『仕事は楽しいかね?』by デイル・ドーテン

仕事は楽しいかね?

デイル・ドーテン

野津智子 訳

きこ書房

2001年12月10日 初第1刷発行

2002年1月10日 初版2冊発行

原題:THE MAX STRATEGY (1996)

 

何で見たのだと忘れてしまったのだが、面白そうでタイトルをメモに書きとめた。

表紙の絵が印象的でまるでサンタクロースのようなおじさん。てっきり絵本だと思っていた。図書館で検索し借りてみたら、普通の本だった。しかも、21年も前の本。でも、最近ネットでどこかで見かけたのだ。

 

著者のデイル・ドーデンは、1950年生まれ。アリゾナ州立大学大学院経済学卒業後、スタンフォード大学大学院で学ぶ。1980年、マーケティング・リサーチ専門会社、リサーチ・リソーセス(Research Resources)を起業し、マクドナルド、3M、P&G、コダックなど、大手優良企業を顧客に持つ全米でもトップレベルの会社にまで成長させる。1991年、新聞に執筆したコラムが好評を博し、執筆活動を開始。現在米国を代表する人気コラムニスト。氏が執筆するコラムは、100社以上の新聞社に配信され、毎週1000万人以上に愛読されている。執筆活動の傍ら、企業講演、従業員訓練やキャリアセミナーを主催し、意思決定論、人材育成、キャリアアップによる能力開発や成功をテーマに独自の理論を展開している。

 

本文が始まる前に、何人かの人の言葉が引用されている。1つ紹介しよう。

「子供は皆、生まれながらに芸術家だ。

 問題はいかにして芸術家であり続けるかと言うことだ。 

 by パブロ・ピカソ

 

なるほど。

 

感想。

面白かった。

どんな内容だか知らずに借りたけれども、なかなか面白かった。

 

内容はいってみれば自己啓発本。いかに成功するか、と言う話で、おそらく原題のタイトル、『THE MAX STRATEGY』がストレートなタイトルだ。直訳すれば、最高の戦略、ってかんじだろうか。

これを『仕事は楽しいかね?と』言うタイトルにした出版社もなかなかいい。しかも、装丁は、絵本かとおもうような、愛らしいおじいちゃん。

物語仕立てに、人生の教訓が語られる。

 

あるサラリーマンが雪のため飛行機がキャンセルされる不運に遭遇する。彼は、ほかの不運で不機嫌な乗客たちと一緒に、26時間ターミナルビルに閉じ込められることになった。ターミナルの床にスーツ姿で座り込み、家族と一緒に食事がとれなくなった不運を嘆いていた彼の目に入ったのは、70歳前後で、格子縞のズボンにポロシャツ、ループタイというおじいさん。老人は、時間を持て余す子供たちの遊び相手をしてあげていた。そして、遊び疲れた老人は、こともあろうか、私のところにやってきて、おしゃべり相手をさせられることに。しかし、その老人との会話が彼が成功をつかむためのヒントになっていくと言う話。

 

ただの暇な老人かと思いきや、実は有名な起業家でありマックス・エルモアだった。発明家であり起業家。大勢の実業家や政治家が彼を友人とし、企業のトップにも頼られている存在だったのだ。

 

目次が、それぞれの話の教訓になっているので、目次の紹介は、教訓の紹介になっている。

 

目次

第1章 仕事は楽しいかね?
第2章 人生とは、くだらないことが1つまた1つと続いていくのではない。1つのくだらないことが〈何度〉も繰り返されていくのだよ。
第3章 試してみることに失敗はない
第4章 明日は今日と違う自分になる、だよ。
第5章 これは僕の大好きな言葉の1つなんだ。「遊び感覚でいろいろやって成り行きを見守る」というのがね
第6章 必要は発明の母かもしれない。だけど偶然は発明の父なんだ
第7章 目標に関する君の問題は、世の中は君の目標が達成されるまでじーっと待っていたりはしないと言うことだよ。
第8章 君たちの事業は、試してみた結果失敗に終わったんじゃない。試すこと自体が欠落していたんだ。
第9章 あの実験で学ぶべき事はね、「あらゆるものを変えて、さらにもう一度変えること」なんだよ。
第10章 それはね「あるべき状態より、良くあること」なんだ
第11章 もし宇宙が信じられないような素晴らしいアイディアをくれるとして、君はそれにふさわしいかね?
第12章 覚えておいてくれ。「試す事は簡単だが、変えるのは難しい」と言うことを
第13章 新しいアイディアというのは、新しい場所に置かれた古いアイディアなんだ
第14勝 君が「試すこと」に喜びを見い出してくれるといいな。

 

それぞれ、なるほど、と思う。なかなか、斬新だ。全体で語っているのは、誰かの真似をしているうちには本当の成功はない。目標を立てるとか、一生懸命頑張るとか、誰もが成功のためにやっているようなことを同じようになっても、抜きんでて成功することは難しい。という話。やってみること、試してみること、それに尽きるのだ、と。10回やって9回失敗でも、1回の成功があればいい。10回やって2回の成功があれば、それは昨日より進歩したということ。やってみることの積み重ねが大事、ってこと。

 

主人公の「私」は、35歳。今はサラリーマンだけれど、若い時に友人と起業したこともあった。でも、競合他社の出現で、結局は赤字で会社を閉めることになった、という話を老人と話している間に、延々と語ってしまう。かつ、今のサラリーマン生活も愚痴ばかり。。。老人は次々に質問してきた。そして老人は「仕事はたのしいかね?」と私にきいたのだ。その言葉は、私をギクリ!と、させた。

 

そして、さっきまで遊んでいた子供たちに見つけられた老人は、私の元を離れて、子供たちの輪に戻っていった。

しばらくすると、知らない女性がやってきて、「あの人のお連れの方?」と聞いてきた。老人は、有名な発明家、起業家として巨万の富を築いた人物であることをその女性から聞かされる。

しまった、、最悪な印象だけ、与えてしまった、、、、。後悔先立たず、、。彼の英知を吸収するチャンスを逃してしまった!!

 

が、老人は、再び彼のところに戻ってきたのだ。

そして、「ずっときみのことを考えていた」といって、話を始める。

そして、大きな声で笑いながら、

「人生とは、くだらないことが1つまた1つと続いていくのではない。1つのくだらないことが〈何度〉も繰り返されていくのだよ。」

という話をした。

私は、「退屈」と「不安」の双子にとりつかれ、人生のスタグフレーションに嵌っているのだ、、、と。

 

説教をするわけではなく、楽し気に私に話をしてくれる老人、マックス。私は彼の話にどんどん引き込まれていく・・・。

 

と、続きは、また明日。