『かたあしだちょうのエルフ』 by おのき がく

かたあしだちょうのエルフ
おのき がく 文・絵
ポプラ社
1970年10月 第1刷
2015年9月 第143刷

 

ポプラ社のおはなし名作絵本シリーズ。

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シリーズ9、図書館で借りて読んでみた。
表紙には、「教科書に出てくる本」とある。
はて?記憶にない。でも、1970年が第一刷なので、私が小学生の時に読んでいてもおかしくない。

タイトルはなんとなく聞いたことがある気がする。
表紙は、版画のような絵。

 

著者のおのきがくさんは、1924年、東京生まれ。1961~62年、渡欧。シェル美術展、国際版画ビエンナーレ展で受賞。油絵、版画の方面で活躍するとともに、絵本に力を注ぐ。

やっぱり、版画だった。

 

なかなか、力強く、懐かしいような気がしてくる版画。ダチョウ、シマウマ、サイ、インパラかな?それに、サボテンや大きな木。この絵だけでも美しい。よくみると、サボテンにはトカゲまでいる。黒がメインの版画だけれど、花には色がのせられている。

 

物語は、雨季が終わり、草や木の芽がぐんぐん伸びて、動物たちも一斉に元気を取り戻し始める季節の訪れから。

 

エルフも、仲間と一緒にここで暮らしている。
エルフは、若くて、つよくて、素晴らしく大きなオスのだちょう。
エルフは、一息で1000メートルもはしったこともある。

エルフとは、アフリカの言葉で「千」のこと。
それで、みんなは「エルフ」と呼ぶようになった。

エルフは、子供が大好き。子供達もエルフの背中にのせてもらってゆっさゆっさゆられながらドライブするのが大好き。

お母さんたちは、エルフがいるから安心して自分の仕事ができる。

 

ところがある日のこと、ジャッカルが襲ってくる。
エルフは、「オオオーン」とライオンの鳴きまねをして、ジャッカルを追い払う。

「はっはっは・・・」草むらにひとしきりみんなの笑い声が響いた。

ところが、今度は、本当のライオンがおそってきた。

「ひゃー たすけて」

「みんな はやく 逃げるんだ。ライオンは、ぼくが引き受けるっ」
エルフは、ライオンの前にたちはだかる。

エルフは、馬のように強い足で、ライオンを蹴り、おのより怖いくちばしで、つつきます。
でも、ライオンは鋭い牙でと爪で、エルフの体を今にも引き裂きそうです。

ギャオー
ワー

エルフのけった一発が聞いたのか、ライオンはよろよろと帰っていきました。


みんな
「わーい かった かった。 ぼくらのエルフ」
「えらいそ エルフ」
踊りあがって喜びました。

 

ところが、エルフは、片足が食いちぎられてしまっていました。

「みんな 無事で 本当に よかった」
それだけ言うと、エルフは静かにうずくまってしまいました。

 

エルフは、もう子供達と一緒に遊べません。
みんなの仕事も手伝えません。
餌をとることもできない。

 

はじめのうちは、いのししが木の根を、シマウマは草を、なかまのだちょうは木の葉を分けてくれました。でも、みんな家族のことだけでもたいへん。

エルフは、日がたつにつれて、なんとなくみんなから忘れられていきました。

エルフの体はだんだんカサカサに干からびて、ただ、せいばかり高くなってしまうようでした。

 

ハイエナは、早く俺たちの餌になれとばかりにうろつきます。
ハゲタカもそらから、えさになるエルフを狙っています。

エルグは、もうこのごろは一日中、ひとところにたったまま、じっと目をつぶっているばかりでした。

 

ある日のこと、森にひょうが現れます。

「くろひょうだぞ~」
エルフはかすれる声で叫んでみんなに知らせます。
みんないっせいに逃げましたが、逃げ遅れた子供たちが狙われました。

「みんなぼくの背中に乗れ」

エルフは最後の力を振り絞ってひょうと戦います。
一本足には、くろひょうの牙と爪で、血の筋がいくつもできました。
でも、エルフはくろひょうと戦います。
くろひょうはふらつきながら逃げていきました。

「たすかったー」
「ばんざーい」

みんなの声が夢の中で聞こえたような気がしました。そしてだんだん、気が遠くなって、何もわからなくなってしまいました。

 

子どもたちはやっとエルフの高い背中からおりて
「エルフ ありがとう」とさけんでふりあおぐと、みんなはあっと驚きました。

 

そこには、片足のエルフと同じ格好で、素晴らしく大きな木が空に向かって生えていたのでした。エルフの顔の丁度真下のあたりに、綺麗ないけができていました。そう、エルフの涙でできたのかもしれませんね。

 

木になったエルフは、その日から野原に一年中涼しい木陰をつくり、動物たちは泉のまわりでいつも楽しくくらしました。

 

おしまい。

 

あれまぁ、、なんて、悲しいお話でしょう。エルフは、木になってしまったんだね。でも、みんなが楽しく暮らすのを見られて、幸せだったかもね。

最後の、木になったエルフの姿が、美しい。

 

このお話は、作者のおのきさんが、アフリカの草原中央に、バオバブの大樹と雲だけの風景の写真を見ていた時に、思いついたのだそうだ。

 

アフリカの土地の香りがしてきそうな、絵本でした。
この版画もすきだな。

 

大草原に行ってみたくなる。