75億人のひみつをさがせ
クリスティーン・ローシフト 作
ひだにれいこ 訳
岩崎書店
2019年11月30日 第一刷発行
『世界をひらく60冊の絵本』(中川素子、平凡社新書)の 「第二章 生き方の多様性」からの紹介本。図書館で借りて読んでみた。
作者のクリスティン・ローシフトは、 ノルウェー 出身。 ロンドンのキングストン大学と ケンブリッジ・スクール・オブ・アートでイラストレーションを学ぶ。 本作は イラストレーションがボローニャ国際絵本原画展入選を果たしたほか、ノルウェー 国内の数々の賞にノミネートされた。 また、 世界各国 22の言語に翻訳出版が決定している。 現在オスロ 郊外にパートナーと3人の子供と暮らす。
絵は、べた塗の色使いで、人物をシンプルに描いている。本作の中では、人以外の背景やものを青い線のみで描き、人だけがカラフルになっている。空間から人が強調されている感じ。
ページをめくっていくと、描かれる人が、1人、2人、3人、4人、、と1人ずつ増えていき、27,28,29,30人になると、次から、見開き2ページをつかって、45人、50人、、、1000人は、見開き2ページに人がいっぱい。子どもも、大人も、車いすの人も、肌の色も色々、そして最後は、75億人。。。は、宇宙の中の地球が描かれている。
シンプルに言ってしまえば、人がたくさん描かれた絵本。そして、その人たちに関する説明文が、2,3行。
1人で寝ている少年。
2人でハイキングを楽しむ大人と子ども。
表彰台の3人。
音楽を奏でる4人。
。。。
そして、面白いのは、最後の宇宙のページのあとに、クイズがある。その答えを、ページ隅にあるQRコードをスキャンするとみることができる。
そして、そのQRコードのリンク先には、クイズの答えだけでなく、各ページに描かれていた人々の秘密が、、、。
1人でベッドにねて、
「ひとり。男の子がベッドの上で、しんぞうの音をかぞえている。この星空をどれだけの人が見上げているんだろう?と考えながら」との文字があった絵本のページ。
リンク先で明かされた秘密は、
”男の子のなまえは、トマス。
前のページの森にあった枝がおちている。
誕生日カードには、8さいとかかれている。
つまり、トマスは8さい。
ぬいぐるみと地球儀がトマスのお気に入り。”
と。
絵本を見返してみると、最初に読んだ時には見落としていた細かな発見がたくさん。
そして、2ページ目の大人と子どものうち、子どもはトマスだった。
これは、、、!
なんて、しかけでしょう。
絵本とWebのページをいっしょにみることで、はじめて絵本が完成する。。。
これは、、いくら、絵本で想像力を働かせても、この秘密はわからないわ!!
まいりました!
そして、この絵本の中で問いかけられるのは、地球という一つの惑星に、たくさんの人が、、、75億人どころか、いまでは80億人のひとがいっしょに住むことの意味、、、だろうか。
表彰台の3人のページの秘密は、
「2位の子は、1位の子ほど、うれしくない」
ってこと。
エレベーターの中の6人のページの秘密は、
「けいたい男は、なにかをみのがすのがこわくて、いつもけいたいばかりみている。
ひとりぼっちで寂しいのは、青いセーターに赤毛の男の人と、赤のタートルネックに、ピンクのスカートの女の人。
二人は、人生のパートナーをみつけたいのに、であいがないとかんじている。」
などなど、、、。
絵本に書かれている文章は、わりと明るいはなし。でも、みんなちょっと秘密をもっているってこと。
見えている物と見えていない物。
ふ~~ん、ちょっと、難しい絵本だな、って気がした。
これは、、、何歳を想定した絵本なんだろうか。子供ではなく、大人かもしれない・・・・。知ってしまいたくない秘密もある気する。
そして、他の人が気が付かない、いや、もしかすると本人もきがついていない、ひとそれぞれの秘密があるってこと。
お腹の中に赤ちゃんがいるとか、本当は学校に行きたくないと思っているとか、、、。
Webの秘密をみていくと、だんだん、ちょっと怖くなる。
お葬式の場面では、本当は悲しんでいるのは二人だけとか、22人が住むアパートでは実は指名手配犯がいるとか、、、。公園で楽しむ人の中に、泥棒がいたり。
でも、実は、トマスの家族やその周りで起きている出来事。8年間ひきこもりだった人が、勇気をふりしぼって表に出たところとか、、、。
80億人には、80億通りの人生がある。
そんなあたりまえのこと。
物語にすると、こうなるのかもね。
ちょっと、頭がつかれちゃうかも・・・・。
80億人のことをいつも気にかけることなんてできないし。
でも、80億人がすむ、地球のことは、気にかけないといけないかもね。
そして、地球を思うより、まずは身近な人の幸せを。
地球に愛される、地球人になろう。
(息子には「地球に愛される人に育ってほしい」というのは、ヤマザキマリさんの言葉)
なんとも、シュールな絵本でした。
Webとのリンクも楽しいけど、個人的趣味としては、絵本は絵本で楽しみたい気がする。あるいは、秘密明かし版として、別冊にしてくれてもいい・・・。
現代の絵本でした。
