『二十億光年の孤独』 by  谷川俊太郎

二十億光年の孤独 
谷川俊太郎
W.I.エリオット、川村和夫  訳
集英社文庫 
2008年2月25日 第1刷

 

2024年11月13日に亡くなった谷川さん。 改めて 代表作の 詩集 『二十億光年の孤独』を図書館で借りて読んでみた。『よむよむかたる』の中で、出てきた『二十億光年の孤独』の序の言葉も確認してみたくて。

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借りたのは、英語翻訳のついている集英社文庫。詩の英訳というのは、難しい。。。俳句や短歌も難しいけれど、、、英訳は、ちょっと眺める程度で、日本語を読んでみた。

表紙の裏には、
”ひとりの 少年が1対1で宇宙と向き合い 生まれた、言葉のひとつぶひとつぶ。 青春の孤独と未来を見つめ、 今なお 愛され続ける詩人の原点を英訳付きの2カ国語版で初文庫化。 著者 18歳の時の自筆ノートを(一部)特別収録。”
とある。

 

谷川さんが18歳の時に書いていた詩を、お父さんが友人の三好達治に見せ、それが本になったというデビュー作。一つ一つの詩にタイトルがついているので、目次にはずら~~っと詩のタイトルが並ぶ。

 

”はるかな国から  序にかへて  三好達治” と三好達治の言葉に始まり、

生長
わたくしは
運命について
世代
大志

・・・・・・・
と、ずらーーっと続く。

 

読むというか、眺めるというか、噛みしめるというか、味わうというか、、。
これが、戦後間もないころの作品。


1931年生まれの谷川さんが、将来について詩人になろうなんて思っていたわけでもなかったころに、書き綴った詩が、こうして衝撃的デビュー作となった。

 

感想。
心をわしづかみにされる感じ。
当時の10代の言葉かと思うと、セツナサと、愛しさと、勇気と、、、何と言っていいのか。
瑞々しいというのは、こういうときに使う言葉なんだろうな、と思う。

ピュアピュア

 

三好達治は、友人である谷川さんの父親・徹三がおくってきた「息子のノート」をみて、その気持ちのたかぶりを「序」に記した。

そのいきさつが、解説(山田馨)に書かれている。


”18歳になっても、学校は嫌い、集団生活も嫌い、と鬱々と過ごしていた俊太郎に、業をにやした父・徹三は
「おまえどうする気なんだ、大学にもいかないで」ととい詰めた。
そこで、 俊太郎 はやむを得ず 僕はこういうものを書いていますと 2冊のノートを差し出した。この時は 谷川さんは趣味として楽しいから書いていただけで、詩人になるなんて 全く考えていなかったそうだ。まして、 それで食えるなどとは夢にも思っていなかった。ノートを渡したのは父親の厳しい目をそらす 時間稼ぎみたいに思っていた。ところが 事態は思いもかけない方向に走っていく。”

 

自らも若いころには詩を書き、文芸批評もした徹三は、息子の詩を読むうちにがぜん興奮を覚える。即刻友人の詩人三好達治にノートを送り付けたのだった。三好達治も、即座に反応した。三好は、6篇の詩を選んで、文芸雑誌『文藝界』(文藝春秋新社)に推薦し、この年の12月号に掲載された。その後、単行本刊行に際し、出版社の倒産などの事件もありつつ、徹三は息子の作品を守った。1952年、創元社から『二十億光年の孤独』が出版された。

 

しらなかった。そういういきさつだったのだ。

 

三好達治の序は、

”この若者は
意外に遠くからやってきた
してその遠いどこやらから
彼は昨日発ってきた
十年よりさらにながい
一日を彼はたびしてきた
千里の靴を借りもせず

・・・(中略)・・・・

ああこの若者は
冬のさなかに永らく待たれたものとして
突忽とはるかな国からやってきた”

ふぅ。。。
これだけで、この先のページをめくるのがドキドキしてくる。

そして、あぁ、、、これが谷川俊太郎か、、、と。

 

『へろへろ 雑誌 『ヨレヨレ』 と 「宅老所よりあい」の人々』にでてきた、お尻がセクシーな、後年の年季の入った谷川さんとはちょっと違う、10代の谷川さん。かわいい、といっていいいのか、、、。

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素敵な言葉をちょっとだけ詩から抜粋して覚書。

・「春」
”かわいらしい郊外電車の沿線では
春以外は立ち入り禁止である”

 

・「はる」
はるのひととき
わたしはかみさまと
しずかなはなしをした

 

・「二十億光年の孤独
人類は小さな球の上で 
眠り起きそして働き
ときどき火星に仲間をほしがったりする

かせいじんは小さな球の上で
何をしているか ぼくは知らない
・・・・
宇宙はどんどん膨らんでいく
それ故みんなは不安である

二十億光年の孤独に
僕は思わずくしゃみをした

 

・「梅雨」
雨に
林と空と私が塗りつぶされる
・・・・
時間に
雲が乗らない

物音に
湿度がある

雨に
私と空と林が濡れる

 

書けばきりがない。

自筆原稿の写真は、なんと可愛らしい文字か。
まるっこい、それでいて揃っていて、読みやすい文字。
縦書きの原稿。
ただの横書きノートを縦にして書いたのだろう。

縦書きじゃないといけない気がする。。。

 

なんとも、心休まる一冊。

あえて英語はあまりじっくり読まなかった。

日本語のこのリズムがいいんだよなぁ・・・。

孤独をsolitudeと言ってしまうと、寂しさだけが増すような気がする。

 

私は、意外と詩集も好きである。