映画『月の満ち欠け』:  原作 佐藤正午

映画『月の満ち欠け』
原作:佐藤正午
監督:廣木隆一
脚本:橋本裕志

 

岩波書店が発行している『図書』を年間購読しているのだが、その中の「こぼれはなし」に本作品のことが記事になっていた。


佐藤正午さんの直木賞受賞作が原作の『月の満ち欠け』が、ついに、12月2日から松竹配給で全国公開されます。もう一度、どうしてもあなたに逢いたい。生まれ変わっても逢いたい。強い想いが時代を超えて起こす奇跡、ある数奇で壮大なラブストーリーです。”と。

 

直木賞作品か・・・。ラブストーリーに興味があるわけでもないのだけど、ふとネットで検索してみたら、有村架純柴咲コウが出演。ちょっと気になって観てみたくなったので、観てきた。年末の結構ガラガラの映画館だった。

 

原作者の佐藤正午さんは、1955年8月25日生まれ、長崎県出身。北海道大学文学部中退後、長崎県佐世保市に戻り、1983年に長編小説『永遠の1/2』で第7回すばる文学賞を受賞し、作家に。2015年に『鳩の撃退法』で第6回山田風太郎賞を受賞。2017年、本作『月の満ち欠け』で第157回直木賞受賞。その他の著書に、『リボルバー』(85)や、山本周五郎賞候補作となった『個人教授』(88)、『彼女について知ることのすべて』(95)、『Y』(98)、『ジャンプ』(00)、『花のようなひと』(05)、『身の上話』(09)、『小説家の四季』(16)など。


感想。
長い・・・。けど、まぁまぁ、面白かった。。。かな。
有村架純ちゃん、やっぱり、可愛い。
そして、娘役ででていた菊池日菜子ちゃんが、よかった。声がいい。かつ、滑舌がいいというのか、発声がいいというのか、セリフがとても綺麗。初めて見た娘だったけど、よかったなぁ。
柴咲コウは、やっぱり、目力がいい!
ストーリーを展開させていく中心にいるのは、大泉洋なんだけど、女優さんたちがよかったなぁ。

生まれ変わってでも逢いたい、、という想いがかなう、ラブファンタジー。時代背景が、1980年代~2000年代と、私が生きてきた時代と重なるので、懐かしい感じがした。


以下、ネタバレあり。

 

大泉洋柴咲コウが夫婦。その娘「小山内瑠璃」を演じるのが菊池日菜子。物語には「瑠璃」が3人でてくる。それが、それぞれ生まれ変わり?!っていう不思議なお話。

大泉洋演じる「小山内堅(つよし)」が、既に妻と娘を亡くし、一人で八戸の実家へ戻っている生活場面から始まり、記憶を回想していく、という展開。物語のほとんどが、回想、という感じ。


八戸出身の二人(大泉洋柴咲コウ)が東京の大学で出会い、結婚し、瑠璃がうまれ、幸せな家族だったのに、ある日突然、事故で妻と娘は亡くなってしまう。
失意で仕事をやめ、東京を離れて実家の八戸にもどった堅。母親の介護をしながら、ひとり身となっていた堅の元に、ある日突然、見知らぬの青年が訪ねてきて、「あの事故の日、娘の瑠璃さんから電話をもらっていた」といい、「お嬢さんは私の恋人の生まれ変わりかもしれない」というようなことをいいだしたのだった。娘が誰かの生まれ変わりだなんて、冗談じゃない、とおこって追い返す堅だった。

 

恋の中心人物は、有村架純が演じる「正木瑠璃」。高田馬場駅にあるレコードショップでバイトをする目黒連演じる「三角哲彦(みすみあきひこ)」と恋に落ちる。その「三角哲彦」が、堅のもとを訪れた青年だった。「三角哲彦」のいう自分の恋人というのが「正木瑠璃」。でも、いつもちょっと悲しげな表情の「正木瑠璃」は、実は人妻だった。そして、あるとき夫の暴力に耐えかねて家を飛び出したあと、踏切事故で亡くなってしまう。「三角哲彦」は、永遠に「正木瑠璃」には逢えなくなってしまったのだ。

そして、堅の娘「小山内瑠璃」は、「正木瑠璃」の生まれ変わり?という設定。「小山内瑠璃」は、高校の美術部では、あったことのない「三角哲彦」の絵を書き、同級生の「ゆい」に記憶を頼りに書いている、、、と打ち明ける。

「小山内瑠璃」は、18歳のある日「正木瑠璃」の元夫に追い詰められて、交通事故で母と一緒に亡くなってしまう。そして、二人を亡くして8年後のお墓参り(八戸)で、堅は東京からお墓参りに来ていた「ゆい」に偶然出会い、瑠璃が書いた三角哲彦の絵を探してほしい、と言われる。

その絵をみつけた堅は、東京の「ゆい」のところへ絵をもっていく。そして、昔家族でよく一緒に行ったホテルで「ゆい」とあう。すると、そこにいたのは「ゆい」の娘で、「瑠璃」だった。ゆいの娘の瑠璃は、まるで、堅の娘「小山内瑠璃」であるかのようにふるまう・・・。
そして、、、、。

 

誰かが誰かの生まれ変わりだなんて信じたくない想いと、目の前で起きている奇跡と・・・。

と、ネタバレはこれくらいにしておこう。

 

私には、ファンタジーの世界だ、としか思えないけど、前世の記憶がある子どもっていうのは、確かにいるのかもしれない。
まぁ、そういう不思議ちゃんなお話だった。 

 

映画で見ると、それぞれの人の顔が役者さんそのものになっちゃうから、小説で読んだ方が、想像力ははたらくかもなぁ、、、なんて思った。

 

でも、有村架純と「小山内瑠璃」を演じるの菊池日菜子の声のトーンが少し似ていて、ちょっと不思議力が高まる感じ。

 

事故で妻と娘が亡くなってしまうので、とても悲しいお話でもある。生まれ変わったとしても、やっぱりそれは違う人で、、、、やっぱり悲しいお話のような気がする。

 

しんみりする映画だった。

あんまり、デート向きじゃないかな・・・。

デートなら、馬鹿笑いできる方がいいかも、なんてね。