というのは、わかる気がする。
身体をゆるめて、アライメントを整える。

ちょっと、やってみよう。