『仕事は楽しいかね?』 by デイル・ドーテン (昨日の続き)

昨日の続き。

 

仕事は楽しいかね?

デイル・ドーテン

野津智子 訳

きこ書房

2001年12月10日 初第1刷発行

2002年1月10日 初版2刷発行

原題:THE MAX STRATEGY (1996)

 

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昨日の続き。

 

マックスは、
「きみの考える、成功のための戦略を話してくれ」といって、私にその話を一枚の紙にまとめさせた。

一つ、目標設定。
「目的地を知らなければ到達することができないあなたの目標をしっかり見定めることそうすれば人生に望むものを人生から得ることができる自分の人生をきちんと管理すること」
二つ、生きる姿勢を変える。
固執することを排除すること。わかりきっていることを手間暇かけてやり直すことはない。他人の成功を模範として自分の成功を生み出す。」

といったことを書き終えた。
マックスは、
「よく見える場所にこれを貼っておきなさい。」というと、ペンを取り出し、なんと、私が戦略を掻き出した紙に大きくばつ印をつけた。

そして、
「試してみることに失敗はない」ともう一枚の紙に書いて、これを隣に貼っておきなさい、といったのだった。

そして、多くの成功者たちは、初めからその道で成功したいとおもって成功したのではなく、途中で仕事に対する目標を変えたことで成功したんだ、という話を始める。

つまり「目標に執着してはいけない」ということ?!?!

読んでいる私自身が、ちょっと、どういうこと???という気持ちになってしまった。

マックスは、
「目標を設定すると、自己管理ができているような気がするものだ。」
そして、
今日の目標は明日のマンネリ」だといって、自分が今でも目標にしているものが一つだけあるといった。
それは、

明日は今日と違う自分になる

だから、遊び感覚でいいから、色々やってみることが大事なのだと。
決めた目標に関することだけに執着していると、じつは、マンネリに陥ることがある。

表が出れば勝ちのコイン投げのように、やってみなければ何も始まらない。

問題は、才能のあるなしでもなければ、勤勉かどうかということでもない。コインは投げない限り、表も裏も出ない。試すことをやらない限り、昨日と違う自分にはなれない、というのだ。

 

10回のコイントスのチャンスがあっても、コインを投げなければ、なにも始まらない。
なげて裏が出たとしても、投げないことには次のコイントスのチャンスもやってこない。
試してみるから、次がある。

 

うん、わかる。
そう、試さないとね。

 

そして、マックスは、様々な偶然から生まれたヒット商品の話をしてくれた。
コカ・コーラは、ペンバートンという薬屋が、シロップ状の頭痛薬を水でわってこっそり飲んでる従業員をみつけて、ソーダ水で割ったらおいしいかも、、という発想から生まれた。店の商品を飲んでいるなんてけしからん!といって、しかり飛ばすだけなら、コカ・コーラはうまれなかった。

 

トールハウスのチョコチップ・クッキーは、刻んだチョコをとかして生地に混ぜるつもりだったけれど、急いでいたものだから刻んだだけで生地にまぜて焼いたら、焼いた後にもチョコレートは塊のままで、偶然にチョコチップ・クッキーになった。

 

リーバイス・ストラウスは、鉱夫に生活必需品を売ってひともうけしたが、売れ残りのテント用の汚い帆布しかなかったとき、ズボンが品薄になっているのをしって、仕立て屋をやとって帆布でオーバーオールを仕立てさせた。それが、大ヒット。

 

マックスは、必要は発明の母かもしれないけれど、偶然は発明の父なんだ、と。

そして、目標に対する、とても大事な事を言ってくれた。

目標に関する君の問題は、世の中は、君の目標が達成されるまで、じーとまっていたりしないということだよ。
と。

これは、なんと、当たり前だけど、忘れがち…。
テクノロジーも、競争相手も、どんどん変わっていく。
いつまでも、最初の目標にだけ執着していると、その目標の価値はかわってしまうかもしれない。

 

そして、
成功するというのはね、右に倣えをしないっていうことなんだ。」 

そして、
うまくいかなかった事業は、試してみた結果失敗に終わったのではなくて、試すこと自体が欠落していたんだ。
と。

 

そして、マックスは、ホーソーン効果の話をする。工場の生産性についての調査をしていた人が、予測していたことと違った結果がでたことから見出した効果のことで、他者からの注目や期待を原動力にして、良い結果を残すために力を発揮する現象のこと。その調査をした工場の名前がホーソーンだったので、ホーソーン効果と呼ばれている。被験者の意識の在り方によって、生産性は向上したり、低下したりするのだ。
ホーソーン効果は、労働環境の様々な条件を変えて効果的な条件を探ろうとしたものの、どのような条件にしても、条件をかえると生産性が向上することが見出された。つまり、どんな条件だろうと、変え続けると、向上することがある、ということ。

 

そして、変えるなら、今より良いものを、、、。

自分でやってみること。
くだらないと思えるくらい、細部にこだわってでも、やってみること。
誰もやっていなくても、人に笑われても、やってみること。

 

マックスの教えは、
「試すこと」
ちょっとしたアイディアでも、やってみること。
アイディアとアイディアを掛け合わせて、やってみること。

 

愚痴だらけだったサラリーマンの私は、26時間も空港に閉じ込められるという最悪の事態の中で、マックスとのすばらしい対話に恵まれたのだ。

飛行機は無事に再開されることになり、私はマックスの最後のアドバイスを胸に帰途につく。

「きみが”試すこと”に喜びをみいだしてくれるといいな」

 

エピローグとして、すっかり”試すこと”が好きになった5年後の私が語られている。やることリストを見つめているばかりだった私は、アイディアがどんどん生まれてくるようになった。いや、これまでのアイディアをどんどん試すようになった。そして、気がつくと周囲から、「やり手」とか「斬新なことをやる人だ」とうわさされるようになった。

 

そう、ちょっとしたアイディアでも、やってみることが大事。

変化のために戦う戦士になった自分を、誇りに思う私になったのだった。

 

なかなか面白い一冊だった。

簡単に読めるのだけれど、結構深い。

たしかに、「やってみる」とか、「変化をおそれない」とか、言っていることはよくある自己啓発本とかわらないようなきもするけれど、もう一歩進んでいる気がする。

古いアイディアでも、新しい場所で使ってみれば斬新になる、っていうのもちょっと目からうろこ。

そうか、温故知新じゃないけど、ゼロから生み出さなくても、創造的でいられることはあるっていう言かな。

 

読み終わって、かわいい表紙を振り返って、あれ?って思った。

もしかして、『THE MAX  STRATEGY』の「MAX」は、このマックス老人のことなのか?

そうかもしれない。

マックスの教え、ってことかな。

 

どうやら、本書は続き、「仕事は楽しいかね? 2」っていうのもあるらしい。また、読んでみよう。

 

やっぱり、読書は楽しい。