『六十代と七十代 心と体の整え方』 by  和田秀樹

六十代と七十代 心と体の整え方
良く生きるために読む高年世代の生活学
和田秀樹
Basiloco
2020年6月25日 初版第一刷発行

 

図書館の棚で目についた。

 

著者の和田さんは、1960年大阪生まれ。精神科医。最近では、『80歳の壁』(幻冬舎新書)という書籍も出されていて、本屋で著書を目にすることが多い。でも、『○○壁』なら養老先生だろう、なんというパクリ野郎なんだ、、、とおもって、手にしていなかった。図書館の本なので、ま、いっか、ということで読んでみた。

和田さん自身は、医者であり、精神分析学、集団精神療法学を専門とされるとの事なので、一応、医者の立場からの著書。

 

感想
ま、そういうもんだよね・・・。という感じ。普通にまともなことが書いてあった・・・。トンデモ本ではなかった。なかなか、面白かった。
人がなかなか言わなそうなことをズバズバと言うことで、なんとなく言っていることに正当性を感じてしまうような勢いがある。でも、上から目線というかんじでもないから、読んでいて嫌な感じはしない。1960年生まれということだから、まだ62歳。それで、60代、70代向けに書いているんだから、そりゃそうか。

さーっと読める。1時間半くらいでざっくり読み。


目次
序章 人生百年というけれど
第一章 高年世代よ、反逆の旗を振れ
第二章 老化と病気
第三章 心の整え方
第四章 体の整え方
第五章 暮らしの中の智恵


著者曰く、本書は「高年世代への勇気と癒し」の本だそうだ。高齢になっても、心配するな、人生たのしめる!って感じの本。そのためには、心と体の健康を保ちましょう。という、ごくごく普通の理論。

人生百年時代というけれど、そもそも医療の発達で、病気になってもなかなか死ななくなったという事であって、必ずしも死ぬまでみんな健康で生き生きと暮らしているわけではない、という現実が最初に述べられている。
いわゆる、寿命と健康寿命のギャップ。そして、定年したら余生というのでは、余生が長すぎる、という話。ほんと、その通りだ。

佐藤愛子さんの『九十歳、何がめでたい』の話しが取り上げられている。私は読んだことはないけれど、
”この本では、世の中の理不尽な出来事に毒づき、自分がついていけないテクノロジーの「進歩」に腹を立て、加齢により次々と起こる体の不調を嘆き、といった内容がウィットに富みユーモアに溢れた文章で綴られています”
なのだそうだ。

そして、「人間は、『のんびりしよう』なんて考えては駄目だ、ということが90を過ぎてよくわかりました」と佐藤さんは綴っているのだそうだ。

著者が「反撃の旗を振れ」といっているのは、高齢になったからといって、肩身の狭い思いをする必要はない、どうどうと意見を主張すればいい、ということ。
昨今きかれる老害」という言葉は、為政者に向けるべき社会の不満が高齢者にむかっていて、間違っている、という。

 

うんうん、確かにそうだ。
確かに、団塊の世代より上の世代は、日本の高度成長期に一生懸命働き、日本を経済大国にしてくれたのだ。それを失われた何十年にしたのは、為政者の舵取りミスだろう。 たくさん働いて、たくさん税金をはらってきた世代が、年金をきちんともらえないのはおかしな話だ、と。

うん。確かにそうかも。

少子化に拍車をかけるような政治をしてきた為政者の責任といえばそうだ。ただ、その為政者を選挙で選んできたのは、国民一人一人、、、なんだけどね。
たしかに、高齢者に不満の矛先をむけるのは、間違っている。

 

定年という制度だって、高齢者への差別制度じゃないか、と言っている。

うん、確かにいわれればそうかもね・・・。

 

第二章では、医学的な知見から、老化について語られている。老化は、細胞にプログラミングされているものであり、だれも避けることは出来ないと言われている。完全に解明されているわけではないけれど、だれもが老化するという事実は、正しい。
60兆個の細胞が、活性酸素によるダメージを受けることで老化していく。

では、何に気を付ければ、健康寿命を延ばすことができるのか。認知症予防にも体の免疫の維持にも、「血圧」と「感情コントロールが、重要だという。
「高血圧」は、循環器系の病気、脳梗塞心筋梗塞の原因となるので、適度な血圧がいいというのは一般にもよく知られている。そのために、塩分の取りすぎに気を付けるとか。
感情のコントロールは、感情をつかさどる前頭葉をよく使うことで維持できるという。新しいものに触れる、芸術に触れる、自然に触れる、、、こころが動かされるような経験を重ねること。

 

第三章では、心がテーマ。感情コントロールともかかわるので、やはり前頭葉活性化がカギになる。
生きていれば必ずストレスがある。ストレスの元を無くすのも大事だけれど、ストレスがゼロということはないだろう。ただ、あるがまま、を受け入れることでストレスを低減することはできるという。森田療法が紹介されていた。
森田療法とは、1919年精神科医森田正馬(まさたけ)博士によって創始された療法。「あるがままでよい、あるがままより他に仕方がない、あるがままでなければならない」とうい考え方で、放置するという言はなく、症状を受容させるということだそうだ。

また、著者は、孤独については、それほどわるくない、という。孤独には、内省を促すという側面もある。また、 孤独には、「実存的孤独」というものがあり、人はだれでも一人で生まれて、一人で死んでいく、ということ。人間は孤独から逃れることはできないのだ、と。

 

高齢者の感情コントロールでは、「怒り」が社会的に問題になることが多い。キレる老人とか、小言ばかりの老人、とか。
そこで、EQの話が出てくる。
EQ:Emotional Intelligence Quotient (心の知能指数
ちょっと、懐かしい。90年代に流行った。

EQは、前頭葉の機能と深くかかわっていて、40歳をすぎるころから低下しやすいのだそうだ。IQ(知能指数)は、実は歳をとっても変化しないのだが、EQは低下しやすい、と。

EQの測定には、
①自分の感情を認識できる
②自分の感情を制御できる
③物事をポジティブに捉え自分を動機づけることができる
④他者の感情を認識できる
⑤他者との共感関係を構築できる。
とあるそうだ。

これは、高齢者でなくても、若者でもこの切り口で内省してみると、参考になると思う。

 

第四章では、体の整え方。やはり、食べる、寝る、運動する、の三点セット。これは、もう今では常識だろう。質の高い睡眠には、日中太陽をあびてセロトニンを作りやすくすること。そして、セロトニンの原料となるトリプトファンアミノ酸の一種)を多く含む肉をしっかり食べること。
著者は、「肉食」を薦めている。


そして、どうやら著者はお酒好きらしく、「アルコールはだめ」とは言っていない。適度に・・・と。
いいね。賛成!

 

そして、言い訳?!ではないけれど、酒についての名言が列挙されている。

「真理は酒の中にある」 プラトン
「宴会と同じように、人生からも飲みすぎもせず、喉が渇きもしないうちに立ち去ることが一番よい」 アリストテレス
「酒は人を魅了する悪魔である。うまい毒薬である。ここちよい罪悪である」 アウグスティヌス
「私は飲みながら考え、考えながら飲む」 デカルト
「多すぎる酒、少なすぎる酒は同じだ。人に酒を少しも与えなければ彼は真理をしることができない。与えすぎても同じことだ」 パスカル
「ワインは一つの道徳的、心の素直さを運ぶ物質である」 カント

個人的には、カントの言葉が一番好き!

 

最後の暮らしの中の智恵は、著者の考える楽しい人生論、かな。細かいスケジュールは立てなくていいとか、考えるギャンブル(株式投資など)は前頭葉も鍛えることができるとか・・・。

まぁ、全体にかる~いかんじで、サーっと読める。
別に、60代、70代でなくても、参考になると思う。

図書館は、こういう本が気軽に読めるからいい。
ま、面白い本だった。 

 

新年に向けて、健康目標をたてるまえに、さー-っと読んでみると参考になるかも。

 

読書は楽しい。