『ジェーン・バーキンの言葉』 by  山口路子

ジェーン・バーキンの言葉
山口路子
だいわ文庫
2018年3月15日 第1刷発行

 

図書館の「本日返ってきた本」のワゴン棚にあって、目に入ったので借りてみた。
ジェーン・バーキンといえば、今でも新品の入手は困難と言われる、あのエルメス高級バッグ「バーキンを生み出した人。
とはいえ、私は、あまりブランドものには興味がない、、、というか、興味があったバブルのころはまだ20代の学生で、エルメスなんて、高嶺の花すぎて、、、せいぜい、免税店でスカーフを買うくらいだったから、バーキンが実際にはどれほど使いやすいのかも知らないし、その生みの親であるバーキンのことも良く知らなかった。「バーキン」のバッグは、林真理子のエッセイに良く登場していた。なんだか、とてつもなく高級で、それを持つだけで大人の女になった気になれるバッグ、、、、というのが、私の中の印象。

 

 本の表紙や、中にある写真をパラパラとめくって、あぁ、、、なんとなく見たことあるかなぁ、、くらいだ。別に、ファッションに無頓着だった訳でもないけど、バーキンにあこがれたことがなかった、、、のかな。

 

裏表紙の説明には、

”「若いころは四十歳になったら、もう何もかもおしまいだと思っていたけど、違ったわ。」 フレンチ・シックという言葉がぴったりな、世界中の女性の憧れである女優、
そして歌手のジェーン・バーキン。高級バッグ・エルメスバーキン」の生みの親であり、
永遠のファッション・アイコンである彼女は、二十一歳で運命の男、セルジュ・ゲンズブールと出逢う。人生を思うままにスキャンダルに生き、結婚、出産、離婚、
そして娘の死という悲劇をのりこえ、見事に美しく「変容」していく。
五十代、六十代、年齢に抗うことなくノーメイクでしわを隠さない。「自然体で美しい人」の言葉とは。”

とある。

え?!、女優で歌手だったの?と、自分の無知ぶりにちょっと、びっくり。。。一応、元祖スーパーモデル、という認識は間違っていなかったけど。
ということで、美しい女性の言葉がつまった本。

 

「だいわ文庫」っていうのも、初めて聞いたな?とおもったら、『フランス人は10着しか服を持たない』とか、『ココ・シャネルの言葉』とかおしゃれ関係シリーズも出している出版社らしい。

著者の山口さんは、1966年生まれ。作家。『ココ・シャネルの言葉』も、山口さんの著書だった。

 

ジェーン・バーキンは、2011年3月11日東日本大震災から一月も経たない4月6日、一人で来日したそうだ。 「娘や友人達からは止められました。放射能汚染のことです。でも来られずにはいられませんでした。私には幸いにも飛行機のチケットを買うお金があり、こうして直接愛していると伝えることができるのだから恵まれています」と。

バーキンは、2017年12月14日に71歳の誕生日を迎えた。ということは、2011年は60代。すごい、行動力の人だ。


彼女は、イギリス生まれのロンドン育ち。でも、アーティストとして育ったのはフランス。だから、フランスを代表する女性といっていい。18歳で女優デビュー。3回結婚して、3人の娘に恵まれた。24歳の時に産んだ次女・シャルロット・ゲンズブールは現在フランスを代表する女優のひとり、だそうだ。

 

目次

CHAPTER 1: 美 センス
 若いころは、40歳になったら、何もかもおしまいかと思っていたけれど、違ったわ。

CHAPTER 2:運命の男
 愛の後に残る大きな愛って本当に素晴らしいわ。

CHAPTER 3:仕事
 逆境で、自分がしていることは正しい、と信じることが大切なの。

CHAPTER 4:愛
 私は49歳で恋におちてすごく楽しかった。

CHAPTER 5:母と娘
 私はずっと長い間母から認められたかった。

CHAPTER 6:人道支援
 人間には善意というものがあるの。


見開き右ページに、バーキンの言葉がかかれて、左にその説明、、、という感じで、ポンポンとたくさんの言葉が並んでいる。

恋多き女であり、母であり、歌手であり、女優であり、、、、凡人の私には、はぁ、そうですか、、、という感じの言葉も多いけど、もしも若い時に読んだら、ちょっとドキドキワクワクしたのかも?!?!いやぁ、、とても私の口からは出てきません、、、っていう言葉も多い。

「私はとにかく美しいと言われたかった。誰かに見られたかった。」
なんて、私には、お面をかぶって仮装してても言えない、、、と思うような言葉も、

バーキンは、いわゆるグラマラスな女性ではなく、どちらかというと男の子のような体形だった。だから、それがコンプレックスで、だれかに美しいと言ってもらいたかったから女優になったのかもしれない、と語っている。

「周りの人たちからの誉め言葉を受け取って、美しくなったのかも」と。

 

他、気になる言葉を覚書。

 

「メイクをナチュラルにしたら、必然的にメンズっぽいのが似合うようになったの」
 痛々しくない美しさのすすめ。

 

「美しく年を重ねる秘訣は、よく眠ること、よく笑うこと。
そして、自分のしたいことをすること。」
バーキンは、アンチエイジングには否定的。自然のままでいいのだ、と。

 

「これからは素材の良いものだけを着て、自分の身体をカムフラージュしてゆきたいわ」
そうそう、素材が大事。年をとるほど素材の良いものを。

 

「真珠だって宝石箱に入れられたままでは誰にも愛でられない。美しいものは人目にさらさないと駄目なのよ。」
愛した人の歌を、歌い続けるバーキンの言葉。

 

「私はそれまでの自分の魅力を捨てるという危険を冒したの」 
キャリアの転機となったこれまでとは違う路線の映画に挑戦し、次なるキャリアを手にしたこと。


「いつ来るかわからない仕事をじっと待っているなんてうんざり。
そう思ったら自分からアクションを起こすべきよ。」
女優だけでなく、歌手としてなら自分でコンサート活動ができるから、歌手になったのだ、と。

 

「行動で現状を変えられる。そう信じることが大切なの。」
東日本大震災の時に被災地に駆けつけたように、彼女にとっては行動することが大事だってこと。人は、自分ができる方法で行動をとればいいのだ、と。

 

「自分ができる最大限のことをするしか、選択肢はなかったの。」
2011年、日本を訪れた時も、実はドクターストップがかかるほどの病気を患っていた。また、2012年には心膜炎で入院。。。どんな状況であっても、そのとき出来ることをすればいい、、と。

 

本書の最後に、ジェーン・バーキンの主な映画、アルバムが紹介されている。
『太陽が知っている』はアラン・ドロンで有名だけど、22歳のジェーンが娘役ででている。他には、『ナイル殺人事件』、『美しき諍い女』などなど。
題名は知っている、、っていう感じ。

ふと手にした本だけど、あぁ、、美しく、強い女性がここにいるんだな、って感じ。

白シャツに黒パンツ。そういえば、それこそジェーン・バーキンだったね。
凛々しい女性って感じ、かな。 

 

気分転換に、軽く読める一冊。

午後のティータイムにぴったり。