『生成AI真の勝者』 by 島津翔

生成AI真の勝者 5つの派遣の争いの行方
Generative AI The True Winers ans Losers
島津翔
日経BP
2024年6月3日初版


新聞の広告で見かけて、気になった、、、、ような気がする。

昨今、生成AIを使いこなしたほうがいいと言うけれど、私は未だに無料版しか使ったことがない。仕組みだってよくわかっていない。ただGoogle検索よりもだんだんと使い勝手が良くなってきたので、無料の範囲で使用している。本書を読めば、ちょっとは生成AIについてわかるかなと思って図書館で借りて読んでみた。

 

表紙は、白地にピンクの、自己啓発本というか、キャリアポルノっぽいというか、チョットミーハーな感じのする表紙。日経BPっぽい、、ともいう。でも読んでみたら、私にはとても難しかった。だけども、ほんのちょっぴり生成AIになるものがわかったような気がする。そして本書の中でも語られているが、今こうして読んでいる情報も、あっという間にこの世界では過去の情報となっていくのだろう。

 

それでもわからないなりに、この生成AIに関する動きについていかないと、どんどん時代遅れの人になってしまう。やっぱり使ってみて学ぶしかない。私にとっては、そう思わせてくれる一冊だった。

 

別に生成AIの開発者になろうと言うわけではないので、なんとなく概要が掴めればいいやということでざっくりと読んでみた。

 

表紙をめくると、その裏には

”AI時代に誰が最高の計算資源を手に入れるのか、
それが地政学的に重要な鍵となる。
半導体戦争』著者 クリスミラー氏の本書インタビューより”

とある。

 

目次
はじめに サクラメントの探鉱者
第1章 AIモデル  「超知能」は誰の手に、AI乱世の帰結
第2章 AI半導体  1人がちエヌビディア解剖、GPUの死角
第3章 プラットフォーム  クラウド競争軸一変、 「3強」の明暗
第4章 国家間競争  特許で中国圧倒、AI地政学を制する者
第5章 人類 vs. AI    AIゴールドラッシュの勝者と敗者
おわりに 反転する価値

 

感想。
いや、難しかった。
関連する新聞記事もあんまり読まないので、この業界の登場人物の名前も頭に入っているわけではないし、プレイヤーの名前もよくわかっていない。
まして、いかに私がよくわかっていなかったかと言うと、そもそも自分が今使っているChatGPTが企業の名前ではなく、アプリケーションの名前だと言うことも今回初めて明確になった。ははは・・・・。

 

そうか、そうだったのか、、、その辺をぼんやりと認識していたので、私の中でのAIに対する理解がうすぼんやりの輪郭のままだったんだ、ということに気が付いた。

 

オープンAIと言うのは、ラリー・ペイジGoogle)に対抗して、デビス・ハサビス(現在のGoogle Deep MindのCEO)、イーロン・マスク、サム・アルトマン(現・オープンAI CEO)らが立ち上げた会社の名前。現在ではイーロン・マスクはそこから抜けてしまっているけれど。

 

そして、ChatGPTと言うのはオープンAIがつくったアプリケーションの名前。そこで使われるAIモデルがGPT-3とかGPT-4とか。そのAIモデルには「LLM」と呼ばれる「大規模言語モデル」が含まれる。

どの生成AIが賢いかと言うことに関わってくるのが、このAIモデルがどのぐらい賢いかと言うこと。また速度で言えば使う半導体の種類がものを言う。

パラメーターの変数が多ければ多いほど、出力される答えの精度は上がる。それは、そうだろう。わかりやすい。
で、GPT-3のパラメーター数は1750億、GPT- 4では公表はされていないが、1兆以上と言われているそうだ。

またそこで使われているディープランニングの構造の1つが「トランスフォーマー」と呼ばれるもので、2017年にGoogle研究者が開発したもの。

この業界の研究者は、短期間でいろいろな会社を飛び歩くし、Googleの人が開発したからといって、Googleだけが使っているわけではないと言うものがたくさんあるようだ。お互いに、技術を共用していたりもする。

そして、オープンAIで言うと、このAIモデルがGPT-4であれば、GoogleではそれをGemini(ジェミニ)と呼ぶ。Geminiはアプリケーションの名前としても使われているので、私の中での理解がややこしくなる。。。


本のサブタイトルにある5つの覇権争いと言うのは、5つの会社が争っていると言うことではなくて、どのようなフィールドでの覇権争いがあるかと言う事だった。
それは目次にある通り

1 AIモデル
2 AI半導体
3 プラットフォーム
4 国家間競争
5 人類 vs. AI

 

私には専門用語なのか、単に聞き慣れない固有名詞なのかもわからない感じもあったのだが、第5章の人類 vs. AIで、人類がこれからどうしていけばいいのかと言う答えに救われる。

”詰まるところ、独創を続けること
AIにはそれができない。”

 

何度も言うが、AIは、あくまでも過去のデータに基づいて答えを出している。計算機だ。
新しい組み合わせを作ることができるかもしれないが、組み合わせの元となるデータは、人間がインプットしなくてはならない。ゼロから生み出すことはできないのだ。

 

私たち人類の存在意義は0からものを作り出すこと。
かつ体を使って何かをすると言うことなんだろう。
コンピューターには、身体性がない。
痛みや辛さで、学習することはない。

 

本書に出てきたわけではないが、「記号接地」という言葉がある。
人間は何かの言葉を記号であるかのように理解し、それらをそれに基づく様々な経験と関連付けさせることができ、関連付けて言葉として活用することができると言う事。接地して言語を操る。

「りんご」と言ったからといって、ただ言葉の「り・ん・ご」ではなく、赤いりんごであったり、アップルパイになるりんごであったり、あるいは重たいそれなりの質量を持ったりんごであったり。季節は冬だったり、、、今は1年中かな。とにかく「りんご」と言う言葉が含む様々な概念を記号かのように、人間は言葉として扱うことができる。機械やAIにはそういうことができないということ。

 

ちなみに記号接地ってどういう意味?ってChatGPTとGeminiにそれぞれに聞いてみた。比較的なるほどなと思える詳しい答えが出てきたのはChatGPTの方だった。

 

生成AIは、まだまだ間違いもある。そのまま鵜呑みにして使ってはいけないとは思う。ただGoogle検索よりは集約した答えとして出してくれるので、やはり目的の回答が得られる速度は格段に速くなる。ChatGPTに言われたことをただそのまま鵜呑みにするのではなく、それをもとにその正儀を自分で確認して、そして活用していくのが良いのだろう。

 

ChatGPTの有料版は、月に3000円
これって、何かの習い事のお月謝と思えば、極めて安い価格かもしれない。
ちょっと使ってみようかなぁと言う気がしなくもない
まぁしばらくは無料版でもう少し使いこなせるようになってみよう。

 

そうそう、本書の中で改めて驚いたのは、現在ではマルチモーダルと言って計算するときに様々な種類のデータを1度に計算することができるようになっているということ。そのマルチモーダルで動くのがチャットGPT-4とかGoogleのGeminiとか。テキスト、画像、音楽など異なる種類の情報を統合して処理することができるのだ。確かに人間に近くなってきたなぁとは思う。

 

でもでも、まだ私たち人間にしかできないことがたくさんあるはず
利用できるところは利用して、AIと共存していくのが賢い生き方だろう。
大事なのは、鵜呑みにしないってことかな?

 

とにかく、使ってみたほうがいい、とは思う。

そして、この世界はあらゆるサプライチェーンがつながっているので、集約はされていっても、誰かのひとり勝ちはないのではないだろうか、、、とそんな気がする。

 

半導体は国の政策にまでも影響を与えうる。やっぱり、私は利用者として生成AIを使うことで、世の中の流れにちょとはのってみようと思う。

 

何事も、経験するって大事。

知らないことへの恐れを取り除くために、読書で学ぶっていうのも、大事。

 

読書は楽しい。