およぐひと
長谷川集平
㈱解放出版社 エルくらぶ
2013年4月20日 初版 第1刷発行
『世界をひらく60冊の絵本』(中川素子、平凡社新書)の 「第九章 災害に襲われ、乗り越える」からの紹介本。図書館で借りて読んでみた。
著者の長谷川さんは、1955年 兵庫県姫路市に生まれる。絵本、小説、評論、翻訳、作詞作曲、演奏などたような表現を試みる。長崎市在住。2002年から京都造形芸術大学客員教授。
表紙は、荒れ果てた土地、遠くに煙る火災の後らしきもの、、、津波のあとの形式だろうか。そこに、1人の男性がカメラを構えて、横向きに立っている。。。
いやぁ、、、、辛かった。読んでいて、つらかった。。。
ものがたりは、
「そのひとは ながれにさからって およいでいた」という文章ではじまる。
濁流の中を流されていく、家、人、、、、そして、走る男性。。。絵の輪郭は赤い線で描かれている。水の薄い青に、赤い線・・・。ひっくり返った車も流れている・・・。
そのひとは、
「およぎながら すきとおっていって
そのひとは きえた」
男性は、きえていくひとたちをいっぱい見て、
「わたしは かえってきた。」
男性は、被災地に救援にいった人なのだろう。自衛隊だったのか、ボランティアだったのか、、、そして、もどってきた男性に娘がたずねる。
「あそこで なにが あったの? パパがいた あそこで」
男性は、娘の横に座っている。ベンチの向こうには、桜が満開。
「テレビや しんぶんをみただろう」
「テレビや新聞はみたけどさ、あれがすべて?
パパが みたのも あれと おなじ? あれだけだったの?」
娘のアップの1ページ。
そして、ページをめくると、男性のアップの1ページ。
男性は、上を向いて、目に涙をためている。
”「ぼくが みたのは・・・・・」といったところで ことばに つまった。
「・・・・ぼくがみたのは いえに かえるひとと とおくに いくひと。
ぼくらのように、テレビや しんぶんにのらないひとたち」
そういうと、 むねが つまった。
わたしは むすめを だきしめる。
「ごめん、まだ ことばに できそうにない。
でも、なるべく はやく はなして あげるよ。」
「わかった まつよ」
むすめはそういった。”
THE END.
ベンチの向こうには、緑に輝く木々。
しばふの上には、かわらず、ベンチが並んでいる・・・。
2013年の作品。2011年の東日本大震災を、直接被災者ではない視点から描いた作品。
あれから、13年。あの時、現地を体験した人たちは、今どうしているだろうか。。。
震災以来、応援している福島の「NPO法人しんせい」という施設がある。障がい者支援センターなのだが、そこの理事長の富永さんが数年前から「復興支援」という言葉にいつまでも甘えている訳に行かない、とおっしゃって、できるだけ自立できる運営に取り組んでいられる。でも、やっぱり、私にできることが支援なのであれば、復興支援ではなくて普通の支援として、続けていこうと思っている。
震災は、お正月の能登もそうだが、被災地を思うと、胸が痛い。
でも、私たちは生きている。
生きているから、痛みを感じることもある。
でも、楽しいことも、嬉しいことも、たくさんある。
生きているだけで、すごいこと。
感謝して、生きていこう。
