まざっちゃおう
いろいろな いろの おはなし
アリー・チャン 作
小栗左多里 訳
フレーベル館
2020年 2月 初版 第1刷発行
『世界をひらく60冊の絵本』(中川素子、平凡社新書)の 「第2章 生き方の多様性」からの紹介本。図書館で借りて読んでみた。
文と絵は、アリー・チャン。アメリカ・サンフランシスコ在住の作家。イラスストレーター。Pixer、ゲーム会社を経て、絵本作家となる。
表紙には、m&mのチョコレートのようなまあるい、あか、きいろ、あお。
表紙を開くと、三色のまるがいっぱい。
そして、
”あか、きいろ、あお
みっつの いろは みんな いっしょに
なかよく くらしていた。
あかが「じぶんたちが さいこう!」っていいいすまでは・・・・。
いろたちが おしえてくれる
みんなが さいこうで いられるためのメッセージ”
とある。
”初めは、3つの色たちがいた
黄色、赤、それに青
赤は1番賑やか
黄色は1番明るい
青は1番すましてる
それでもみんな一緒に仲良く暮らしていたんだ。あんなことが起きるまでは”
赤が、じぶんたちが最高っていった。
きいろは、いいかえした。
青はなにもいわなかった。
そして、それぞれのいろは、べつべつの街に、それぞれ、赤のまち、黄色のまち、青のまちにすむようになる。
でもあるとき、黄色のひとりと青のひとりがであう。
お互いに、惹かれ合う。
そして、、、混ざりあう。
まざりあって、まざりあって、、、、
いろんな色ができる。
そして、また、みんなで一緒に住む街をつくり、さいこうのまちになりました。
とってもシンプルなお話。
映画、『マイ・エレメント』を思い起こす。
違う者同士が、惹かれ合う。その前段に、似た者同士の集団形成と、違う者同士の小競り合い。。。いつの時代も繰り返す・・・。どこでも起こるちょっとしたコンフリクト。
絵本の最後には、
”誰かと似ていたり、同じだったりすると「安心する」「うれしい」。じゃあその反対は「安心できない」でしょうか?
私は自分と違うものって「新鮮」「発見」「面白い」とよく感じます。だからもっと知りたい。仲良くしたい。
世界は自分と違うものの方が多いでしょう。違うものが混ざり合うからこそ新しいものもうまれやすい。そう考えれば、一歩近づく勇気になるかもしれません。
この絵本がそんな気持ちの助けになりますように。小栗左多里”
とあった。
アメリカンなポップなイラストが可愛い。
何ともシンプルだけど、何とも、、、、複雑な思いもよぎる。子供なら、みんな仲良しでよかったね!って素直に言えるかもしれない。でも、大人には、同じ色同士で集まって、他の色を疎外していることに、気づいているけど気づいていないふりをしていたり、、、ちょっと、罪の意識をおぼえてしまう。。。って感じ。
先日、英語の新聞の記事で、「外国人だというだけで家を借りられない」というニュースがあった。ある人は、日本永住権もあって、日本語も流暢で、もう25年数も住んでいる。。それでも、外国人だというだけで、門前払い。外国人お断りという不動産やさんが4割近いのだそうだ・・・・。日本企業に勤めていても起こるらしい。これは、、、差別以外の何物でもない。そんなことが許されるのか???
一方で、同じ色の仲間といることに安心感を覚えてしまうという人間の習性は、、、生まれつきなのだろうか?いや?経験がそうさせるのか?
グローバルに永遠の課題。
それは、Nature(ネイチャー)か Nurture(ナーチャー)か?
たぶん、人間社会でいえば、Nurture、あとから植え付けられる習慣なのではないだろうか。
みんなちがっていてあたりまえ、なのにね。
似ているところをさがして、安心しちゃうって、、、変だけど、あるんだよね。
社会的動物だから?
多様性は、奥が深い・・・・。
不寛容への不寛容という問題含め、ちょっと、考えさせられる。
まぁ、難しいこと考えず、仲良きことは善きこと、よね。
みんなちがってあたりまえ。
忘れないようにしよう。