『マーケティングインタビュー 100の法則』by 日本能率協会マネジメントセンター

マーケティングインタビュー 100の法則
定性調査のテクニックをつかみ消費者理解の解像度を上げる
アウラマーケティングラボ代表 石井栄造
ライター 佐藤智
日本能率協会マネジメントセンター
2022年9月30日 初版第1刷発行 

 

 全く別の本を探していたのだが、 図書館で 「解像度」で検索していたら出てきた本。出版元の日本能率協会マネジメントセンターはサラリーマン時代、コンサルタントとしてよくお世話になった組織。書籍で言えば、業務に関する教科書的な本を出版してる。私は、マーケティングは全くのド素人だけれども、昨年、会社をスタートしたこともあって、マーケティングが何なのかに興味があったので、借りてみた。

 

本の表紙には、
”データ分析だけではわからない消費者の本音に迫り、商品開発・改善へとつなげる方法が一冊でわかる” とある。

小型の単行本。横書き。さ~~っと読める。読むというか、見るという感じだろうか。100の項目が、1項目数ページでまとめられていて、太字になっているサマリーだけに目を通しても、なんとなくざっくりわかる本という感じ。

マーケティング素人の私には、言葉の定義だけでも、勉強になった。中には、へ~っ、そんな言葉あるんだというものも。入門編の入門ってかんじ。

 

目次
第1章 マーケティングインタビューの特徴
第2章 インタビュー調査の種類
第3章 インタビュー調査の手順
第4章 インタビュー実施時のポイント
第5章 目的別のインタビュー調査
第6章 定性調査の新たな展開

 

001:マーケティングリサーチは市場を知るために必須である。
002:定量調査は数値で定性調査は言葉で結果を語る。
003:定性調査を行うと数値の先の深い分析ができる
などなど、、、、、そんなのあたりまえじゃろが、、、と突っ込みたくなるような基本的なことから始まって、まさにビギナー用の教科書なのかもしれない。

私自身が、マーケティングリサーチをしたり、インタビューをする予定は今のところないけれど、マーケティングされる側、インタビューされる側として読んでみても面白かった。

 

私にとっては新鮮に響いたものを、ちょっとだけ覚え書き。

 

マーケティングリサーチにはアスキングとリスニングがある。アスキングは、仮説構築したうえで、構成された質問文で質問し、対象者に回答を求める。リスニングは、ゆるやかな仮説の上で、質問はせず、テーマを提示するのみ。

 

・定性調査の種類:①ヒアリング、②インタビュー調査、③行動観察、④生理計測機器を使った調査(アイトラッキング、脳波など)

 

・FGI:フォーカスグループインタビュー:5人前後の小集団で行われるインタビュー。ネットリサーチよりコスト高だが、司会進行役であるモデレーターが状況に応じて質問をできるので、より深い消費者理解が得られる。

 

マーケティングエスノグラフィー文化人類学の方法論(エスノグラフィー)をマーケティングに取り入れること。 文化人類学のフィールドワークの中には、研究対象の集団の中に住み込んで行動観察とインタビューを組み合わせてその集団の「文化の構造」を解明しようとする方法がある。消費者理解を「消費者の異文化を理解する」と読み替えたマーケティングリサーチの方法。

 

リエゾンインタビュー:対象者二人の自由な会話から、普段は隠されている言葉をリエゾンしてもらい、思いがけない発見を目指す方法。 実施に当たっては、対象者2人の間の、上下関係(主体・客体)をなくすことが重要。

 

・コグニティブインタビュー: コグニティブインタビュー(認知面接法)は事件や事故の際に正確な証言を引き出すためにアメリカの警察で開発されたものをマーケティングリサーチに適用したインタビュー法。回答者は記憶を頼りに応えるので、誤った回答をすることがある。文脈再現(復元)、悉皆報告、出来事の逆順再生、視点の転換などのテクニックを利用する。 

 

・仮説作りは、厳密すぎると逆効果。

 

・インタビュー調査のアイスブレイクは「ラポール(信頼関係)形成」が目的。ラポール形成とは自由に話せる状態に導くこと。

 

・良い発言録とは脚色せず、意味が通るように整理したもの。

 

エクストリームユーザー:メーカー担当者以上の感覚と知識をもっている消費者

 

プローピング:「発言者の意図を確認する」「発言の不足を補う」「発言の理由・背景を聞く」こと。 モデレーターの仮説や先入観を押し付けないようにする。 

 

などなど・・・。

 

全体に、カタカナ文字が多いところが、JMAMっぽいというのか、、、、。カタカナをすべて日本語にしたら、もう少し格調高いかんじになるのかも、、、。

 

全体に、初めて社会人になったビジネスビギナー用、って感じかな。

報告書には起承転結をはっきりさせましょう、とか、調査の目的を明確にしましょう、、、とか、、、。

 

こういう、ハウツー本、参考になることもあるけど、まぁあくまでもテキストだなぁ、という感じ。読んでいてワクワクする感じではない・・・・。

 

ちょっと、頭の体操になった。

1時間程度のさらっと読み。

マーケティングのプロが読んだら突っ込みどころ満載のような気もしなくもないが・・。。

 

図書館で検索したキーワード「解像度」をあげる、っていう意味では、結構方向性はあっているかも。

大枠をとらえたうえで、詳細を確認する。それで、100の法則ってことなのかな。

 

パラパラ読みに適した本。

2022年の本だけれど、ちょっと古くさい感じもした。

基本の法則は、いつの時代もかわらないってことか。

 

マーケティングに興味があれば、入門編としてお薦め。すでに社会人数年やっている人が読むと、なんじゃこりゃ、、、物足りない・・・ってなるかも。