『脳は若返る』 by  茂木健一郎

脳は若返る
茂木健一郎
リベラル新書
2022年11月24日 初版発行

 

茂木さんがご自身のYouTubeで、「新刊でましたぁぁ」と、宣伝していた。図書館で借りようかと思ったら、すでに予約がすごい数。新書だし場所も取らないから、本屋さんで買ってみた。

表紙には、茂木さんのお写真がにこやかに、 ”最新の脳科学でわかった!”と

何歳になっても活躍できる人はここが違う!
物忘れは年齢のせいじゃない!
脳トレなんて意味はない!
常にお金の出入りがある生活を!
社会が人と少しでもつながりをもて!” とある。

そして、裏には、
”いつまでも健康で若々しい脳を手に入れよう!
・友達からの誘いはなるべく断らない
・できるだけ複数のコミュニティを持っておく
・あえて自分に肩書きを作ってみる
・アクティブシニアは何歳になっても稼ぐ
・旅は脳を活性化するための投資である
・「脳のゴールデンタイム」を有効活用する
・3分間のマインドフルネスで感情はコントロールできる
・過去の栄光にすがらないピボットな生き方”

と。


著者の茂木さんは、1962年、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻過程終了。理学博士。脳科学者。理化学研究所ケンブリッジ大学を経て現職は、ソニーコンピューターサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学大学院客員教授。専門は、脳科学認知科学。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究する傍ら、文芸評論、美術評論にも取りくむ、と。
紹介すればキリがないけれど、一般には、ぼさぼさ頭の脳科学者!って感じだろうか。ちなみに、ケンブリッジ時代から、茂木さんは自分の髪の毛は、はさみで自分で切っている・・・。

 

感想。
いいよね、そうだよね!って、面白かった。
「脳は若返る」って、タイトルがいいじゃない。中高年が、ワクワクするタイトルだわ。
そして、私も、ワクワクして読んだ。
新書なので、あっという間に読める。それなりに、写真やイラストも入っているので、わかりやすいし、簡単に読める本に入るともう。

 

目次
はじめに いつまでも健康で若々しい脳を手に入れよう! 
第1章 何歳になっても活躍できる時代
第2章 アクティブシニアは社会とつながり、仲間が多い
第3章 脳がイキイキするお金の使い稼ぎ方、使い方
第4章 「脳」の寿命を伸ばす簡単な生活習慣
第5章 若々しい脳を保つための心の持ち方
おわりに 嫌われる勇気をもって本音で生きれば長生きできる!

 

「はじめに」で、マサチューセッツ総合病院神経科医ブラッドフォード・デクイッカーソンが研究する「スーパーエイジャー」の秘訣が紹介される。「スーパーエイジャー」とは70歳以上のシニアの中でも、同世代と比較すると圧倒的に高い認知能力を持つ人の事だそうだ。
「スーパーエイジャー」は、「常に新しいことへのチャレンジをする」ことで、ときに20代、30代の若者に匹敵する脳の働きをもつのだそうだ。

 

私の70代の友人たちも、仕事を続けていて常に新しいことにチャレンジしているので、頭の回転数はとても高い。きっと、彼等もスーパーエイジャーの仲間だな、と思う。私も本を読むのは遅い方ではないけれど、一人の男性は、本の校正のために、400ページの本でもあっという間に読んでしまう。校正のための読み方は、普通の読み方とは違うのだとおっしゃるが、、、時々お手伝いするけれど、わたしの速度・精度は、彼の10%くらいかもしれない・・・・。

 

で、最新の研究では、脳トレは意味がない!のだそうだ。脳トレゲームが記憶や言語能力をどれくらい向上させるかというカナダ・ウエスタン大学の研究によれば、ほとんど効果がないそうだ。イギリスの研究では、クロスワード数独といったパズルゲームも効果がないのだと・・。与えられた課題のトレーニングにはなるけれど、脳全体のトレーニングにはならないのだそうだ。
で、茂木さんは、断言する。

脳トレをする必要は、まったくありません!」
と。

そして、経験上、もっとも効果が高い三つが
1.社会や人とつながる
2.常にお金の出入りがある
3.ストレスのない生活習慣

だそうだ。

脳の若さを保つ秘訣は、「脳内報酬」とも呼ばれるドーパミンを出すこと。それには、新しくてドキドキすることや、感動したりすること。好奇心が満たされること。また新しいことができるようになったときにも、ドーパミンはドバドバでるのだ、と。上記 3つは、ドーパミンを出すのに大事、ってこと。

そして、もう一つ大事なのは、「生きる上での意欲」。貪欲さを持ち続けることが大事だと。

 

加齢に伴って変化しやすいのは、前頭葉ということが脳科学の研究でわかっている。前頭葉は理性や感情の他に社会性を司る部分でもある。新しいことに 感動することが減ると、社会性も減ってしまう、って事がありえるかもしれない。前頭葉、活性化させるにも、感動!って大事。

 

茂木さん曰く、「自分の実力を全力で出して、やっと越えられるようなハードルがあると、そのハードルを超えた時に一番良質のドーパミンが分泌される」のだそうだ。だから、新しいことのチャレンジし続けることで、脳の強化学習サイクルが回り、ドーパミンがでて脳の若さが保たれる。

「自分にミッションを課す」のが大事なのだ、と。

 

養老先生の若さのもとは、「虫への好奇心」という話もでてきた。虫好きは、若々しい人が多い、、、って気のせいではないのかもしれない。

また、人や社会とつながるということでは、「友達からの誘いはなるべく断わらない」ことが、薦められている。フットワーク軽く、友人と出歩くのは、確かにアクティブで自分一人では選ばない経験ができる。
もちろん、一緒にいて楽しい友人とね。

 

また、稼ぐということも大事だと。たしかに、仕事をやめたとたんにボケちゃう、、、ってよく聞く話。いくつになってもお金を稼ぐ、という心意気が大事なのだと。おそらく、稼ぎの量ではなくて、お金という報酬が貰えることを社会に提供している、っていうことがドーパミンを出すにも大事なのだと思う。
お金に困っていなくても、小金が入るとワクワクするものだ。やっぱり、稼ぎ続けるネタがあるって大事。そのために私は、早期退職して死ぬまでできる仕事を模索中。年齢制限なしの仕事の中でも、私は「通訳」を選んで勉強中。言語の勉強はボケ防止にもなりそうだし、きっと、2023年こそ、「通訳」での稼ぎをもう少し稼ぎの中心にしたいものだ。

茂木さんは、高齢者でもYouTubeやnoteで収益化をしている人もいる、と紹介している。大金を稼ぐことが目的ではなく、社会とつながり、かつ承認欲求が満たされる、という利点があるという。なるほど。あと、「メルカリ」もシニアでも使いこなせば楽しみになる、と。

ちょうど、実家の母が「大きな鍋」を捨てたい、といっていたので、「メルカリで売れば?」と言ってみたけれど、ATMで現金をおろすことすらできない母には、無理だろう、、、なぁ、、、。

稼ぐ一方で、もっと大事なのは「お金の使い方」。旅こそシニアの最大の自己投資だ、と。しかし、これも、究極の方向音痴の母には、無理だろうな、、、。


旅が自己投資になるのは、シニアに限らない。ほんと、旅は例え再訪の町であっても、新しい経験が待っている。コロナでなかなか旅にお金を使えなかった3年だったけど、2023年は旅するぞぉ!!!と、心に誓った。

 

一番覚え書きしておきたいのは、第4章の「脳の寿命伸ばす簡単な生活習慣」だろう。

ストレスを溜め込まないための3つのポイントは、以下の通り。

 

ポイント1 太陽の光を浴びる
 朝の時間帯に10分でもいいので思いっきり太陽の光を浴びる。太陽の光を浴びると脳内物質のセロトニンが分泌される。セロトニンは安心感や頭の回転を良くしてくれるなど脳を活発に働かせてくれる脳内物質でもあり、ストレス解消にもなる。

 

ポイント2 周囲の人に話を聞いてもらう
 不安や不満イライラなどネガティブな感情を口に出すことで、「カタルシス効果」と言われる脳に安心感を得られる作用を期待できる。
聞かされる方が、うれしくないけど、、、ねぇ。だからこそ、本当のストレスは、専門家医に聞いてもらうのがよいのだ。

 

ポイント3 自分の好きなことをやる
ストレスが溜まってきたと感じたら自分の好きなことをやる時間を多く持つ。私たちの脳は上機嫌になるとクリエイティブになり、色々なひらめきに出会える可能性が増えるのだ。

ラン好きの茂木さんは、「旅ラン」をお薦めしている。旅先で、走ったら、確かに気持ちいだろう、、、と思う。走ることで、「デフォルト・モード・ネットワーク」(特定の課題に取り組むのではなく、いわゆるぼんやりしているときに動き始め記憶を整理したり感情を整えたりする機能)が活性化するのだそうだ。

加えて、「睡眠時間の確保」。シニアになると、うまく寝付けないという人が多い。だからこそ上手に眠ることは、すなわち上手に生きることに値するということ。「睡眠」大事!
茂木さんお薦めの上手に眠るための方法としては、脳がリラックスできる睡眠の準備をすること。就寝2時間前に入浴で身体を温め、体温が低くなる時を狙って眠りにつくのがベスト。 

本書では出てこなかったが、朝、太陽の光を浴びてセロトニンを出すことも、安眠につながる。睡眠ホルモンのメラトニンのもとになるから。

 

朝、太陽の光を浴びるって、本当に大事なのだ。コロナ前は通勤が当たり前だったけど、在宅勤務で朝の通勤がなくなって、鬱っぽくなってしまった人が増えたのは、朝の太陽をあびなくなってしまったからかもしれない。用が無くても、朝、出かけよう!10分でもよいそうだ。しかも、曇りであっても、太陽の光としては十分だそうだ。

 

「脳のゴールデンタイム」は、朝目覚めてからの3時間。この時間、運動や学びに有効活用するとよいそうだ。

 

最後に、過去の栄光にすがらずに生きる!ということが書かれている。新しいことにチャレンジし続ける人は、過去の栄光にすがらない。まさに、「残りの人生で、今日が一番若い」のだから、今日こそ、挑戦しよう!と。

茂木さんは、旅行や会食の計画は、なるべく前から決めておくことを薦めている。計画があるあいだ、ずっとワクワクがあるから。なるほど!

2023年は、ちょっと計画的に旅行しようかな。

しっかり寝て、遊んで、学んで、ワクワクしていつまでも人生を楽しもう。
何事も、楽しんだもん勝ちだ!