仕事は楽しいかね? 2
デイル・ドーテン
野津智子 訳
きこ書房
2002年7月27日 第一刷発行
原題:THE GIFTED BOSS (1999)
前回読んだ、『仕事は楽しいかね?』が、意外と面白かったので、続きを読んでみた。
感想。
うん、なるほど。
サラリーマンなら、読んでおくといい本かも。
脱サラしてしまった私には、直接は関係ないような、、、でも、仕事をしていく上ではやっぱり必要なことかも、、、と思いつつ、さらっと読み。
前作、『THE MAX STRATEGY』(1996)は、仕事に限らず、あらゆる場面で「試してみること」の大切さを説いた本で、老若男女、だれでも参考にできる本。
こちらの『THE GIFTED BOSS』は、ほぼ、仕事に関する上司と部下としての在り方を説いた本。
今、組織で中間管理職的な立場で仕事をしている人には、なかなか面白い本だと思う。優れた上司とは?
優れた部下とは?
良いメンバーを集めるって?
よい組織って?
アメリカと日本とでの労働環境やマネジメント文化の違いはあるかもしれないけれど、うんうん、そうだね、ってうなずけるところも多い。
目次
第1章 ”ほんもの”の上司に出会ったことはあるかね?
第2章 優れた上司は、常にお役所的な体制と戦っている。
第3章 優秀な管理職の基本的な仕事は、管理することじゃない。
第4章 仕事選びの大切な基準は、”今より幸せになれること”なんだ。
第5章 有能な部下は、探すことより、探されることの方がずっと多いんだ
第6章 労働移動率が20%の企業の方が、10%の企業よりずっと健全だということもある
第7章 仕事は楽しくなくちゃだめだ。職場から笑い声が聞こえてこなければ、君のやり方は間違っているということだろうね。
今回は、主人公の私が、空港で足止めされマックスと出会い、「試すこと」の大切さを実行するようになってから、仕事がバンバンうまくいって、昇進もして、それで忙しくなりすぎて、、、再び、迷いが生じている場面から始まる。
私は、マックスに電話した。
「会社を辞めて、コンサルタントになった方がいいかもしれないと思うんです。そして、家族と過ごす時間をもっと持つべきではないだろうか」と。
マックスは言った。
「仕事辞めた後の君の姿が目に浮かぶよ。1年もしたら、奥さんも子どもたちも、君に見つからないようにこそこそ逃げまわるのさ。しーッ、隠れて。またパパがこっちへくる。あたしたちといっしょの時間を過ごそうとして」
思わず、私も笑ってしまう。
そして、マックスは言う。
「君の求める答えは、”仕事をしない”ということではないと思う。必要なのは人と人との”結びつき”を仕事に取り入れることなんだ。」
ここまで読んで、あ~~なるほど。と思わず、うなずく。
思わず、うんうん、と思う。
仕事がつまらなくなっているときって、その仕事の内容というより、誰かとのつながりを感じられなくなっているときだ。まして、ウマの合わない上司や部下がいればなおさら、、、。
私は、マックスに誘われて、アリゾナに飛び、再びマックスにあうのだった。今回も、マックスは、様々な具体例で成功している会社の話をしてくれる。 また、その現場も見せてくれる。
前作で、目標設定のマンネリ化問題を指摘していたマックス。今回は、その代わり?ではないが、「規則」ではなく「規準」の重要性を話してくれる。
「規則」とは、型にはまった手順。
「規準」とは、尺度であり、”まっすぐな支え”という意味もある。
組織で、共通の「基準」があれば、上司は部下を管理する必要がなく、部下はその「規準」の達成に向けて、自分のアイディアをつかい、自律的に行動することができる、という話。
たしかに、「目標」ではなく「規準」というのは、わからなくはない。
一時流行った、KPI:Key Performance Indicator管理みたいなものだろうか。
優れた上司がやるべきなのは、答えをおしえるのではなく、質問をなげかけることで、答えを見つけさせること。
そして、そうすることによって、部下から助力をえるのだ、と。
言うは易し、行うは難し。。。だなぁ、と思うけど、ごもっとも。
おそらく、上司がなにかと口出ししたくなったり、答えを言いたくなるのは、自分の方が正しいと思っているからだ。そこには、部下に対する信頼が、、、ちょっと薄い。
部下の能力を信じる。今はまだその能力が未完だとしても、答えを探す間に能力が磨かれていく。
そして、上司と部下との関係だけでなく、仕事をするということは、誰かにとって「私が力になる」ということ。
これは、会社の中だけでなく、世の中全てで共通だろう。そこで、報酬が発生すれば仕事だけれど、「力になりたい」のは、社会的動物である人間の本能ともいえる。
上司の仕事は、「力になりたい」を実現する場を作ること、ともいえるかもしれない。。
そして、マックスは、
「有能であることを自覚していないより、無能であることを自覚している方がいい」
という。
自分が有能な上司であると思っている上司ほど、部下に任せないで命令ばかりになる、っていう危険を言っているのだろう。
今回も、なかなか、面白い本だった。
これも、サラッと読めるので、特に組織の中堅で働いている人には、お薦めかもしれない。
仕事は、その内容より、誰と一緒にやるかのほうが重要なことがある。
仕事は、楽しんでやるほうがいい。
職場環境をつくるのは、会社の福利厚生ではない。上司だ。
”第6章 労働移動率が20%の企業の方が、10%の企業よりずっと健全だということもある”では、離職についての話で、職務要求事項が達成できなければ解雇であるということを明確に伝えたうえでの解雇は、わるいことではない、というようなことを言っている。
これは、本当に、深く、難しい問題だけれど、私もそう思っている。
雇用継続することだけが、「人を大切にする」ではない。
そういうと、それは、強者の理論だという人がいるけれど、環境変化の中で輝ける場所がなくなった人を、「囲って」おくことが、「人を大切にする」だとは思えない。
もちろん、その人が輝ける場所が同じ会社の中にあるのであれば、異動という手立てはある。私は、「塩漬け」は、人にやさしくないと思うのだ。大きな会社だと、なんとなく行き場のなくなった人たちが多く集まる部署っていうのが、あったりしないだろうか?そして、モチベーションの低い人が集まると、周りもどんどんモチベーションが落ちていく、、、。
社会は、変化する。
自分が変化する事を拒んでいれば、自分で自分の居場所をなくしているようなものだ。
だれだって、試してみることはできる。
結局のところ、誰かの人生を誰かが代わることはできない。
仕事は、人とのつながりの中で楽しくやるのが一番。
信頼できる上司、信頼できる部下、信頼できる同僚。そういう仲間と一緒なら、楽しい。
そうなるためには、第一に、自分が人から信頼してもらえる人になることだ。
言うは易し、、、だね。
でも、心に留めておくだけで、ちょっと今日からが変わるかもしれない。
仕事は、楽しもう!