フェラードばあさんおおよわり
K. チュコフスキー・作
V. オリシヴァング・絵
田中潔・訳
偕成社
2010年3月 初版 1冊
『世界をひらく60冊の絵本』(中川素子、平凡社新書)の 「第六章 老いの姿を見つめる」からの紹介本。図書館で借りて読んでみた。
コルネイ・チュコフスキーの絵本シリーズ。ロシアの絵本。
作者の コルネイ I. チュコフスキーは、1882~1969年、ロシアの文学研究科・評論家。『ロビンソン・クルーソー』や『 トム・ソーヤーの冒険』など多くの作品を翻訳した翻訳者でもある。ロシア人にとっては、児童文学作家としての認知度が高い。大の子供好きで、 自分も子供に愛された チョコフスキーは、 友人の息子がなかなか言葉を話そうとしなかった時、1時間 ともに過ごしただけで話し始めたという 逸話の持ち主でもあり、 豊富な実例をあげつつ 幼児の言語認識の特徴を解説した『 2歳から5歳まで』(理論社 樹下節訳 1975年) は日本でも 愛読者が多い。
絵の バレンチン・オリシヴァバングは、1961年生まれ。絵本だけでなく、アニメ制作、TV番組などにも携わっている。
訳者の田中さんは、1962年生まれ。他にもロシアの本を訳している。
表紙は、「おおよわり」して、しかめっつらのフェラードばあさんと、なんと、、、居並ぶゴキブリ・・・。シュールすぎる。。
本作は、ロシアではこどもに片付けの大切さを教える本として読み継がれているという。
ようするに、、、、ちゃんと家の中の掃除をしなかったフェラードばあさんが、困っちゃうってお話。何に困るかというと、家じゅうの食器やら、鍋やら、家具やら、、みんな綺麗にしてもらえないからといって、家を出て行ってしまう。
座る椅子もない、お腹が空いてもスープをつくる鍋もない。こまったフェラードばあさんは、家出していった食器たちを追いかける。
「 私のだいじな お皿たち
アイロン、スプーン、 フライパン
どうぞおねがい あのおうちへ
かえっておくれ このとおり!
みんなが戻って くれたなら
わたしゃみんなを あらいましょう
きれいな泉の水くんで
ザブザブ お湯で すすぎましょう
そしたらみんな ピカピカの
おひさまみたいに ひかりだす
いやな虫たち たいじして
クモの巣を ほうきで払いましょう!」
懇願するばあさんをみて、かわいそうになっためんぼう、ティーカップ、受け皿、鉄のアイロン、、、
「きのどくに なってきちゃったな」
「そうねなんだか かわいそう」
「かえってやろうよ あのうちに」
「べつにかたきじゃ ないからなぁ」
そして、みんなはばあさんといっしょに家に帰る。
ばあさんは、綺麗に掃除して、たのしく、おいしくお茶をいただく。
いやぁ、なかなか、ドキリとさせられる。かすれたような線で描かれるイラストも、シュールさを上マシしてくれる。
逃げ出していくお皿、木桶、ホウキにシャベル、、、みんな家から転がり落ちていくように丘をかけくだる。動物たちは何が起きたかとびっくり。どうしたのか?と聞かれて、かくかくしかじか、、、おばあさんが自分たち道具を大事にしてくれない、と訴える。
いやぁ、、、、確かにね、大事にされていない物たちは、口があったら、「綺麗にしてよ」って文句をいうかもね。
ものを片づけるとか、綺麗にするというのは、大事にすることの基本のキだと、改めて思う。我が家からも逃げ出したいと思っている物たちがいるかも、、、っておもっちゃう。
う~~ん、整理整頓、大事だね。
ものを大事にしないとね。
