さがしています
アーサー・ビナード 作
岡倉禎志 おかくらただし 写真
株式会社童心社
2012年7月20日 第1刷発行
2013年10月15日 第8刷発行
『世界をひらく60冊の絵本』(中川素子、平凡社新書)の 「第八章 戦争を見つめ、平和を祈る」からの紹介本。図書館で借りて読んでみた。
原爆の被災者たちの、持ち物たちの声。。。。
持ち主を探し続ける、時計、手袋、お弁当箱、洋服、、、、、。
彼らが探しているのは、元の持ち主たち。
二度と彼らを手にすることのない、持ち主たち・・・。
絵本といいつつ、絵ではなく、実際に被爆した者たちの写真。そして、言葉。
著者のアーサー・ビナード は詩人。 1967年 米国 ミシガン州生まれ。 ニューヨーク州のコルゲート大学で英米文学を学び、卒業と同時に来日。 日本語での詩作、翻訳を始める。多くの日本語の絵本、翻訳絵本もあるそうだ。
遺品たちが語り続ける絵本。
「おはよう」のあとの「こんにちは」を探している8時15分で止まった時計。。。
子どもたちも、爆弾で火事になったら大変だからと、家や店を壊す仕事を手伝っていた。8月6日の朝、いつもとはちがう爆弾が、原子爆弾がピカァァァァッとおとされた。
”たったいっぱつの
ほんの 1キログラムの
ウランが はじめて まちを ぶっこわした。”
様々な遺品の写真と文字が、見開き2ページで、、、、その悲惨な事実が次々とかたられる。
最後に、「この本のカタリベたちのプロフィール」として、それぞれの遺品について、どこでどのように被爆したのか、だれから寄贈された遺品なのか、が説明されている。すべては、 広島平和記念資料館の所蔵。
これは、ノンフィクションの絵本。
ただ、事実が語られている。
なにより、響く。
あとがきに、著者の文章が1ページ。
”「ピカドン」からどれほど多くのことを教わったか。
ぼくはアメリカに生まれ育って、アメリカの学校で教育を受け、英語で原爆投下について、繰り返しその必要性と正当性を教えられた。けれど、ぼくはそのころ「ピカドン」という言葉を知らなかった。
「原子爆弾」を意味するAtomic Bombか、「核兵器」をあらわすNuclear Weaponをつかっていた。大学を卒業してから来日し、日本語の中へわけいって学び、数年たってからはじめて広島を訪れた。平和記念資料館で被爆者の話をきき、そこで「ピカドン」にであった。”
そして、著者は、広島の人々と語り合い、資料館の展示物と対面してくる中で、その声なき「ものたち」の声がきこえてくることもあった。そして、モノたちの声にじっと耳を澄ませば、自分が通訳をつとめることができるか、、、と考えるようになり、本書にいたったという。
私がはじめて広島平和記念資料館にいったのは、たぶん30年以上前。大学生のときだったと思う。あの衝撃は忘れられない。。。それから、沖縄に行ったり、知覧にいったり、、、戦争の爪痕を目にする機会は何度となくあった。けれど、、、どこかで、、、目をそらしたい、、、忘れてしまいたい、、という気持ちもあった。辛すぎる。。。
でも、目をそらしてはいけない。
本書は、物語ではない。
事実が語られている。
だから、そのパワーを感じる。
生きている私たちにできること、やらないといけない。
できることを、やろう。。。
