『もしも世界に法律がなかったら 「六法」の超基本がわかる物語』 by  木山泰嗣

もしも世界に法律がなかったら
「六法」の超基本がわかる物語
木山泰嗣
日本実業出版社
2019年3月20日 初版発行

 

図書館の棚で見かけて、面白そうだったので借りてみた。
表紙には女子高生のアニメが。パラパラっとめくるとアニメチックなイラスト入りで、簡単に読めそう。

表紙の裏には、
”法律の学習意欲・効果が高まる超入門書

法律は「難しそう」「身近に感じられない」などと思われている多くの方々に法律の基本を学ぶきっかけにしてほしい。そのように考え続け、10年という長い年月を経て中学生の方でも楽しめるような物語を紡ぎました。”
と。

確かに楽しみながら読むことができた。

本書は、「もしも法律がなかったらどうなるの」かということを物語仕立てにしてある。日常の当たり前が、法律のない世界に行くと、とんでもないことになる。それが「法律のない世界」にいった主人公の物語りになっているので、楽しく読みながら法律が学べる。カジュアルな体裁だけど、中身は結構濃い。なかなか、面白い本だった。

 

著者の木山泰嗣(きやまひろつぐ)さんは、1974年横浜生まれ。青山学院大学法学部教授(税法)。上智大学法学部法律学科を卒業後、2001年に旧司法試験に合格し2003年に弁護士登録。2015年4月から現職(大学教員)に転身。 高校時代に法律に興味を持ったものの分かりやすい本にめぐり合えなかった苦い経験から、法律を物語形式で解説する本の執筆も続けているとのこと。

なるほど、だから、物語りなんだ。
たしかに、物語りにするとわかりやすい。
しかも、「法律がない」世界を描くことで、普段気にも留めていない当たり前が法律があることで守られていることに気が付ける。わかりやすい。

 

目次

第1話 もしも憲法がなかったら
第2話 もしも民法がなかったら
第3話 もしも刑法がなかったら
第4話 もしも刑事訴訟法がなかったら
第5話 もしも民事訴訟がなかったら
第6話 もしも商法(会社法)がなかったら
第7話 一件落着


登場人物は中学生そしてその友達や親たち。主人公のジュリ、湯村樹里は13歳の好奇心旺盛な中学生で、ある日犯罪を目撃したのをきっかけに法律に興味を持つ。そして謎の老人に出会い法律のない世界に連れて行かれ悪戦苦闘する。謎の老人が、魔法使いで、ジュリを法律のない世界におくりこんじゃう、っていう話。そして、最後は、その老人におしえてもらっていた呪文をとなえて、普通の世界に帰ってきて、一件落着ってこと。

物語りそのものは、法律のない世界でおこることなので、荒唐無稽もいいところ。でも、実際、法律がなければそうなってもおかしくない。。。

 

職業は自由に選べずに、親の職業を継がなくてはいけないとか、中学生が結婚する、賃貸住宅は、契約に関係なく、高くお金を払えば今住んでいる人を追い出して、勝手に住める。給料は勝手にきめられる。好き勝手に逮捕される。。。。etc,etc,・・・

 

言われてみれば、そうか、それって法律で決まっていたね、、、って感じ。

物語りを覚書にしても仕方がないので、それぞれの話でポイントとなっていたことを覚書。

 

1.日本国憲法の条文に慣れるためのポイント
 ・職業選択の自由
 ・思想・良心の自由
 ・住居移転の自由
 ・表現の自由

 

2.民法の条文に慣れるためのポイント
 ・婚姻適齢
 ・重婚の禁止
 ・不動産と登記と所有権
 ・相続と遺産分割
 ・消費賃貸契約

 

3.刑法の条文に慣れるためのポイント
 ・迷惑防止条例違反と正当防衛
 ・共同正犯、教唆犯、幇助犯
 ・犯罪成立要件と法定刑
 ・憲法と刑法の関係

 

4.刑事訴訟法の条文に慣れるためのポイント
 ・送検、勾留請求、取調べ、起訴
 ・接見交通権
 ・控訴と上告
 ・証拠裁判主義
 ・逮捕状
 ・保釈

 

5.民事訴訟法の上部に慣れるためのポイント
 ・不告不理の原則
 ・処分権主義
 ・弁護士代理の原則
 ・控訴と権利と飛躍上告の合意
 ・裁判官の除斥と忌避

 

6.商法(会社法)の条文に慣れるためのポイント
 ・株主株式会社の事業報告株、主総会の承認
 ・株主への余剰金の配当
 ・株主平等の原則
 ・役員報酬株主総会での決議事項
 ・株主総会の招集通知 

どれも、目にすればなんとなく、あ~~、そういうことね、という言葉だけれど、こうしてまとめてみると、日常がいかに法律だらけなのかがわかる。

これは、日本国憲法と日本の法律なのであって、別の国に入れば常識ではなくなることも含まれる。あるいは、成人年齢が引き下げられるように、改訂されることだってありえる。

つまり、法律とは「いまここ」で有効であるだけのはなしである、、、ともいえる。

民法は、結婚や不動産にかかわることが定められているのでだれにとっても身近な法律だ。

刑法は、できれば関わりたくない、、けど、痴漢やスリのような事件の被害者になることはあり得る。正当防衛がみとめられない世界では、痴漢の手をひっぱたいたら、逮捕されちゃうかもしれない。

刑事訴訟法民事訴訟法も、できれば関わりたくない。けど、こういうことがあるのね、としっておくのは、いざというとき?!?!役立つかもしれない。

商法は、普通に生活していても、それなりに関わることがある。株をもっていたら、株主平等の原則がなければ、自分だけ配当をもらえない!なんていうことだってあり得る。あるいは、株主会社で働いていて、お給料が毎月経営者の気分でかわったら困るだろう。

 

今年7月に、会社を作ったばかりの私にとっては、「商法」がなかなかどうして、、勉強になった。「役員報酬株主総会での決議事項」というのは、「会社法」で定められていたんだ。そして、「株主総会の招集通知 」を事前送付しなくてはいけないというのも。知人と4人で会社を作ったのだが、一人が「役員報酬は俺が決めていいのかな」といいだしたので、おいおい!!と思ったのだけれど、よかった、ちゃんと法律で「役員報酬株主総会での決議事項」となっている!。それも知らずに会社をつくれちゃうんだから、コワイといればコワイ・・・。

 

簡単に、さら~~っとよめるけれど、なかなかポイント抑えてよく書かれている。
と、法律の素人だからおもうのかもしれないけれど、何気なく手に取った本だったけれど、よかった。

図書館だと、こういう本をちょっと読んでみよう、、という気になるからいい。
多分、本屋でみかけても買わなかったと思う・・・。
でも、法律をざっくりと学びたい人には、入門編として買う価値もあるかも。

ふむ。なかなか、勉強になった。 

 

不動産の登記書類、大事にしておかないと、、、。あるいは、保険とか他の契約書もね。法で定められた書類がなければ、「だって、わたしのだもん!」とか言っても何の効力もない・・・。

 

法律。基本を知っておくのは大事だね。