『殿様を襲った「明治」の大事件』  by 河合敦

殿様を襲った「明治」の大事件
河合敦
扶桑社
2023年1月10日  初版 第1刷発行

 

図書館の特設の棚で目に入った。面白そうなタイトル。200ページ程度の文庫本なのですぐに読めそう。ということで、借りて読んでみた。

本の裏の説明には、

” 明治になってから大事件に見舞われ、お家存亡の危機に陥った殿様達がいた。 たとえば、 藩の尊王攘夷派が暴走し、 新政府の転覆を図ったことで、お家を潰された 久留米藩主・有馬頼咸。大量の偽金を作ったことが発覚し、 見せしめ として処罰された福岡藩主・黒田長溥。 家臣たちに監禁され、毒殺の有無を確認するために墓をあばかれ解剖された相馬中村藩主・相馬誠胤。改易状態から新天地での開拓に成功した名門 仙台藩の亘理伊達邦成など。知られざる明治の大事件と翻弄された殿様たちの人生を追う。”
とある。

 

著者の 河合さんは、 1965年東京都生まれ。 青山学院大学文学部史学科卒業。歴史研究家、 歴史作家、 多摩大学客員教授早稲田大学非常勤講師。 歴史 書籍の執筆、 監修のほか 公園 や テレビ出演も精力的にこなす。 『 教科書に載せたい日本史、載らない日本史』など著書多数。

テレビにでも出ているそうだが、私はよく知らない。多分、本を読むのも初めて。

 

目次
はじめに
‌第1章 理は‌殿様にか家臣にか
 板倉勝静(いたくらかつきよ) 備中松山藩
 島津久光(しまづひさみつ) 薩摩藩
 相馬誠胤(そうまともたね) 相馬中村藩
‌第2章 ‌分裂・抗争を繰り返す藩内
 稲田邦植(いなだくにたね) 洲本城代稲田家
 有馬‌頼咸(ありまよりしげ) 久留米藩
‌第3章 旧藩士を守るため
 伊達邦成(だてくにしげ) 仙台藩一門亘理伊達家
 黒田長溥(くろだながひろ) 福岡藩

 

感想。
面白い!これは、面白い。

先日読んだ『歴史を味方にしよう』で、歴史上の人物もみんなただのひとりの人である、というようなことが書かれていたけれど、まさに、「一人の人」に降りかかった歴史的な出来事が、一人の人の立場で書かれているのでとても分かりやすい。

megureca.hatenablog.com

 

相馬家の騒動に関しては、後藤新平も騙されて投獄されてることとなった事件の張本人「錦織剛清(にしごりたけきよ)によるトンデモ事件として、他の本でもよくでてきたけれど、本書を読むまで、事件の細かな事情はよく理解していなかった。が、本書を読むとよくわかる。へぇ!そういうことだったのか!って。

まぁ、天性の詐欺師のような錦織という男が、相馬家に言いがかりをつけつつ、ヒーロー気取りで相馬誠胤は毒殺された!と言って世間を騒がせ、ついには誠胤は、墓を掘り起こされて毒殺の証拠を検証されてしまう。結局、毒殺なんかではないのだが。。。まぁ、現代であったとしても数か月間はワイドショーをにぎわせそうなトンデモネタだったということ。ついでに、錦織は暴露本迄出して稼いでいる。最後は逮捕されちゃったけど。

 

島津久光についても、歴史本でたくさんでてくるけれど、「お由羅騒動」とその後の西郷隆盛(斉彬派)や大久保利通との関係性、藩主ではないけれど大きな影響力を持ち、最後まで武士であり続けた姿は、なるほど「国父」なわけだ、と納得できる。お由羅こそ、久光の母親であり、斉興の側室。斉興が側室に産ませた久光に跡を継がせたいと思ったゆえに、長男・斉彬を支える面々との対立が生じて起こったのが「お由羅騒動」。

 

黒田長溥福岡藩では、財政難から積極的に贋金づくりに走ってしまったこと、仙台藩の伊達家は、石が減ったことから蝦夷地へ開拓しに向かったこと、などなど。

 

あぁ、これが、幕末から明治の混乱か、とよくわかる。

歴史の話は、点と点がつながると、めちゃくちゃ面白くなる。そして、一人の人の立場からのストーリーは理解しやすいので、本書はすごくお薦めだと思う。それぞれの章は、そんなに長くもないので、気になる人や藩のところだけ読んでも十分楽しめる。

 

幕末から明治に人々におきた、実際の混乱とそれにあらがうための努力が見えて、歴史を理解するのに役立つ一冊。河合さんの本は、初めて読んだ気がするけれど、おもしろかった。

 

歴史って、面白いんだなぁ。